ラムザ「戦闘中にアグリアスさんとはぐれてしまったぞ。敵はしょせん寄る辺ない野良モンスターとはいえ油断は禁物だ。そろそろ森が深くなってくる。それほど奥には行っていないと思うけど……」
あぐりあす「これでとどめだ! くらえッ! 無双稲妻突き!」
ラム「あっ、これはアグリアスさんの声。そう遠くないぞ。アグリアスさーん! 今そっちにいきまーす…………って、ええええええええええええええええええええええ!?」


あぐ「くらえ、レッドパンサー! 無双稲妻突き!」
あぐ「待て、わたし。以前から思っていたのだが、わたしはどうも無双稲妻突きばかりを使いすぎているようだ。たまには他の聖剣技を使ってみようと思うのだが」
あぐ「ふむ。習慣に流されてなにも考えずに剣を振っていては思考停止だな。さすがわたし、いいことを言う。」
あぐ「そうでもないぞ。わたし」
あぐ「そういうことなら特に使用頻度の低い乱命割殺打だな。さっそくこれでとどめを刺すとするか」
あぐ「待て。乱命割殺打は死の宣告の効果。とどめを刺すというなら即死効果の北斗骨砕打こそふさわしかろう」
あぐ「どちらにせよレッドパンサーのHPはあと一撃でゼロだ。この際、付加効果は無視してもいいのではないか?」
あぐ「そういえば久しく通常攻撃をしていないな」
あぐ「なるほど。その選択肢もあったか。なかなか悩ませることをいうわたしだな」
あぐ「わたしの言うことでわたしが悩むとはおかしなことを言うわたし」
あぐ「わたしとしては聖光爆裂破の長大な効果範囲も捨てがたいものがある」
あぐ「わたしとてわたしなのだから思いは同じ。以心伝心、いや私心伝私というべきか」
あぐ「で、眼前の敵はどうするンだ? お題目を並べていてもモンスターは感心してくれンのだぞ」
あぐ「カタカナのンを使うとは、わたしらしからぬわたしだな。そこのわたしは本当にわたしなのか?」
あぐ「より理知的なわたしに言わせてもらえば、人間の内には多種多様な”わたし”が存在し、そのすべてをひとつのわたしが統括できるというのは驕り高ぶった考え方だ」
あぐ「へっ、わたしにゃあ難しいことはよくわかりませんけどね!」
あぐ「なんと はすっ葉 なわたしだろう」
あぐ「しかし、おまえもまたわたしなのだな」
あぐ「おまえなどと他人行儀なことをいうな。皆わたし同士ではないか」
あぐ「そーだそーだ! みんなで力を合わせれば怖くない! できないことなんてひとつもないのさ!」
あぐ「やけにうっとうしいわたしだな」
あぐ「ひとくちにわたしと言っても、本当にいろいろなわたしがいるのですね」
あぐ「わたしの好きなわたし、嫌いなわたし。でもすべてが他でもないわたし自身なのだ」
あぐ「さすがわたし。いいことを言う」
あぐ「そうでもないぞ。わたし」

あぐりあす達「ハハハハハハハ」

あぐ「そういえなんの話してたんだっけ?」
あぐ「無双稲妻突きばっか使いすぎっちゅー話」
あぐ「よろしい、ならば不動明王剣」
あぐ「あー出たよ。ありがちな間違い」
あぐ「正しくは不動無明剣だな」
あぐ「無明剣っていった」
あぐ「いってない」
あぐ「いった!」
あぐ「いってない!」
あぐ「いった!」

(レッドパンサーは尻尾を巻いて逃げ去る)
ラム「……48、49、50……小さい、小さい、ちびアグリアスさんが50人……
数える単位は人でいいものだろうか。匹じゃさすがに悪い気がする。50体。いや、やはり50人と呼ぶべきだろう。どう見てもあれはアグリアスさんだもの。僕のひざの高さぐらいまで小さくなっているけれど……。
一体これはどういうことなんだ。いたずらな森の妖精のしわざとでもいうのか? 話してる内容もわけわかんないし、なんだかこわいっ……」

(落ちてる枝を踏んでパキッ!)

ラム「!」

あぐ「おお、ラムザ。そんなところにいたのか」
あぐ「わたしたち、準備はいいな?」

あぐりあす達「おー!」

(あぐりあす達が整列し、いっせいに歌い出す。挿入歌『真・アグリアスさんのテーマ』)

アッグリ~アス~さん~ 私達アッグリ~アス~さん~
ヘヘイヘイ ランラランラン
ウォウウォウウォウウォウ イェイイェイイェイイェイ

近衛騎士団からやって~来~た~
私達アグアグ ヘヘイヘイ
そこのけそこのけデコっぱち
アグアグ一味のお通りだい

鈍足の国からやぁーってぇ来ぃたぁ
私達アグアグ ヘヘイヘイ
ラムムスラドマラオルランドゥ
アホ毛よい子だ撫でさせろ~

アグたん!(ヘイ)ラヴィアン!(ヘイ)
その他大勢!(ヘヘイ)
アグたん!(ヘイ)アリシア!(ヘイ)
その他大勢!(ヘヘイ)

ア~グ~ア~グ~人~間~ ランラランララン
アッグリ~アス~さん~ 私達アッグリ~アス~さん~
ヘヘイヘイ ランラランラン
ウォウウォウウォウウォウ めっちゃ巨蟹

畏国の皆さんこんにちは
私達アグアグ ヘヘイヘイ
その他の皆さんこんにちは
私達アグリアスさんですよ

勝負シューズはゲルミナス
私達アグアグ ヘヘイヘイ
勝負ドリンク リアルポーション
リアルポーション リアルポーション

アグりん!(ヘイ)オヴェリア!(ヘイ)
その他大勢!(ヘヘイ)
アグりん!(ヘイ)ディリータ!(ヘイ)
いりません(なんでだ)

ア~グ~ア~グ~人~間~ ランラランララン

アッグリ~アス~さん~ 私達アッグリ~アス~さん~
ヘヘイヘイ ランラランラン
ウォウウォウウォウウォウ めっちゃホリナイ
1,2,3,4

アッグリ~アス~さん~(アッグリ~アス~さん~)
アッグリ~アス~さん~(アッグリ~アス~さん~)
アッグリ~アス~さん~(アッグリ~アス~さん~)
アッグリ~アス~さん~(アッグリ~アス~さん~)

アグ!

(あぐりあす達の歌は続いている)

アリシア「こっこれはーーッ!? さすが全員がアグリアス隊長だけあって完璧なハモリが輪になって溶けあい優美な音楽を紡ぎだしているーーーーッ!?」
ラヴィアン「てゆうかこれってどうゆうシチュエーション!?」

ラム「アリシアさん! ラヴィアンさん!」
ラム「じつはこれこれこういうことなんです」
アリ「なるほど……」
ラム「なにか心当たりが?」
アリ「コレは…………パラレルワールドだね」
ラム・ラヴィ「パラレルワールド?」
アリ「そう、パラレルワールド。わたし達とは別の可能性宇宙の水平世界。わたしの予想では各パラレルワールドのアグリアス隊長たちが、なんらかの目的をもってわたし達の世界のアグリアス隊長に集結した結果と見たね。
50人にちっさく分裂したのは物質世界のエントロピーが常に一定で上昇も下降もしないからってことで説明できるし」
ラム「うーん。正直なにを言ってるのかよくわからない上にとっても胡散くさいですけど、アグリアスさんのこの状況にはなんらかの意味、目的があるということですか」
アリ「そう。わたし達の知るアグリアス隊長とはちょっとずつちがう49のアグリアス隊長が、わたし達のアグリアス隊長の元で集結した意味。その謎を解けば事件は解決するっ!!(キリッ)」
ラヴィ「集結した意味……目的……欲求……渇望する精神……内的衝動……。とっても胡散くさいけれど、可能性があるとすれば……」

あぐ「アホ毛よい子だ撫でさせろ~♪」
あぐ「アホ毛よい子だ撫でさせろ~♪」

アリ「なるほど……ニヤリ。あっ、逃げた! 『蔦地獄』!」
ラム「しまった! う、うごけない。だっだれかー! おかされ」
ラヴィ「『沈黙唱』!」
ラム「むぐっ! むぐぐぐーーー!」
アリ「ごめんねラムザ」
ラヴィ「こんなにたくさんの隊長にこき使われたら、私達それこそ体がいくつあっても足りないわ」
ラム「むぐーーーー!」
(迫り来るあぐりあす達)

ザッザッザッザッザッザ

あぐりあす達「アホ毛よい子だ撫でさせろ~」「アホ毛よい子だ撫でさせろ~」

アリ「わわっ来た! われらが指揮官の健勝を祈る!」
ラヴィ「戦線離脱します!」

あぐりあす達「アホ毛よい子だっ!」「撫でさせろおおおおおおお!」

ラム「いっいやあああああああああああああああああああっっっっっっ!」



(半刻後)

アリ「どうなってる?」
ラヴィ「ちょっと押さないでよ…………うそっ!? にわかには信じがたいけど元に戻ってる!? いつものアグリアス隊長よ! 他のちびアグリアス隊長たちも見あたらないわ!」
アリ「みんな自分の世界に帰ったんだね」
ラヴィ「ラムザの姿は……」
アリラヴィ「って、ええええええええええええええええええええええ!?」

アグリアス「モンスターとアラグアイの森で戦闘になったことは覚えている。
しかしそれ以降、なにがどうなってこんなことになったのか、まったく記憶が曖昧でわからない……。
なぜラムザがちびラムザになっているのか……なぜ50人に分裂しているのか……
そしてなによりこの歌は、この珍妙な歌はなんなんだあああああああああああああああ!!」

畏国の皆さんこんにちは
僕達ラムラム ヘヘイヘイ
その他の皆さんこんにちは
僕達ラムザくんですよ~

あとがき:挿入歌は過去ログよりコピペさせていただきました。

全体のイメージは『狂乱家族日記』というアニメのオープニングを意識して書いた。
ちびキャラごちゃごちゃ。
最終更新:2010年03月30日 20:51