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おしかけ弟子:日本編 - (2011/03/27 (日) 01:15:04) のソース

6 : 名無しさん@ピンキー : 2010/07/17(土) 11:56:48 ID: msKP8wtb

    【おしかけ弟子:日本編】

    眠りから突然目が覚めるのは腹立たしい。それが悪夢のせいならなおさらだ。
    「ちっ…」
    もう一回目を閉じ睡眠を試みるが眠れない。……完全に起きてしまったみたいだ。
    時計に目をやると3:30と表示されている。なんとも中途半端な時間。
    「……酒でも飲むか」
    幸いな事に明日土曜はオフだ。変な時間になっても大丈夫だろう。
    だがベッドから起き出るには障害がある。俺の隣で右腕にしがみつく様に寝てる少年――フォン。
    なんとも穏やかな顔で寝ているこいつを、起してしまうのは避けたい。
    「起きるなよ…」
    そう言って慎重に慎重を重ねて、フォンの指を一本一本自分の腕から引き剥がしていく。
    あの国にいた頃は別々に寝ていたのだが、日本に来てからはずっと一緒に寝ている。
    「うんっ…ししょう…」
    不意に声を出すフォン。いかん、起してしまったか?
    「トイレ…流してください…」
    その瞬間、緊張していた全身が弛緩する。
    「………寝言か。しかしどんな夢を見てるんだこいつ?」
    10分ほどかけてようやくフォンを腕から離す。なんとか起さず済んだか。
    そのまま、寝息をたてるフォンの柔らかい髪を撫でて寝室を出た。

    冷蔵庫からビールを取り出し、リビングのソファーに腰掛ける。
    「四ヶ月か」
    フォンを連れて帰国して四ヶ月。フォンの滞在ビザを、手に入れるのは大変だった『いろいろ』やったしな。
    そうやって松尾の団体で、初代チャンピオンになったのが三週間前。
    飾ってある写真に目をやる。その中でチャンピオンベルト持った俺と、俺に泣きながら笑顔で抱きついているフォン。
    あの時は俺より喜んでたな。まるで自分の事のように……あの晩俺は言った。フォンも成功も全部手に入れると。
    それは半ば自分のせいで俺が成功を逃そうとしていると、思っていたあいつを安心させる為に言った台詞だ。
    でも今ではそれが正しいような気がする。
    大切な人を捨てて得た成功も、逆にそういった物を捨てて大切な人を選ぶのも片手落ちではないのか。
    本来それは、二者択一なんかじゃないはずなんだ。
    「……何偉そうな事考えてんだ。運がよかっただけだろ、一歩間違ったら…」
    そう一歩間違ったら変態同性愛者として、散々に非難されていたかもしれない。
    だがそうはならなかった。なぜかフォンの事は俺が武者修行中に、孤児のフォンを連れ帰ったという嘘美談になっている。
    それも多分俺がチャンピオンになったのと、松尾のイメージ戦略の成果だろう。
    「こないだもテレビで嘘混じりの感動話しやがって」
    しかしそのお陰で、フォンと暮らしていても今の所なんと言われることもない。
    それどころか『励ましのお手紙』を多々頂戴している。
    「感動しました。フォン君のためにも、次も防衛して下さい」
    「加藤さんの優しさに胸を打たれました。僕も加藤さんみたいになりたいです」
    「これフォン君に食べさせてあげて下さい」(高そうな菓子つき)
    ……こうやって虚像とは作られていくのだろうか。 

7 : 名無しさん@ピンキー : 2010/07/17(土) 11:59:22 ID: msKP8wtb
    「師匠…」
    背後から聞こえる声。あちゃあ起してしまったか。
    「ああ、ごめんな。ちょっと目が覚めてしまったから酒飲んでたんだ」
    「そうですか」
    「気にせず寝てて良いぞ」
    しかしフォンは寝室には戻らず俺の隣にちょこんと座った。
    「……聞こえなかったのか?」
    「師匠が眠れないのに、一人で寝るのなんか嫌です。明日はお休みですし僕も起きてます」
    などと言ってるが、かなり眠そうな様子で目を擦っている。その仕草が愛らしく見えるのは、酒のせいではないはずだ。
    「……可愛いやつめ」
    「うわっ!?」
    フォンを抱え上げ、膝の上に座らせ抱きしめて後頭部に顔を埋める。急にそうしたくなって、堪らなくなった。
    頭からはシャンプーと、少しの汗の匂いが鼻腔をくすぐった。
    「師匠……いきなりすぎますよ。酔っ払っちゃったんですか?」
    「……ごめんな。嫌な夢を見たんだよ」
    「どんな夢ですか?」
    「…お前が死ぬ夢」
    その言葉で微かに震えるフォン。
    「なんで僕死んじゃったんですか?」
    「知らん。でも病室で死にそうな顔してた」
    我ながら論理性のない話だ。
    「…僕なにか言ってました?」
    「師匠ありがとうございましたって…死にそうな癖して」
    「うわぁ……言いそう」
    言いそうなのか。なら俺もいい加減お前のことが、分かってるって事かな。
    「……それだけじゃなくて、僕のことはすぐ忘れて下さいってさ。忘れられる訳ないのに」
    思い出して、抱きしめる力を強くする。軟らかくもあり硬くもあるそんな感触。
    以前はもう少し、軟らかかったような気がする。筋肉がついてきたんだなこいつも。
    「師匠…どうしたんですか?」
    「別に……お前ちょっと重くなったな」
    なんだか涙が出そうだ。それを悟られたくなくて、ワザとらしく話を変える。
    「師匠と食べてるとなんでも美味しくて……」
    俺の機嫌を取っているわけではない。本気の言葉だろう…実際食事の時のフォンはいつも楽しそうだ。
    「全く…なんでお前はそう俺を……」
    「ひゃん!?」
    左手でパンツの中のものをまさぐると、フォンは高い声を上げる。
    「じっとしてろ」
    皮に包まれた幼いそれを上下左右にもみしだく。
    「あ、あうぅ、師匠っっ……」
    俺が指を動かすたびに、甘さを帯びるフォンの声。いつものことだ。
    「ちょ…っと、師匠…ヘンですよ……ああっ!」
    「そう変なんだよ」
    変になっているのはあの夢のせいだ。だからこうやってお前を……。
    「嫌か?嫌ならやめるが」
    「イヤ…じゃないですけど……あふぅんっ!」
    フォンのものはもう既に大きくなって、先走りを出している。
    「嫌じゃないなら、なんなんだ?」
    「ず…るい…よぅ……ししょうのいじわる…」
    喘ぎながら言うフォン。いじわるか、確かにそうだな。
    「……ごめんな。不安になってるんだよ。あんな夢で」
    パンツの中に突っ込んだ手を止める。このまま不安を誤魔化すようにやるなんてダメだよな、言うべき事は言わないと。
    「ふえっ?」
    「お前が死ぬなんてたとえ夢でもゴメンなのさ」
    「………」
    「弱いんだよ。フォンが思ってるより俺は。多分もうお前抜きじゃなにも出来やしない」
    そう言って抱いたままソファーに倒れこみ、フォンの向きを変え立たせる。ちょうど俺に馬乗りになる形だ。 

8 : 名無しさん@ピンキー : 2010/07/17(土) 12:00:49 ID: msKP8wtb
    「幻滅したか?」
    フォンは静かな目で俺を見下ろしたまま答えない。こんな目は初めて見たかもしれない。
    「なんとか言って…わっぷ!?」
    いきなりフォンが倒れこんできて、唇を合わせる。
    「んんっ……」
    「くふぅ…うぅ!」
    キスが嫌というわけじゃなかったが、面食らってしまったのでフォンを引き剥がした。
    「っはぁ……」
    「ふふっ…これでおあいこですね師匠」
    悪戯っぽく笑うフォン。
    「師匠……僕今すっごく嬉しいです」
    「なんでだ?」
    「だって師匠が僕に弱いところを、見せてくれたんですよ?」
    フォンの黒い瞳が潤む。
    「師匠の事は大好きですし、一番強い人だって尊敬してます。その師匠が僕を頼りにしてくれる、僕にも出来ることがある…」
    また顔を近づけてくるフォン。もう互いの息がかかる距離だ。
    「そんなの……嬉しいに決まってるじゃないですか!」
    「っ……フォン!」
    そう言って涙を滲ませ微笑むフォンを見て、我慢できず抱きしめて俺からキスをする。
    フォンの言葉と気持ち……本当に泣いてしまいそうだ。
    「んぷっ…」
    先ほどとは違い、今度はたっぷり味合う。歯茎に蛇のように舌を這わせ、舌と舌を絡めて引き出して音が鳴るくらいに吸う。
    そうやって、数分が過ぎただろうか。俺は、名残惜しげに口を離しささやく。
    「さっきの続き…しないか?」
    「え~……どうしよっかな」
    「…いじわるだな」
    そんな言葉を交わしそのままフォンを抱き上げ、寝室に直行しベッドに転がす。
    「師匠……僕したいなんて言ってませんよ?」
    先ほどのように悪戯っぽく笑うフォン。
    「ずいぶん生意気な事言うな…反抗期か」
    「ハンコウキって……なんですか?」
    かみ合わぬ会話だが、お互い十分に気持ちは分かってる。
    「無理やりでもやるけどね」
    「えぇ~師匠ひどい」
    言葉とは裏腹に緩む互いの顔。
    「そんな事言いながら、ここはしたくて堪らないみたいだぞ?」
    立ち上がってるフォンのものをゆっくり指でなぞる。
    「うあっ…だめぇっ…でちゃいます……」
    「まだダメだからな。俺ので逝かせてやる」
    パジャマを脱がし露になる褐色の肢体。やっぱり出合った頃より少し大きくなったかな。
    「指、入れるぞ」
    ベッドの脇のローションを指に付けて、フォンの肛門に差し入れ塗りたくる。
    慣れてるここは、俺の指を簡単に飲み込む。くちゃくちゃという音が耳に届く。
    「あふぅ…」
    前立腺には注意する。あんまり触りすぎると、出してしまうからな。
    それでもフォンのそれは、更に硬さを増して「はやくチンポを入れて」ってねだってるみたいだ。
    「こんなもんだな。じゃあ、行くぞ…」
    仰向けのフォンにのしかかり、入り口に俺のものをあてがう。
    一瞬フォンは震えるが、すぐに収まりこっちを見て笑った。
    「師匠……大好きです」
    「…俺も好きで好きで堪らないよ」
    いつも挿入の前はこんなこと言ってる。だけど未だに、こういう台詞は恥ずかしい。
    顔が赤くなったのを、フォンに気付かれてなきゃ良いが。 

9 : 名無しさん@ピンキー : 2010/07/17(土) 12:02:48 ID: msKP8wtb
    「ふぅあっ…あくっ…」
    先端が体内に入り腰を軽く浮かすフォン。
    「師匠はやく、奥まで……」
    「あせるなよ…バカ弟子」
    そんな事を言いながら俺も早く、フォンの最奥まで入れたくて仕方がない。
    しかしそれを抑えてそのまま遅くでも早くでもなく、腰を使いながら突き進む。
    「ああああっ……いい…もっとぉ」
    「相変わらずお前の中は暖かくて、締まって絡み付いて…最高だよ」
    そう褒めながら、出し入れを始める。お世辞でもなく突けば突くほど、そんな感じがするんだ。
    「俺もフォン君に奉仕しなきゃな」
    「んんっ…ふにゃっ……くふぅ!」
    肉棒で体内を突くのと同時に、フォンのペニスを弄ってやるのも忘れない。
    すでに出来上がっているそこは、俺の手と中からの両方の刺激でぴちゃぴちゃと水音をたてて鳴いている。
    「良い…良すぎてもうイ、イッちゃう、うああっ!」
    快感を逃そうとしてるのかフォンは首を振る。中性的で子供のあどけなさを、十二分に残した顔が乱れてる。
    フォンの表情で一番好きなのは笑顔だけど、こういう顔も………張の野郎の気持ちも少しは理解できるか。
    「…うっく…い…あっ…!ああ……師匠…ごめんなさい、がまん…できません……」
    「構わんよ…先に出せ」
    口から唾液を垂らし謝罪の言葉を吐いて、膨張したフォン自身から白濁した液体が飛ぶ。
    それは勢い良く飛び出して、覆いかぶさる俺の腹にかかる。フォンは俺に気を使ってか自慰を殆どしない。
    だからセックスの時はいつもこうだ。とはいえ全く嫌な気はしないのだが。
    「うあ…ぁぁ…また……師匠にかけちゃった……」
    射精によって体が痙攣して、アナルが伸縮する。くぅ…毎度のこととはいえ気持ちいいな。
    「フォンのなら、頭から被りたいぐらいだよ」
    「そんなの、汚いで…ふぁっ!…あ……師匠…師匠ぉ…」
    勿論フォンが、一回の射精ぐらいで萎えないことも俺は知ってる。
    イッた直後の敏感になった所をつついてやれば、容易にもう一度角度と硬度を取り戻す。
    正直俺より、射精できる回数が多いんじゃないかって思う。
    「もっと出してみろ、腹といわず胸や顔に届くくらい」
    そう言って褐色の胸と乳首を舐め回す。
    「師匠そこは、ううっ…はうあっ!…くぅあっ……あう!」
    まるで女のような喘ぎ声。ボーイ……なんちゃらだっけ?まなんでも良いか。
    抱いてる時ぐらいしか、こんなフォンの声聞けないんだから。
    「んがっ、ひあぁぅぅ…」
    俺の舌の中でピンと屹立するフォンの乳首。こうすれば『アレ』もやりやすい。
    「フォンはここを、こうするのが大好きなんだよな」
    「あっ…ああっ!?それ…感じすぎるから…やめて下さ……んああっ!!」
    歯先で乳首を甘噛みしてやる。こないだ偶然発見したツボだ。
    「あひゃううっ!……も、もぉ…だめ…って……言ったのに」
    「喜んでるじゃないか。さらに良く締まってるし…またチンポから蜜が出てる」
    イッた時よりもキュウキュウに締め付けるフォンの中。この分なら、出してもおそらく外にはこぼれては来ないだろう。
    「ふはぁっ…!師匠…僕も…また…!」
    「俺も駄目だ、そろそろ出る…!」
    フォンの中で俺自身が膨らんで、熱い精液を吐露したのと同時にフォンの体が再び魚のように跳ねて、そのまま同じものを発射した。
    「ああっ……師匠………!」
    「…今日は俺の腹が真っ白になりそうだな」
    フォンの涎を指で救いながら言う。まだまだお互いを求めてる事は、言葉を交わさずとも分かっていた。 

10 : 名無しさん@ピンキー : 2010/07/17(土) 12:04:54 ID: msKP8wtb
    二人で幾度となく交わりながら、ようやく静けさをもった夜…というより明け方。
    フォンはまた俺にしがみ付くようにして寝ている。そっと首筋に手をやれば体温が、手を通して伝わってくる。
    「フォン…俺の恋人…俺の家族…俺の弟子」
    ふと頭をよぎった言葉。一体どれが正解なんだろう、それとも全部正解なのか。
    以前こいつは俺に自分が依存していると言った。だが今では俺だってそうなのは明確だ。
    「誰にも渡さない…渡せない」
    俺もフォンにしがみ付く。たまには良いだろ?たまにはな。
    そう思いながら抱きしめれば、不眠なんかすぐにどこかに消えていってしまった。

    「ん……あ……」
    肉が焼ける匂いに目を覚ます。腕の中には空気しかない……飯作ってんのか。
    なんだか物凄く良い夢を、見ていた気がするが思い出せない。
    頭を掻きながら、時計に目をやると11:45と表示してある。もう昼か。
    「フォン、なに作ってんだ?」
    寝室を出ながらキッチンに向かう。
    「あっ、師匠お早うございます。今日は天気がいいから、お弁当にして外で食べませんか?」
    三角巾とエプロンをつけたフォンがこっちを見る。弁当箱には、握り飯や卵焼き、ソーセージなんかが入っている。
    窓から外を眺めると、確かにいい天気だ。
    「外ねぇ……公園とかか?」
    「はい」
    ちょっと想像する。昼の公園で弁当を広げる、ガタイの良い男と褐色の少年。
    間抜けではないが、ちょっとマッチしてるとは言い難いかもしれない。
    もしかしたら俺を知ってる人間に、何か言われるという事もありえる。
    「ねっ、二人で行きましょうよ!」
    迷ってる俺に、にっこりと笑うフォン。……だめだ、この顔をされたら何も断れる気がしない。
    「…分かったよ、行こう二人でな。その後は稽古つけてやる」
    はしゃぎ気味のフォンに、俺は平静を装ってそう返事をした。 
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