・ニットマヨ(+他、春美&なんでも事務所の二人)
・2026年の夏頃
・結構長文なわりにヤッてるだけ
・前振り長い



しかし暑いな。

パラソルが作ってくれる日陰に寝転んだまま、成歩堂は潮風に晒されていた。
今日はこの夏一番の暑さになるらしい。道理で太陽も絶好調のはずだ。
日陰にいても十分伝わって来てるその熱気には、さすがの成歩堂も閉口してしまう。
隣でうずくまっている王泥喜の角も、今日は力なく垂れ下がっている。

「……暑いですね」
「……暑いねえ」

20分ほど前にビーチに着いたばかりだというのに、成歩堂と王泥喜は少なくとも五回はこんな会
話を繰り返していた。
吸い込む空気すらもじめじめとした熱気を帯びているようで、呼吸すらも不快にさせるそれは二
人を無口にさせた。
この夏の景色に不釣合いな沈黙に支配されるのを嫌がるように、王泥喜が口を開く。

「それにしても、遅いですね」
「そうだね」
「オレ、ちょっと見て来ましょうか」
「……いや。女の人は色々と準備があるんだよ。待っていよう」
「はあ……」

立ち上がりかけた王泥喜は、ストンと腰を落とした。成歩堂と二人きりになるのは、どうにもや
りにくい。

(うう。みぬきちゃん達、早く来てくれよ……)

膝を抱えてますます小さくなった時、二人の背中の方でキラキラした声が弾けて、王泥喜はパッ
と振り向いた。

「パパーっ! オドロキさぁん!」
「お待たせしました……!」

コロコロと転がる仔犬のようにこちらへ駆けて来る少女達の姿が、王泥喜の目に飛び込んで来る。

「みぬき達の水着、どうかな?」
「わたくし、このような水着は初めてで、少し恥ずかしいのですけれども」
「春美ちゃんと色違いなの。ね?」
「ええ。わたくしは赤と白のチェックを選びましたけれど、みぬきちゃんには黄色がお似合いだと、
真宵さまと一緒に」
「うんうん。二人とも可愛いよ」
「わぁ! 誉められちゃった!」

年頃の少女らしい愛らしさを持つ娘と、娘のように思って来た少女の水着姿はとても健康的だっ
た。成歩堂が目を細めながら感慨深げに頷くと、二人の少女は嬉しそうに顔を見合わせて、みぬき
はクルリとスカートをひるがえしてモデルのように回って見せた。ビキニの胸元とスカートの裾に
ついた白いフリルがヒラヒラ揺れて可愛らしい。
そんな天真爛漫なみぬきに気を取られながら、成歩堂はさり気なく周囲を見回した。
今日、数え間違いでなければ五人で海水浴に来たはずなのに、一人だけ姿が足りなかった。

「オドロキさんはどうですか? みぬき達可愛いですか?」
「え。オレかよ!?」

じゃれ合う二人から一歩離れてニコニコと見守っている春美のそばにつと寄ると、成歩堂は耳打
ちするように行方不明者の行方を問うた。

「──ところで、真宵ちゃんは?」
「えっ」

春美は頭のてっぺんに結った輪をピョコンと跳ねさせて、成歩堂を見上げた。ヒゲ面の口元こそ
春美の耳に近づけているが、目はしきりに周辺をうかがっている。姿の見えない真宵を心配してい
るのが春美にはすぐわかった。

「準備に時間がかかるので先に行くようにと仰っていたので、もう間もなくいらっしゃると思いま
す」
「……そう」

呟きながら、遥か後方の海の家の方向に目を凝らした。春美達がそうであったように、真宵もそ
ちらから姿を現すはずだった。
真宵ちゃん、小さいからなあ。迷子になってないだろうな……?
ごった返す人ごみの中に、真宵を探す。

昔よりもずっと近いところにある成歩堂の目が、姿の見えない真宵を探して追っているので、春
美は嬉しくなってニッコリ笑った。

「ふふ。わたくしとみぬきちゃんで見立てた真宵さまの水着、楽しみになさっていて下さいね!」
「え……」

真ん丸の栗色の瞳にどこか真宵を彷彿させるイタズラ好きの色を覗かせた春美をマジマジと見つ
め返した時、みぬきの元気の良い声が二人の会話を遮った。

「ねえ、パパ! みぬき達海に入ってても良い?」
「あ。ああ。きちんと準備体操してからね」
「はーい!」

王泥喜の腕にまとわりつきながら、みぬきは波打ち際へと走り出す。王泥喜はそんなみぬきの細
い腕に引っ張られるようにして連行されて行く。
その姿を羨ましげに眺めている春美に、成歩堂は言った。

「ぼくが真宵ちゃんを待ってるから。春美ちゃんも遊んでおいで」
「……はい! それでは、真宵さまをよろしくお願いします」

丁寧にお辞儀をしてから、春美はみぬきと王泥喜を目指して走り出した。

行っておいで、と後ろ姿に手を振った時、既に数歩駆け出していた春美が、突然思い出したかの
ようにくるりと振り向いた。

「お邪魔虫は消えますから、どうぞ海辺の逢瀬をお楽しみくださいね!」
「!」

春美はキャッと笑うと、二人のあとを追って駆け出した。
真宵ちゃんも変わらないけど、春美ちゃんも変わらないなあ。
相変わらず真宵ちゃんが大好きだ。

春美が無事に合流したのを見届けてから、成歩堂は再び混雑している浜辺を見渡した。
男女分かれて更衣室に入ってからもう30分は過ぎている。
日が高くなって来て、ビーチのにぎわいも一層華やかだ。数え切れないほどの家族連れに友達同
士、そしてカップル達が芋を洗うかのようにごった返す海辺でそれぞれに夏を満喫している。
成歩堂の寝転ぶパラソルのそばでは、チャラチャラした男達が際どい水着を来た若い女の子を必
死で口説いている。夏は出会いの季節、海は出会いの場として名高いから、必死に恋人候補でも探
しているのだろう。
おいおい、どこか別のトコロでやってくれよ。
目障りなのを堪えて目を逸らすように海の家の方を見遣った成歩堂は、不意に不安を覚えて顔を
あげた。


まさか。

パラソルの横でナンパを繰り広げていた男達は、意中の女の子を口説き落としたらしい。楽しげ
な歓声をあげながら遠ざかって行く。
少しずつ小さくなって行く女の子の後ろ姿が、真宵と重なった。

真宵ちゃん、不埒な奴に絡まれて、身動き取れなくなってるんじゃ……。

大柄な男たちに囲まれて、ひどく怯えた顔をした真宵が浮かぶ。
春美は準備に時間がかかっていると言っていたが、いくらなんでも30分はかかり過ぎだ。

真宵ちゃん小さいから、腕なんて引っ張られたらあっという間に人目につかない場所に連れ込ま
れて……。

真宵を取り囲む男達の顔は黒く塗り潰されていて、人相も表情もわからない。だが口と目だけは
くりぬいたように白く不気味に浮かび上がり、その三つの点はいやらしい笑いを浮かべている。
壁を背に追いつめられて最早逃げ場のない真宵は、震えながら男たちを見上げて懸命に泣きべそ
を浮かべて懇願するが、その願いも空しくこわばった身体は引きずり倒され、細い身体を覆う水着
は男たちに無残にむしり取られていく。あらわになる白い肌。複数の男に手足を押さえつけられた
真宵があげた悲鳴は、口を押さえつけた男の手の中に小さく消えて──。

──わああああああ!!!

余りにもリアルに再現された脳内映像に、成歩堂は思わずうろたえた。

そうだ。彼女にはちょっと目を離した隙に連れ去られて殺されそうになった前歴があるじゃない
か。いやでももうあの頃と違って子どもじゃないんだから心配いらないか。いやいや、あの頃も丸
っきりの子どもというわけじゃなかったし、むしろコドモじゃないから心配なんじゃないか……!

「……ちょっと、見て来よっかな」

誰も聞いちゃいないのに、成歩堂はポツリと呟いて、のそりと起き上がった。
成歩堂が一瞬にして繰り広げた妄想ほど極端ではないにしろ、元からトラブルに巻き込まれやす
い真宵のことだから、どこかで困っている可能性は否定出来なかった。
炎天下かつ人で溢れた浜辺を歩くのは気が重いが、そうも言ってられない。

立てた膝に手をついて立ち上がろうとしたその刹那、ポンポンと肩を叩かれて成歩堂は振り向い
た。
強い陽射しが逆光になって、顔が見えない。
──が、その高めの柔らかい声は聞き間違えのないほど慣れ親しんだ声で……。

「お。こんなトコロにいいオトコ、発見……!」
「──真宵ちゃん……!」

成歩堂は思わず「はぁぁぁぁぁ……」と、内臓が引きずり出されそうなほど深い溜め息をついて
しまった。

「あまりにも遅いから心配しただろ? 何、してたんだよ」
「え。ご、ごめん。準備してたんだよ」

成歩堂の語気に存外強い響きがあって、真宵は綻ばせていた口元を引き締めた。

「準備……?」
「うん。あんまり日焼けしたら着物が似合わなくなっちゃうから、念入りに日焼け止め塗ってたん
だけど……」
「それならそうと、春美ちゃんに言っておくとかさ」
「だって、だって。そしたらはみちゃん手伝おうとするじゃないっ! ……でも、心配かけてごめ
んなさい……」

真宵は頬を膨らませて怒って見せたが、すぐにしゅんとうなだれた。小さくなって眉尻を下げた
しおらしい姿は、まるで親に叱られてしょげている子どものようで、そんな表情と素直さは、いく
つになっても可愛いかった。
言われてみれば、確かに真宵の水着はみぬき達のものよりも少々露出の度合いが高い。この雪の
ように白い肌がこんがり赤く日焼けしてしまっては、振り袖はさまにならないだろう。

──それにしても。
じっくり見れば見るほど際どい水着だった。
白いビキニの腰にまとった薄桃色のパレオは、なんとシースルー。瑞々しい胸の果実を覆う白い
布は、真ん中でリボン結びにしていて、ちょっと引っ張られればツンと上を向いた果実がポロンポ
ロンとこぼれてしまいそうだ。みぬきや春美では着こなせないであろう水着。
その姿は余りにも扇情的で、下半身の一ヶ所に急激に血液が集まっていく。

あの真宵ちゃんがこんな水着を着るようになるなんて……!

「キミってさ……」
「うん?」

話しかけられた真宵は、もっと成歩堂の声に耳を傾けようと前屈みになって覗き込むように耳を
寄せた。
たわわに実った果実が、重力に負けて成歩堂のすぐ目の前でプルンと揺れた。

「か、顔に似合わず大胆だよね」
「え。……ああ、水着?」
「まあね」
「あはは、これね。はみちゃんとみぬきちゃんが選んでくれたんだけど……」

そこまで言うと、途端に赤らめた顔を寄せて来て真宵は恥ずかしげに耳打ちした。

「なるほどくんのために、思いきってみたんだよ……? どうかな……?」
「──!」


ああ、もう限界だあ……。
おもむろに立ち上がった成歩堂は、ガシっと真宵の腕を掴むとズンズンと歩き出した。

「え。ちょ、なるほどくん!? なに? 突然どうしちゃったの……!?」

真宵は足を突っ張って抵抗するが、砂浜においてそれはまったく無意味な行為で、ずるずると身
体を引きずられていく。
ビーチサンダルが指の間に食い込んで、痛い。

「ねえ、どこ行くの……っ!? みんなが心配するよっ?」

オロオロと顔色をうかがう真宵を強引に引っ張りながら、成歩堂は人波を縫うように進んで行く。
振り返れば春美達の姿は遥か後方にかなり小さくなっていて、物言わぬ成歩堂を見上げる真宵の
不安はむくむくと膨らんでいく。
サラサラの砂浜だった足元は、いつの間にか一歩一歩踏みしめて足場を決めないと転びそうなほ
ど不安定な岩場になっている。気を抜けば海水で濡れた岩に足を滑らせそうで、真宵は成歩堂が支
えてくれる腕をギュッと力を込めて握り返した。

遠くに見えるビーチの喧騒が嘘のようだった。
かすかに聴こえて来るビーチの音楽は潮風に掻き消され、成歩堂と真宵の声の他には潮騒が響く
だけ……。

「どうしちゃったの? こんなトコロ誰もいないよ? 戻ろうよ」

不安げに見上げる真宵に、成歩堂はニヤリといやらしい笑みを浮かべた。

「誰もいないから来たんだよ」
「え。ええ?
「真宵ちゃんの水着姿、イヤラシイんだもんなあ」
「ええ……? ちょっと、なるほどくん……っ」


戸惑うばかりの真宵の肩を抱いてクルリと裏返すと、バランスを崩しそうになった彼女は反射的
に目の前の岩に手をついた。
真宵を支えるその岩が目隠しの役割を果たしていて、二人が立つ位置は浜辺からは死角になって
いた。

遠慮も何もなく脇の下から大きな手が侵入して来て、乳房を揉み始める。指の腹で円を描くよう
に胸の先端を優しく撫でられると、真宵の素直なカラダは早くも反応し始めた。
勝気で実に多彩な色を浮かべる瞳がトロンとして来て、可憐な唇からは熱い吐息を漏らし出す。
高まりと共に呼吸は切迫して乱れて行き、いつしか真宵の中心は熱さと切なさに囚われて、成歩堂
を求めて淫らな涙を流してしまうのだ。
先端をマッサージし続ける成歩堂の指先にはぷくりと膨らんだ突起物が当たり、それは水着の上
からでもハッキリわかるほど硬く勃ち上がっている。

「は……あ……っ」

真宵はやるせなさそうに溜め息をついた。
骨ばった成歩堂の指があやす場所はとても敏感で、そこを弄られているとすぐに秘所が熱くなっ
て来てしまう。
今だって例外ではない。
煮えたぎった血液が集まって来るような熱さが、既に真宵の下半身をじんわりと支配し始めてい
た。
肩で息する真宵の瞳は、うっとりと脱力している。

「や……っ! こんなトコで、ダメだよ……っ!! 誰か来たら、どうするの……っ!?」
「誰か来たら……?」

乳房をもてあそぶ成歩堂の手を払おうと、真宵は自らの手を重ねる。が、成歩堂は非力な真宵の
抵抗など物ともせず、それどころか尖った突起を摘まみあげて捏ね回して真宵から力を奪い、くっ
たりうなだれた首筋に顔を埋めて大きく息を吸い、胸いっぱいに広がった真宵の香りを味わう。長
い髪から漂う花のような香りが成歩堂を刺激する。


平均よりはいくぶん控え目ではあるものの、形良く盛り上がっている乳房を下から掬い上げるよ
うに抱えると、上下に揺すってみせた。

「こんなに小さい布じゃ、走って胸が揺れたら大変なことになっちゃうだろ」
「え……?」
「ほら、ね」
「ひゃ、ひゃあ……っ!」

揺れる乳房の重みで水着の布はどんどんずり落ちて行き、とうとうポロンと中身がこぼれた。

「ダメだよ、真宵ちゃん。こんな水着着てたら、男に“剥いで下さい”って言ってるようなもんだ
よ?」
「そ、そんなこと考えるの、なるほどくんだけだってば……!」

成歩堂はあらわになった裸の乳房を揉み上げながら、片手を下半身へと滑らせた。

「あっ」

するすると降りて来て腰を撫でた手が、じわりじわりと水着の中に忍び込んで来て、真宵はカラ
ダをビクリと震わせた。
耳元で感じる成歩堂の吐息は荒々しく湿気を帯びていて、飄々とした普段からは想像出来ない男
臭さが真宵を魅了する。
土手をゆっくりと撫でると、谷間から溢れ出した水が既に淡い茂みを湿らせていた。
真宵はガックリと首を垂れ、肩で息をしている。
成歩堂の二本の指は、土手の上を這うばかりで、なかなか谷間まで潜り込んではくれない。
柔らかい肉の盛り上がりを撫でられるだけでは満たされない。
もっと気持ち良くなる場所に触って欲しい……!

「なるほどくん……!」

谷間で身を硬くして愛されるのを待ちわびる芽も、異物で埋められ掻き回されるのを心待ちにし
ている洞窟も、各々が勝手気ままにヒクヒクと痙攣する。
わずかに腰を突き出して、水着の中で動き回る手に秘部を押しつけて、遠まわしに成歩堂を誘う。
だが成歩堂は誘惑に乗ることはなく、朱に染まっている耳を食み、それから耳の溝を舌でなぞり
回してから、ゆっくりと耳孔へと挿し入れた。

「や……、あ……、あ……」

クチクチと耳元で立つ音とくすぐったさに身をよじり、細く長く息を吐きながら顔を背けると、
すかさずそこを背後から彼にとらえられた。
パレオと同じ薄桃色に色づいた唇に己のそれを重ね、真宵が酸素を求めて離れたところを今度は
舌でなぞる。小さいわりにふっくらした下唇。そこをチロチロと舐めてから、真宵を求めて更に奥
深くへと侵入を試みた。真宵もまた、より濃厚な接触を持ちたくて、成歩堂を迎えに行く。
互いの口腔内の熱さに酔い痴れながら唾液を交換していると、どちらのものともつかない水が真
宵の肩へと糸を引いて滴り落ちた。
成歩堂はゆっくり土手をなぞり上げながら、耳元で囁いた。

「この水着、ぼくの前以外で着たらダメだよ」
「え……?」
「白なんて、盗撮の格好の餌食だ。それに、濡れたら透けるし……。それとも……」

秘芯を指の腹で転がすと、真宵は背中を震わせて仰け反った。

「──いろんなオトコに見られたいの?」
「ち、ちが……っ!」
「違う? でも今、中から変な汁が溢れてきたけど」
「う、嘘だよ。そんなコト、あるワケないもん……ッ」
「じゃあ、この音はなに?」

土手を押さえつけるように揉みまわすと、波の音とは違う水音がかすかに聴こえて来る。

「やぁ……!」
「スゴイよ、グチュグチュって」
「ああ……っ」
「ぼくの指、ふやけちゃいそうだよ。……ほら」

成歩堂は引き抜いた指を真宵に見せつけた。
テラテラと光る指先に、真宵の童顔が羞恥に歪む。

「いやぁ……」
「最近の盗撮って知ってる? 赤外線でぜーんぶ撮られちゃうんだ」
「やめて……!」
「どこかの男に裸を撮られて、ネタにされちゃう自分を想像して興奮したんだろ?」
「ちがう……」
「あれ? また濡れてきた。ぼく、まだ柔らかいトコロしか触ってないのに……」
「あ……っ」
「それに、ここが解けちゃえば胸なんか丸見えじゃないか」

そう言うと、成歩堂は乳房の膨らみの下に追いやられているブラジャーの結び目を解いた。すべ
ての戒めが取り払われて、真宵の上半身があらわになる。
真宵の乳房をかろうじて隠していた布は長方形の頼りないもので、結び目の痕跡をシワにして、
力無く成歩堂の手首にしなだれかかっていた。
しげしげとそれを見つめていた成歩堂が、ニヤリと笑みを浮かべた。
その昔、証人や検察官を追いつめたと確信した時に見せた、あの黒い笑顔。
それに気付いた真宵が「あ。」と声をあげる間もなく細い手首を束ねて、あっという間に白布で
縛り上げてしまった。

「いや、ちょっと、なるほどくん!? なに考えてるの?」
「イヤラシイこと考えてるけど?」
「もうっ! そういう意味じゃなくて、こんなの、もし誰か来たら──、んっ」

言い終わる前に、真宵は言葉を呑んだ。
不意に左の乳房の先端で生まれた電流が、光のように秘所へと駆け抜けた。途端に真宵のカラダ
から力が抜ける。
成歩堂は左の手で胸の突起を弄りまわしながら、右の人差し指と薬指で下半身の土手を割り、熱
くぬかるむ秘裂へ指を挿し込んだ。

「あっ」
「真宵ちゃん、少し足開いて、お尻を突き出してごらん……」

もっと気持ち良くさせて欲しい。
本能的にそう願ってしまう今の真宵には成歩堂の言葉に抗う理由もなく、誰かに見られてはいな
いかとキョロキョロしながら、ゆっくりと成歩堂の言う通りに肩幅ほどに足を開いて前屈みになっ
た。
束ねられた手をそっと岩につく。そうしてカラダを支えてやらないと、くず折れてしまいそうだ
った。
手のひらに触れるゴツゴツとした岩肌は、日に当たらないせいでひんやりと冷たかった。成歩堂
の触れている部分だけじゃなく、手のひらのような末梢の小さな場所すらも熱に浮かされたように
熱くなっていた。


普段は人よりも少し小振りな胸の膨らみは束ねた腕の間で強調され、更に前傾姿勢を取ったこと
で、たわわに実った葡萄のように重そうにぶら下がっていた。成歩堂はその先端に円を描きながら、
首筋に吸いついた。チと音を立てて血脈に情事の痕跡を残す。

真宵が姿勢を変える間も成歩堂は絶えず秘裂を掻きまわし続けていた。
真宵の好きな敏感な場所に触れて欲しいのに、成歩堂はそれを知っていて敢えて触らないのだ。

「ねえ、なるほどくん……」

疼く突起を慰めて欲しくて、肩越しに振り向いて成歩堂を見つめる。

「あのね……触って欲しいの。もうちょっと、前……」
「前? どこ? ここ?」

成歩堂の指が突起のすぐ脇を押さえて小刻みな振動を送ってくる。

「あっ、ちがう……!」

もどかしくて尻を突き出して揺する。

「どこ? ちゃんと口に出して言ってくれないとわからないよ」

真宵は恥ずかしくて死にそうになりながら、言った。
カタカナ五文字の、ある言葉を。

「──・・・・・、触って欲しい」
「はは、スケベだなぁ、キミは。まあ、そんなところもカワイイんだけどね」

成歩堂はそっと陰核に触れた。まずは皮の上から優しく撫でてやる。すると既に硬く勃っていた
真宵の芽はますます硬度を増して、中から恥ずかしげに顔を見せてくる。
そのコリコリとした感触を楽しみながら、時には真宵の奥からこんこんと湧き出る蜜をすくい取
って塗りつけて欲情を促してやる。

「ああ……、あっ、ん、ああっ、あんっ」
「すごい。どんどん膨れて硬くなるよ」
「や、ヤダ……!」
「イヤ?」

一瞬ためらって、真宵はふるふるとかぶりを振った。

「ぅ……ぁ……っ」
「……気持ち良いんだ?」

喘ぐのに精一杯で、真宵は夢中で頷いた。下半身がもっともっとと淫らにおねだりしていた。

すると、成歩堂は指を秘芯から浮かせて止めた。酸素を求めて大きく喘ぐように息する真宵の耳
元で囁いた。

「自分で腰、振って見せてよ」

真宵は思わず目を見開いた。
振り返ると熱っぽく真宵を見つめている彼の瞳と目が合う。

今日のなるほどくん、どうしちゃったの? まるで普段とは別人みたいだよ……。

戸惑いと羞恥と、本能の狭間で真宵は揺れる。

嫌ならやめれば良い。怒って成歩堂を突き飛ばせば良い。なるほどくんはああは言っても無理強
いなんてしないから。
なのになんでやられっ放しなんだろう。なんで言いなりになって手首なんて縛られてるの?
今だって口でほどくことが出来るのに、あたしはそれを望んでいない。
つまり、これはあたしが拒否しなかった結果であって、あたしが望んだことなんだ……。

真宵はほんのわずかに腰を浮かし、ヒクヒクとひくついている肉の芽を成歩堂の指に押し当てた。
擦りつけるように腰を動かし始める。

「あ……あ……」

擦れた陰核が熱く鋭い快感を生み、真宵は次第に腰を動かすことに夢中になって行く。
手首を束ねている白布と同じ布に包まれた尻が艶かしく動くのを、成歩堂はじっくりと視姦して
いた。

素直に快感に没頭する真宵が愛しい。
熱い珠に触れるたびに、つい指先を動かしたくなる衝動を抑えながら、成歩堂は左手で乳房を撫
で回す。上半身の突起もまた、ピンと上を向いて勃ち上がっていた。

真宵の背中に珠のような汗が流れていく。長く垂らした黒髪が、小さな背中に張りついて艶やか
なコントラストを作り上げている。

「なるほどくん……」

真宵が振り向いてこちらを泣きそうな瞳で見つめている。

「あたし、欲しくなっちゃった……」
「もう……?」
「うん。早く、イカせて欲しい」

クッと笑った。

「──じゃあ、おねだりして誘ってよ」
「え……?」
「この手、ほどいてあげるから」

成歩堂は真宵の手首を解放した。緩くではあったもののしばらく縛られていたそこは、軽く鬱血
して布の痕を残していた。

「おねだりって……」
「出来るよね、真宵ちゃんなら」

成歩堂の黒目がちの瞳が綺麗に弧を描く。優しげな笑みだが、有無を言わさない威圧感がある。
この顔をしている時は、なにを言ってもダメだと真宵は知っている。
真宵は溜め息をつきながら、カラダを更に深く屈めた。そして尻を後ろに突き出すと、水着の股
布をずらして秘裂を開いてみせた。粘液がぬるりと糸を引いて指や陰唇に絡みつく。

「ここに、なるほどくんの……、欲しい……」

震える指で広げられたそこは、美しい桃色の粘膜を愛蜜でテラテラと光らせていた。いやらしい
口が、ヒクリヒクリと呼吸しながら成歩堂を誘っている。

「エッチだね、相変わらず」

自分でさせた癖に。心の中で真宵は呟いた。

成歩堂は満足げな笑みを浮かべて水着から怒張を取り出すと、秘穴に宛がいヌプヌプとごく浅く
侵入し始めた。
何度交わっても真宵の入り口はとても狭い。少しずつ拡張するように、数ミリ埋めては戻り、数
ミリ埋めては戻り……と繰り返してやる。

「いじわるしないで、はやく……!」

挿入時に軽く絶頂感を得る真宵は焦らしに耐えかねて、自ら腰を押しつけた。
秘肉がぐにゃりと形を歪め、ずぶずぶと怒張を呑み込んで行く。拡げられる粘膜から下半身へと
広がる甘い痺れ。
円を描きながら徐々に沈めて行くと、最奥に到達するのを待たずに真宵が腰を振り始めた。

「あん、あ、ん、んあっ、や、あ、あ、ん、」

人気の岩場に真宵のよがり声が響く。
成歩堂は背後から手を伸ばして乳首を捏ね回しながらリズミカルに真宵を穿つ。
背後から犯されて、真宵の上体は激しく跳ねる。成歩堂を咥え込む真宵の秘部は丸見えで、蜜を
絡みつけた太い棒が出入りしている光景は卑猥の一言だった。
貫かれて揺さぶられている真宵がうっとりと呟く。

「あたしっ、コレ、すき……っ!」
「なにが……っ?」
「なるほどくんの、コレ……! すごい、だいすきっ」
「真宵ちゃんの、おま……こを、突いてるモノ?」

真宵は髪を振り乱しながら頷く。
成歩堂は今にも折れそうな腰を抱え込んで密着すると、小刻みに揺すり始めた。
子宮を直に捏ね回され揺さぶられる感覚が真宵を狂わす。

「あたしっ、なるほどくんの、オチンチン、好き……! 気持ち良く、なっちゃうの……!」

胎内がどんどん熱くなる。張り出した亀頭にゴリゴリと膣を抉られて、あまりの快感に真宵の全
身に鳥肌が勃つ。視界が涙で滲む。足も腰もガクガクと震え、もはや立っているのが精一杯だ。
真宵が絶頂を目前にしているのが一目でわかる。
成歩堂はそれだけ真宵のカラダを味わっていた。
初めてのオトコを教えたのも自分、未知の性感に戸惑う真宵のカラダを開発したのも自分だ。
初めて交わった時は酷く痛がり、泣いて泣いて仕方がなかったのに、次第にカラダが慣れるにつ
れて甘さを覚え、やめられないオトナの快楽を知って行く。
そんな真宵を見ているのは本当に愉快だった。

「ははっ、イヤラシイ子になったねぇ。前は痛がって泣いてたのになあ」
「は、ぅ、あ、あ、……ん、なるほどくんの……ッ、せい、だよっ」

真宵は片手を秘所へと宛がい、自らクリトリスを撫で始めた。恥ずかしいくらいコリコリと勃起
している。
しなやかな指の動きに合わせて、肉棒を咥えている粘膜がビクリビクリとわななき、キュウと締め付けてくる。


「はぁん……っ気持ち良い……っ」

ぐちょぐちょと結合部からいやらしい音が立ち、それが二人を追い立てる。

「あっ、ん、あ、あ、なるほどくん、あたし、もう、ダメ……! イッちゃいそう……!」
「ああ、ぼくも……どこに出して欲しい……?」

真宵は一瞬視線を宙にさまよわせた。瞳から涙が流れる。もうあと何回か突かれたら達してしま
いそうだった。

「──中に出して……! おまんこの奥に、欲しい……! あたし、なるほどくんの赤ちゃんが、
欲しい……!」

その瞬間、真宵がクッと締まり内襞が奥へと咥え込むように蠢き、それに誘われて成歩堂は真宵
の腰を抱え込むようにして最奥を貫いた。

「ぁ……っ!!」
「く……、あ……っ」

すっかり桃色に染まった背中を仰け反って硬直させながら、真宵は下腹部に広がる熱い液体と同
じ色にぼやけて行く世界に意識を投げ出した。

******

「……さん、成歩堂さん」
「……え?」

身体を揺さぶられて、成歩堂は目を開けた。
眩しい光が飛び込んで来て、思わず目を細める。

「大丈夫ですか? 寝不足ですか?」

中腰になって覗き込む王泥喜が、心配そうに眉を寄せている。
どうやら浜辺で眠り込んでいたらしい。
夢、だったのか……。
成歩堂は面にこそ出さなかったが、心の中では盛大にガッカリした。
どこから夢だったんだろう?
初めから? 真宵が来たところから? それとも岩場に連れ込んだところから……?

「……真宵ちゃんは?」
「ああ、もうすぐ来るみたいですよ。春美ちゃんに“大人の女性は準備が色々とあるのですよ!”
って言ってました」

背筋を伸ばした王泥喜が、後方の海の家の方へと視線を向ける。

「そうか」

少し離れたところでキャッキャと談笑している春美とみぬきの顔には、真宵も待ちたいが海にも入りたいと正直に書いてある。

「オドロキくんは二人を連れて先に遊んでおいでよ。彼女はぼくが待つから」
「良いんですか?」
「ああ。さ、行きなさい」
「じゃあ、お言葉に甘えて」

ペコリとお辞儀をすると、二人の少女の元へと駆けて行った。
合流した三人は、仲良く海へと走って行く。

若いって良いなあ。

遠くでみぬきが呼んでいる。見ると春美と一緒に思いっきり伸ばした手をぶんぶんと振っている。
少女らしく爽やかな二人に笑って手を振り返してやった。
それに比べて自分の荒んだことと言ったら。
海水浴に来てうたた寝してまで彼女との情事を夢に見るだなんて、聞いたことがない。
どんだけ変態なんだ。
しかも、真宵ちゃんはあんなに大胆なコトは言わないじゃないか。恥じらいながら悶える様が可
愛いんだ。
……でも、たまにはあんな風に本能ムキだしっていうのも悪くないなあ。

夢の中の痴態を思い出して緩みそうになる口元を引き締めた時、肩をツンツンと突かれて成歩堂
は振り向いた。

「お。こんなトコロにいいオトコ、発見……!」

……え。

すぐ目の前に、たわわに実った真っ白い果実が「食べごろですよ」と言わんばかりにぶら下がっ
ていて面食らう。
その果実を覆う、純白の布地。果実の中央でふんわり揺れるリボン。そして、腰にまとった薄桃
色のシースルーのパレオ。
違うのは、左耳の横に、白いハイビスカスの花飾りを飾っているところだけ。
桜色の唇が、恥ずかしげにほころぶ。

「なるほどくんのために、思いきってみたんだよ……? どうかな……?」

「──っ!!」

ガバリと立ち上がった成歩堂は、頬を赤らめた真宵の腕を取りずんずんと歩き出した。
人ごみの中を迷うことなく進んで行く。

「ちょっと、なるほどくん、どこ行くの?」
「向こうの岩場」
「ここ、来たことあるの?」
「──いや、ぼくの勘。だけど、よく当たるんだ」
「ふーん……?」
「そんなトコロでなにするの? みんな心配するよ?」
「大丈夫、気持ちイイことだから。きっと、キミも気に入るよ」
「へー? なんだろ?」

細い手首を握り締めながら、成歩堂は期待に胸(と股間)を弾ませた。


終わり

 

最終更新:2010年03月26日 22:56