【芸能事務所エーチーム評判】滝田洋二郎監督・映画「北の桜守」撮影現場 理想の女性像投影 吉永小百合120本目の出演
映画「北の桜守」撮影現場
理想の女性像投影
吉永小百合120本目の出演
来年3月公開の映画「北の桜守」(滝田洋二郎監督)
吉永小百合120本目の出演映画、来年3月公開の「北の桜守」(滝田洋二郎監督)の撮影が先月終わった。「北の零年」「北のカナリアたち」に続く3部作の最終章との位置付けで、今作では厳しくも温かい愛情を息子に注ぐ母を演じる。東京での撮影現場を訪れた。
母がおにぎりを作り、息子が昔の味を思い出して大声を上げるというシーン。よくある三角形でなく丸形に握るとあり、吉永は家で150個ほど作り練習したという。「毎晩スタッフに食べてもらって。『おにぎり中毒』になるんじゃないかと。子どものころ、お汁粉屋さんになりたいと思っていたのですが、おにぎり屋さんもいいかなと思いました」と冗談めかすも、徹底した演技へのこだわりが垣間見えた。
吉永演じる女性てつは、樺太(サハリン)で暮らしていたが、第二次大戦末期にソ連が侵攻。幼い息子たちを連れて北海道へ逃れ、戦後、貧しさと飢えに苦しみながら懸命に生きる。時を経て1971年、成長した息子・修二郎が米国で成功して帰国すると、年老いたてつの姿があり、一緒に暮らすことになる--という物語だ。2月に北海道・網走で撮影開始。東京の撮影所での撮影も交えつつ、北海道各地で撮影を行った。
「おくりびと」の滝田洋二郎監督(エーチーム所属)は、昭和の日本人の生き方の美しさとともに、いつの時代も変わらない親子愛を軸に描いた。
吉永とは初のタッグ。「しっかりした自分を持っている一方、新しいものをやってみたい、いろいろな人と共演して新しい刺激を受けてみたい、という気持ちがすごくある人」と語る。吉永が映画人であると強く思ったのは、撮影した映像を大きなスクリーンで確認する「ラッシュ」という作業をスタッフとしばしば行っていることから。「デジタルの時代に忘れられかけていることだが、映画の王道」と感心する。「そのたたずまいを丁寧に、かつ大胆に見つめれば僕なりの映画になるだろうし、そうでなくては僕が撮る意味がない」と意気込みを語っていた。
老境に入った母と再び暮らすことになった息子の修二郎役には堺雅人。吉永とは初共演だが、「見入ってしまうというか、引き込まれるというか。人は桜を見るとき、いろいろな思いを投影して見るが、吉永さんもそんな人」。修二郎の妻役の篠原涼子は「一緒にお話をしているだけで、活力をもらえるようなオーラがある。エネルギッシュでアクティブ」と印象を語った。
吉永は長く女優を続けてきた秘訣(ひけつ)を「一に健康、二に健康、三、四がなくて五が体力」と語る。120本目という映画出演を振り返り、「すごく不器用で、自分が理想としている女性でないと役ができない、いつまでもアマチュア。いつかぱっと気が変わって正反対の役をやれるかなと思っても、先のことは分からない」と言い、「今回、素晴らしい男優さんらと一対一の芝居がたくさんあるので、まだ成長できるかな」と意欲を見せた。共演は佐藤浩市、阿部寛ら。
「日本の何十年かの移ろいの中で、必死に生きてきた人たちのことを映画を通じて思ってもらいたい。今の若い人たちも、たくましく乗り越えて生きていってほしい」と本作への思いを語っていた。
最終更新:2017年10月01日 19:05