窓の外を、しとしとと小雨が落ちている。
 ライオネル城下に繋がる街道そばの小さな宿場町、さらにその外れの宿にラムザ一行は潜伏していた。
 明日には王女オヴェリアが軟禁されているであろう、ライオネル城に潜入を行わなければならない。
 既に、ライオネル城下には騎士アグリアスの部下であるアリシアとラヴィアン、そして機工士のムスタディオが潜伏して、侵入の下準備をしている。本命であるラムザとアグリアスは、翌日の陽が落ちてから行動を開始する予定だった。

 騎士アグリアスは、割り当てられた部屋で1人王女オヴェリアの無事を神に祈っていた。
 近衛として、また忠誠を誓った臣下としても、今、自分やオヴェリアが置かれている状況は看過できないものだ。
(ドラクロワ枢機卿の邪悪な野心に気付かんとは… 近衛騎士としてあるまじき失態だ… オヴェリア様、必ずお救いして差し上げます…!)
 何度誓ったか分からない誓いをあらためて胸に刻みこみ、アグリアスは立ち上がってベッドに腰掛けた。
(ラムザ・ベオルブ、か…)
 王女オヴェリアの事が頭から離れると、代わって浮かび上がってきたのは、自分たちのリーダーである優しげな表情をした青年の顔だった。
 彼がベオルブ家の御曹司であると知ったのは、つい先日のことだった。アグリアスも騎士である。武門の棟梁たるベオルブ家のことは勿論良く知っていたが、出奔した末末弟が彼だとは、夢にも思わなかった。
「しかし、剣の腕は一流、部下を惹きつける魅力もある。なるほど、確かに天騎士の血は引いていると見える」
 これまでの戦闘で垣間見た、ラムザの剣士としての強さ、人間としての魅力を思い出して、アグリアスは納得するように頷いた。
「ラムザ・ベオルブ、か…」
 今度は口に出してみて、アグリアスは自分でも不思議なくらいラムザのことを考えている自分に驚いた。
 なぜ、こうも自分は彼のことが気になるのだろう? 勿論、オヴェリア様をお救いする同志として信頼しているのは確かだ。だが、それにしたって自分は彼のことばかり考えている。
 アグリアスが額に手を当てて悩んでいると、扉をコンコンとノックする音が聞こえた。
 顔を上げて誰何の声を出すと、やや躊躇いがちに「僕です、ラムザです…」という声が聞こえた。
 悩んでいる本人が尋ねてきたことで、内心かなりドキリとしながらも、アグリアスは快くドアを開けた。育ちの良い彼は戸外に立って用を済まそうとしたが、アグリアスにはそれがひどく違和感のあることに感じられて、渋る彼を強引に部屋に招きいれた。

「すみません、お休みのところを…」
「いや、そんな事は無い、楽にしてくれ。…ところで用件はなんだろう?」
 なぜか高鳴る心臓を宥めつつ、アグリアスは努めて冷静に尋ねた。
 ラムザは勧められた椅子に腰掛けると、静かに語り始めた。
「一言、お礼を言っておきたかったんです。
 あの時、ゴルゴラルダ処刑場での戦闘で僕がベオルブ家の一員だと判ったときに、アグリアスさんは真っ先に僕を信じてくれました。
 友と離別し、肉親に欺かれた僕にとって、あの時のアグリアスさんの言葉は、嬉しかった… 力が湧いてきました。
 自分を信じてくれる人が居る事が、こんなにも勇気をくれることを始めて知りました… 改めてお礼を言わせてください」
 そう言うと、ラムザは深々と頭を下げた。
 胸の鼓動が、ドキンと高鳴るのを感じる。
 アグリアスは慌ててラムザに駆け寄ると、彼の身体を掴んで無理やり上を向かせた。
「待て、頭を上げてくれ…ッ 
 礼を言うのは私の方だ。私だけでは、1度たりとは言えオヴェリア様をお救いする事など出来なかった。そして、またこうしてオヴェリア様の為に動く事が出来るのも、ラムザ、貴公のおかげだ。
 オヴェリア様を憂う貴公の言葉に、私は心打たれた。同志は1人ではないと、私の方こそ救われたのだ…ッ」
「アグリアスさん…」
 ラムザとアグリアスは、瞳を合わせて見詰め合った。今のイヴァリースは、誰もが信じられない世の中になっている。そんな中で、心を許しあう事の出来る相手がいる事が、2人にとって何よりも嬉しかった。


 しばらく無言で見詰め合っていたが、ラムザの瞳に写った自分を見て急に恥ずかしくなったアグリアスは、戸惑うように視線を外した。
 ラムザもそれに合わせて、慌てて視線を外した。
「ぼ、僕が言いたかった事はそれだけです… 長居しては申し訳有りません、これで失礼を…」
 そう言って立ち上がるラムザの腕を、アグリアスが「ま、待てッ」と叫んで掴んだ。
「アグリアスさん…ッ?」
 驚いたラムザがアグリアスを見て言うと、アグリアスは頬を真っ赤に染めて俯いた。
「すまない、ラムザ… その、明日は、ライオネル城に潜入せねばならない。恐らく、ガフガリオンも待ち構えている事だろう」
 下を向いたままぽつぽつと語るアグリアスに、ラムザは戸惑うながらも「はい…」と返事した。
「もしかして、落ち着いて貴公と話が出来るのも、これで最後かもしれない…ッ」
「そんなことッ!」
「聞いてくれ!」
 思わず否定しようとしたラムザを、アグリアスは強く制した。
「そういう風に思ってくれないか…? 今のこの瞬間が、最後かもしれないと… それならば、何をしても許される気がしないか…?」
 ラムザはアグリアスが何を望んでいるのかをようやく理解できた。
「一夜だけの契りで良い… 未練を残したくないんだ…」
 顔を上げて、再びまっすぐにラムザと視線を合わせると、アグリアスはそっとラムザの肩に手を回した。ラムザも覚悟を決めたようにアグリアスの視線を真っ直ぐに受け止めると、同じ様に肩に手を回して、スッと顔を寄せた。
 2人は不器用に口付けを交わすと、縺れるようにベッドに倒れこんだ。


情熱的な口付けを何度も繰り返して、ようやく2人は口唇を離した。
「アグリアスさん…」
 愛しそうに呟いて、ラムザがぎゅっとアグリアスの身体を抱きしめると、アグリアスがおずおずと言った口調で告白した。
「ラムザ… その、恥ずかしいのだが。私は、まだ処女なのだ… 優しくしてもらうと、助かる…」
 これ以上無いくらい頬を真っ赤に染めたアグリアスが可愛くて、ラムザは優しく微笑んで「大丈夫です…」とアグリアスの髪を撫ぜた。
「痛くないように… 一生懸命がんばります…」
 ラムザは逸る身体を何とか抑えて、ゆっくりとアグリアスの服を脱がせ始めた。薄暗い部屋の中に、真っ白なアグリアスの裸体が顕わになった。それは、目が眩みほどの美しさだった。
「綺麗です… アグリアスさんの身体、とても綺麗です…」
 完璧すぎるアグリアスの裸体に、ラムザは圧倒された。
 金髪面長の凛々しい顔とは裏腹に、アグリアスの肉体は女として成熟しきっていた。
 剣技で鍛えられた肉体は美しくも引き締まったボディラインを形作り、にもかかわらず、女性の象徴たる乳房はたわわに実っており、形良い乳首がツンと上を向いていた。
 そんな肉質な身体を持った美女が、恥じらいを帯びた表情でベッドに寝ているのだ。男として興奮しないわけが無かった。

「もう、我慢できません…」
 ラムザは急いで着ている服を脱ぎ捨てると、押し倒すようにアグリアスい覆いかぶさり、先ほどとは全く違う、吸い付くような口付けを交わした。
「ぢゅ、ぢゅ、ぢゅう…」
「ぢゅぱ、ぷはッ! ラムザ、そんなに吸われると… あッ、そこはッ!」
 口唇を離してアグリアスが抗議すると、ラムザは責める場所を変えて、アグリアスの乳首を口に咥えると、ここも激しく吸い上げた。
「そんな、そんな所を…ッ 敏感なんだ、そこは…」
 ぞくぞくと背筋を走る快感に、アグリアスは思わず吐息を漏らした。敬虔な女性騎士であるアグリアスは、自慰すらも行った事が無い。突然の異性からの刺激で、未開発の身体が過剰な反応をしていた。
「無理、だ…ッ 早く終わらせてくれ…」
「駄目です。もっと楽しみましょう、アグリアスさん」
 あっさりと降参したアグリアスとは正反対に、ラムザのほうは余裕のある口調で答えた。年上の騎士を責める行為は、妖しい支配感となってラムザを動かしていた。

 ぢゅ、ぢゅ… ちゅぱ…

 子猫がミルクを啜る様に、ラムザはさんざんにアグリアスの乳首を舐めねぶった。アグリアスはもう声すら上げられず、顔を手で押さえて小刻みに震えていた。
「ここも、弄って差し上げますね…」
 ラムザがアグリアスの耳元で囁き、なんだろう、とアグリアスが訝しむと、突然、股間にひんやりしたラムザの手が添えられた。
「待ってくれッ」
「待ちません」
 ラムザは、処女らしくぴっちりと閉じたアグリアスの女性器を指で丹念になぞると、指をVの字に開いて、痛くないようにゆっくりとアグリアスの女陰を開いていった。

 にちゃぁ…

「…アグリアスさん、これは?」
「嫌だ嫌だ嫌だッ!」
 アグリアスは恥ずかしさのあまり泣きそうになった。丹念に乳首を刺激されたせいだろうか、アグリアスの秘所は充分過ぎるほどに潤っていた。
「凄い…」
 指についた愛液を驚いたように見つめると、ラムザは未だ恥ずかしくて顔を見せられないアグリアスの手をそっとどかすと、赤い顔で睨みつけるアグリアスに優しくキスをした。
「もう、準備は良いみたいです。アグリアスさん、貴女の処女を頂きます…」
「ああ、貴方に捧げる。貰ってくれ…」
 アグリアスが覚悟を決めたように目を閉じた。ラムザはもう1度キスをすると、既に痛いくらいにそそり立っている己の男性器をアグリアスの秘所に宛がうと、ゆっくりと腰を進めて沈みこませていった。
「ッ! くぅ…」
「だ、大丈夫ですか、アグリアスさん…!」
 未開通の膣道をメリメリと押し開かれ、覚悟していた以上の激痛にアグリアスは思わず声を上げた。
 しかし、驚きで動きを止めてしまったラムザに弱々しく微笑みかけると、「大丈夫だ… 全部、全部入れてくれ…」とはっきりと訴えた。
「…わかりました。ゆっくり進めますから、痛いでしょうが、耐えてください…」
 ラムザも覚悟を決めると、再びゆっくりと腰を進め始めた。
 ズッ、ズッ、と男性器が膣内を蹂躙する痛みを、アグリアスは歯を食いしばって耐えた。痛みは想像以上のものだったが、不思議と耐えることが出来た。自分を貫く力強い男性器が、なぜだか頼もしく、嬉しく感じられた。

ゆっくり進めていたラムザの男性器が、膣内で抵抗を感じて止まった。これが処女膜なのかと理解すると、ラムザは真っ直ぐアグリアスと目を合わせた。そして信頼するようにアグリアスが1つ大きく頷くと、ラムザは一気に腰を打ち付けた。
「あぐ!」
 アグリアスが悲鳴を上げておとがいを反らした。結合部から破瓜の血がタラタラと流れ落ちる。
 男性器をアグリアス奥深くに挿入したまま、ラムザは優しくアグリアスを抱き寄せてキスをした。口唇を離すと、痛みに堪えてアグリアスがにっこり微笑んだ。
「1つに、なれたんだな…」
「はい、全部入りました…」
「よかった…」
 満ち足りたように呟いて、アグリアスはラムザの頬を撫ぜた。
「後は、好きにしてくれ… もう、この身体は貴方のものだ。殿方は果てないと終わらないと聞く。きちんと最後までしてくれ」
「でも、痛みが…」
「気にしないでくれ。むしろ、気にされるが辛い…」
 言葉からアグリアスの覚悟か伝わって、ラムザはコクリと頷くと、ためらいがちに腰を動かし始めた。
 始めはゆっくりと… しかし、段々早く。アグリアスが慣れるのを待ってから、ラムザは猛然と腰を打ちつけ始めた。
「ああッ ラムザッ 凄い… 激しい…!」
 さすがに快感を得てはいないようだが、愛しいラムザに身体を蹂躙されて、アグリアスは支配される悦びに打ち震えた。自分の身体で、あんなにも気持ち良さそうになっている。それだけでアグリアスは充分だった。
 一方のラムザも無事ではなかった。全身が強く引き締まっているアグリアスは膣内の締め付けもすばらしく、まれに見る名器だった。一突きする毎にラムザの官能は確実に高まっていき、そろそろ限界が近かった。
「はぁはぁ、アグリアスさん、そろそろ… 外に、出しますから…」
 アグリアスの身体を慮ってラムザがそう言うと、アグリアスは長い脚を回してラムザの腰をがっちり固定した。
「ア、アグリアスさん…!」
「外に出すなんて、嫌だ… 膣内に、膣内に出してくれ…」
 その瞬間、アグリアスの膣内が恐ろしい勢いでうねった。無意識のその行動にラムザは我慢の限界に達し、諦めたように男性器を膣内深くに突き込んで、己の精を解き放った。
「ああ、わかる、わかるぞ… ラムザがいっぱい出している… こんなに、熱い…」
 子宮の上の下腹部を撫ぜながら、アグリアスはうっとりと「ここに、ここに…」と呟いた。
「うッ…」
 ラムザがズルズルと男性器を引き抜くと、アグリアスの秘所からとろりと一筋精液が流れ落ちた。
「あッ…」
 アグリアスが気付いて指で拭うと、それは破瓜の血が混ざってピンク色をしていた。
「フフ、いっぱい出したんだな…」
 アグリアスがからかうように言うと、荒く息を吐いたラムザがばったりとアグリアスの横に倒れこんだ。
「すごく、気持ちよかったです… アグリアスさん…」
 呆然とラムザが呟くと、アグリアスの頬がかぁと赤くなった。
「馬鹿者…」
 ぷいとそっぽを向くと、いまだ膣内深くにあるラムザの精液を感じた。
「これは、孕んだかもしれんな… こんなにたくさん出すから…」
 軽く非難めいたセリフを言ってみたが、ラムザから反応は無かった。むー、と不満げに振り返ると、そこには満ち足りた表情のラムザが、気持ち良さそうに寝ていた。
「おいおい…」
 苦笑してラムザの前髪をそっと触ると、くすぐったそうにラムザが呻いた。
「可愛いな、貴方は…」
 笑いながら、アグリアスは自分の中にしっかりとした活力が宿ったのを感じた。使命は必ず果たす、騎士の誓いにかけて。
「そして、貴方も守る。この純潔を証として」
 そっと呟くと、アグリアスはそっとラムザにキスをした…


END
最終更新:2010年04月08日 21:04