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488 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:31:58 ID:0d6dwaGq 【太陽に灼かれて~屋根の上のショタ二匹~】 小太郎君が負けた。 あのクウネルさんというフードの男の人に手も足も出なかった。 魔力で強化した視覚と聴覚に届いたのは、滲む涙と──僕との約束を守ろうとする必死の呟き。 救護室に運ばれる小太郎君の姿を目にして、僕はいてもたってもいられなくなった。 慰めようと観客席を飛び出そうとした。 それを制したのは、同じように観客席で観戦していた長谷川さんだった。 ──一番ライバルで、親友に。負けた姿を見られたいと思うのか──と。 普段の敬語ではなく、少し荒い口調で諫められた。 …今考えれば、それだけ僕のしようとしていたことが強く相手を傷つけることだったんだと理解できる。 それでも、そのときの僕は小太郎君が心配で仕方なく。 ──長谷川さんには悪いと思ったのだけど、次の試合の準備をすると嘘をついてその場を離れた。 489 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:32:33 ID:0d6dwaGq …そんな自問自答の末にネギが観客席を飛び出して、小太郎を探し始めたちょうどそのころ。 臨時救護室を飛び出した小太郎は龍宮神社の屋根の上で例えようのない絶望感に襲われていた。 ──ネギに負け、楓に負け。 ──それからも必死で鍛練を続けてきたのに。 ──決勝で会おうと約束したのにも関わらず、クウネルに手も足も出なかった。 ──ネギは、あれほど実力差のあったタカミチをも機転と勇気で打ち破ったというのに。 ──それまで信じてきた自信が揺らぐ。 ──自分は強いのだという確固たる自信が、瓦解しそうになる。 小太郎の心は──自分が弱くなったと考える気持ち以上に、ネギとの関係に傾いていた。 親友として、ライバルとして。 切磋琢磨することで今まで築いてきた信頼関係が、友情が。 すべて無くなってしまうのではないかという恐怖が足元からぞわりと這い上がってくる。 戦いが無くなってしまっては、自分がネギに勝てることなどなにもない、と。 涙が溢れてくる。恥も外聞もなくしゃくりあげる。 「……ネギが、俺のこと見てくれへんようになったら…どないしょう…」 こんなに、何かが怖いと思ったことは無かった。 孤児として苛めにあったときだって、持ち前の負けん気ではねのけてきた。 生きる為にしてきた様々な荒事──命が危険に晒されたことも幾度となくあった──も、むしろ楽しんできた。 そうして培ってきた強い心が、ネギを思い浮かべるだけで恐怖に震える。 自分の不甲斐なさに彼が失望しているのではないかと考えるだけで、自分の存在意義を失ってしまいそうになる。 「──ネギ坊主は、そんな奴ではござらんよ」 「聞いた風な口を聞くなっ!」 小太郎を案じて追ってきた楓が慰めの言葉をかけるが、気休めにもならない。 屋根の端に立って肩を震わせる小太郎に対し、楓は一計を案じた。 「──コタロー。次の日曜から拙者と一緒に、修行をしてみぬか?」 もっと強くなろう、と。 悩むくらいなら鍛え上げよ、と。 490 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:33:20 ID:0d6dwaGq そうして差し伸べられた手に、小太郎は背を向けたままで悩み込む。 (──まだ、一人で考える時間が必要でござるか) そう判断した楓は、屋根から立ち去った。 「その気になったならば、いつでも拙者のところへ来るといいでござるよ」 と、一言を残して。 楓が去ってから、小太郎は屋根を囲んで設置された手すりに背を預け、力なく座り込んだ。 耐えきれぬように膝を抱えてうずくまる。 涙を乱暴に袖で拭き、鼻水をすすりあげた。 「……くそっ……!」 悲しみをたたえた瞳のままで、悔しさを一人吐き捨てる。 楓の申し出は、とても有り難いものであった。 自分のことを本当に心配してくれているのだということが、心の機微に疎い小太郎にも判った。 …しかし、そんなに簡単に人に頼ってしまっていいのかという思いも強いのだ。 今まで自分は独りで生きてきた。 独りだからこそ──ここまで強くなってこれたのだという自負がある。 群れることは弱さだと、唾棄してきた自分を否定してしまうようで。 小太郎は思考の迷宮に落ち込んでしまっていた。 「…………小太郎君、いる……?」 いくら考えても答えの出ない問いに煩悶している小太郎の耳に届いたのは、今一番会いたくない相手の声。 父親の姿を模したローブに身を包んだ、一回戦で負った傷も痛々しい親友。 穏やかな顔が、心底から心配そうにこちらを覗き込んでいるのだろう。 膝を抱えてふさぎ込んだままでも、そうだと言い切れた。 付き合いはまだ数カ月でしかないが、彼の人の良さは痛い程よく判っている。 ──ネギ坊主は、そんな奴ではござらんよ。 楓の言った言葉が頭の中を反響する。 491 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:33:57 ID:0d6dwaGq ──そんなことは判っとるんや。 今更言われるまでもなく、そんなことは最初から判りきっている。 戯れにネギと「ライバル」であると自称しているわけではない。 彼のことをよく知り、人柄に、強さに惹かれた。 そしてネギにとってもそうであったように、小太郎にとっても初めての同年代であったのだ。 彼は、信じられる。 それでも、疑心暗鬼になることを止められなかった。 …そして、判っていても、堪えられない屈辱がある。 拭いた先から溢れてくる涙を見られないように、屋根に登ってきたネギに背を向けた。 「……なんや、俺を笑いにきたんか」 ──頼む、帰ってくれ。こんな無様な俺を見んといてくれ。 そんな願いを込めて、ぶっきらぼうに言い放つ。 「…ち、違うよ。僕、小太郎君が心配で…」 「俺のことなんて心配せんでもええ。…お前、すぐに二回戦やろ。  こんな所におらんと、はよ行かんかっ!!」 心配して来たのに邪険にされることに当惑しているのか、縋るように近づいてくるネギに一喝をくれてやる。 ──これで、きっと戻ってくれるはずや。 ──そう、ネギはまだ負けとらへんのやから──俺の分まで勝ってほしい。 ──せやから…帰ってくれ。…こんな姿、お前にだけは見られとうない…。 屈辱を堪えた小太郎に、しかしネギは近づいてくるのを止めなかった。 それが、親友を追い込む最後の一手になるとは露知らず。 「だ、大丈夫。会場の床を張り直すのにまた時間かかってるみたいだから…。  ほら、クウネルさんの最後の一撃で────」 ネギが、自分の失言に気付いて口を押さえたときには既に時は遅く。 ──親友の口から、その名前だけは聞きたくなかった、と。 次の瞬間、まるで四足歩行の野犬のように飛び掛かってきた小太郎に押し倒されていた。 492 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:34:35 ID:0d6dwaGq 暑い日差しに焼かれて熱を持った屋根の瓦の上に組み敷かれる。 ネギは不安な眼差しで親友を見上げた。 その表情は強い日光で影になって伺うことができなかったが怒りにふるえ、…そして泣いているようにも感じられた。 「こ、小太郎君……ッ!?」 恐る恐る名前を呼んだ途端、頬を張り飛ばされた。 「…呼ぶなや。俺の名前を……呼ぶなっ!!」 悲痛にさえ聞こえる声で叫ぶと、小太郎はネギのローブを胸元から乱暴に剥ぎ取りにかかった。 引き裂かれるようにはだけさせられた胸元は、タカミチ戦で負った無数の生傷で痛々しい。 その中の一つ、一際赤く擦り切れた傷口に口を寄せる。 舌の上に広がる消毒液の味。 構わず舐めとり、傷を切開するように舌を這わせた。 「っぐ……! いたっ、っう……!!」 痛みに喘ぐネギを一顧だにせず、麻痺して痛みを感じなくなる前に──鋭い犬歯を、肌に突きたてた。 「~~っ!」 薄い胸板の上の乳首を噛み千切ろうとでもするかのように肌を貫く牙。 ぷくりと肌に浮いた血の滴を舐めあげると、ネギの身体がびくりと震えた。 「……こ、小太郎君、やぁ、やめ…て…っ…!」 掴まれた手と、組み敷かれた足を力なくばたつかせながら、拒否の言葉をあげるネギ。 ──その気になれば、怪我しとる今の俺なんかを振りほどくのは簡単なはずや。 ──それをコイツは……。 「……同情しとるんか、ネギ」 うつむき、前髪で表情が隠れた小太郎がネギに問う。 「答えろや。……俺を、哀れんどるんか……っ!!」 否、それは問うているのではなく、既に弾劾であった。 心の痛みが、悲しみが、屈辱が──狂ったように暴走を始める。 「…ち、違うよ。僕は……っ、くっ!」 「──言い訳はいらん」 弁解しようと口を開いたネギの頬を張り飛ばす。 怒りのためか、小太郎の爪はわずかに獣化して鋭く尖り始めていた。 ネギの頬に、切り傷が走る。 493 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:36:18 ID:0d6dwaGq 頬を流れていく赤い血を、まるで愛おしむように舌を這わせて拭い取る。 だが、その貌にあるのは愛とは程遠い残虐な笑み。 悲しげな眼で自分を見つめるネギを見返す瞳は、苛虐の喜びに満ちていた。 「ネギ、もうお前をライバルとは思わへん。…お前を犯したる。  その身体に俺と同じくらいの屈辱を刻んで、足腰立てへんようにしたる。  ──覚悟せぇや」 ネギの顎を指先で持ち上げ、にたりと口唇の端を吊り上げて笑う。 その様を見つめていたネギは、何かを告げようと口を開きかけて──噤んだ。 目尻に溜まった涙がつ──っ、と一筋だけ涙がこぼれる。 涙をたたえて揺れる瞳で小太郎を見返すと、淡く、笑いかけた。 「──……うん、いいよ。…小太郎君になら……犯されても」 陽炎さえも立ち上る炎天の下。 年端もいかぬ少年たちが、未成熟な性を解き放とうとしていた。 つづく  -[[後編へ>:【太陽に灼かれて~屋根の上のショタ二匹~後編】 (二次:ネギま・小太郎×ネギ)]]
488 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:31:58 ID:0d6dwaGq 【太陽に灼かれて~屋根の上のショタ二匹~】 小太郎君が負けた。 あのクウネルさんというフードの男の人に手も足も出なかった。 魔力で強化した視覚と聴覚に届いたのは、滲む涙と──僕との約束を守ろうとする必死の呟き。 救護室に運ばれる小太郎君の姿を目にして、僕はいてもたってもいられなくなった。 慰めようと観客席を飛び出そうとした。 それを制したのは、同じように観客席で観戦していた長谷川さんだった。 ──一番ライバルで、親友に。負けた姿を見られたいと思うのか──と。 普段の敬語ではなく、少し荒い口調で諫められた。 …今考えれば、それだけ僕のしようとしていたことが強く相手を傷つけることだったんだと理解できる。 それでも、そのときの僕は小太郎君が心配で仕方なく。 ──長谷川さんには悪いと思ったのだけど、次の試合の準備をすると嘘をついてその場を離れた。 489 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:32:33 ID:0d6dwaGq …そんな自問自答の末にネギが観客席を飛び出して、小太郎を探し始めたちょうどそのころ。 臨時救護室を飛び出した小太郎は龍宮神社の屋根の上で例えようのない絶望感に襲われていた。 ──ネギに負け、楓に負け。 ──それからも必死で鍛練を続けてきたのに。 ──決勝で会おうと約束したのにも関わらず、クウネルに手も足も出なかった。 ──ネギは、あれほど実力差のあったタカミチをも機転と勇気で打ち破ったというのに。 ──それまで信じてきた自信が揺らぐ。 ──自分は強いのだという確固たる自信が、瓦解しそうになる。 小太郎の心は──自分が弱くなったと考える気持ち以上に、ネギとの関係に傾いていた。 親友として、ライバルとして。 切磋琢磨することで今まで築いてきた信頼関係が、友情が。 すべて無くなってしまうのではないかという恐怖が足元からぞわりと這い上がってくる。 戦いが無くなってしまっては、自分がネギに勝てることなどなにもない、と。 涙が溢れてくる。恥も外聞もなくしゃくりあげる。 「……ネギが、俺のこと見てくれへんようになったら…どないしょう…」 こんなに、何かが怖いと思ったことは無かった。 孤児として苛めにあったときだって、持ち前の負けん気ではねのけてきた。 生きる為にしてきた様々な荒事──命が危険に晒されたことも幾度となくあった──も、むしろ楽しんできた。 そうして培ってきた強い心が、ネギを思い浮かべるだけで恐怖に震える。 自分の不甲斐なさに彼が失望しているのではないかと考えるだけで、自分の存在意義を失ってしまいそうになる。 「──ネギ坊主は、そんな奴ではござらんよ」 「聞いた風な口を聞くなっ!」 小太郎を案じて追ってきた楓が慰めの言葉をかけるが、気休めにもならない。 屋根の端に立って肩を震わせる小太郎に対し、楓は一計を案じた。 「──コタロー。次の日曜から拙者と一緒に、修行をしてみぬか?」 もっと強くなろう、と。 悩むくらいなら鍛え上げよ、と。 490 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:33:20 ID:0d6dwaGq そうして差し伸べられた手に、小太郎は背を向けたままで悩み込む。 (──まだ、一人で考える時間が必要でござるか) そう判断した楓は、屋根から立ち去った。 「その気になったならば、いつでも拙者のところへ来るといいでござるよ」 と、一言を残して。 楓が去ってから、小太郎は屋根を囲んで設置された手すりに背を預け、力なく座り込んだ。 耐えきれぬように膝を抱えてうずくまる。 涙を乱暴に袖で拭き、鼻水をすすりあげた。 「……くそっ……!」 悲しみをたたえた瞳のままで、悔しさを一人吐き捨てる。 楓の申し出は、とても有り難いものであった。 自分のことを本当に心配してくれているのだということが、心の機微に疎い小太郎にも判った。 …しかし、そんなに簡単に人に頼ってしまっていいのかという思いも強いのだ。 今まで自分は独りで生きてきた。 独りだからこそ──ここまで強くなってこれたのだという自負がある。 群れることは弱さだと、唾棄してきた自分を否定してしまうようで。 小太郎は思考の迷宮に落ち込んでしまっていた。 「…………小太郎君、いる……?」 いくら考えても答えの出ない問いに煩悶している小太郎の耳に届いたのは、今一番会いたくない相手の声。 父親の姿を模したローブに身を包んだ、一回戦で負った傷も痛々しい親友。 穏やかな顔が、心底から心配そうにこちらを覗き込んでいるのだろう。 膝を抱えてふさぎ込んだままでも、そうだと言い切れた。 付き合いはまだ数カ月でしかないが、彼の人の良さは痛い程よく判っている。 ──ネギ坊主は、そんな奴ではござらんよ。 楓の言った言葉が頭の中を反響する。 491 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:33:57 ID:0d6dwaGq ──そんなことは判っとるんや。 今更言われるまでもなく、そんなことは最初から判りきっている。 戯れにネギと「ライバル」であると自称しているわけではない。 彼のことをよく知り、人柄に、強さに惹かれた。 そしてネギにとってもそうであったように、小太郎にとっても初めての同年代であったのだ。 彼は、信じられる。 それでも、疑心暗鬼になることを止められなかった。 …そして、判っていても、堪えられない屈辱がある。 拭いた先から溢れてくる涙を見られないように、屋根に登ってきたネギに背を向けた。 「……なんや、俺を笑いにきたんか」 ──頼む、帰ってくれ。こんな無様な俺を見んといてくれ。 そんな願いを込めて、ぶっきらぼうに言い放つ。 「…ち、違うよ。僕、小太郎君が心配で…」 「俺のことなんて心配せんでもええ。…お前、すぐに二回戦やろ。  こんな所におらんと、はよ行かんかっ!!」 心配して来たのに邪険にされることに当惑しているのか、縋るように近づいてくるネギに一喝をくれてやる。 ──これで、きっと戻ってくれるはずや。 ──そう、ネギはまだ負けとらへんのやから──俺の分まで勝ってほしい。 ──せやから…帰ってくれ。…こんな姿、お前にだけは見られとうない…。 屈辱を堪えた小太郎に、しかしネギは近づいてくるのを止めなかった。 それが、親友を追い込む最後の一手になるとは露知らず。 「だ、大丈夫。会場の床を張り直すのにまた時間かかってるみたいだから…。  ほら、クウネルさんの最後の一撃で────」 ネギが、自分の失言に気付いて口を押さえたときには既に時は遅く。 ──親友の口から、その名前だけは聞きたくなかった、と。 次の瞬間、まるで四足歩行の野犬のように飛び掛かってきた小太郎に押し倒されていた。 492 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:34:35 ID:0d6dwaGq 暑い日差しに焼かれて熱を持った屋根の瓦の上に組み敷かれる。 ネギは不安な眼差しで親友を見上げた。 その表情は強い日光で影になって伺うことができなかったが怒りにふるえ、…そして泣いているようにも感じられた。 「こ、小太郎君……ッ!?」 恐る恐る名前を呼んだ途端、頬を張り飛ばされた。 「…呼ぶなや。俺の名前を……呼ぶなっ!!」 悲痛にさえ聞こえる声で叫ぶと、小太郎はネギのローブを胸元から乱暴に剥ぎ取りにかかった。 引き裂かれるようにはだけさせられた胸元は、タカミチ戦で負った無数の生傷で痛々しい。 その中の一つ、一際赤く擦り切れた傷口に口を寄せる。 舌の上に広がる消毒液の味。 構わず舐めとり、傷を切開するように舌を這わせた。 「っぐ……! いたっ、っう……!!」 痛みに喘ぐネギを一顧だにせず、麻痺して痛みを感じなくなる前に──鋭い犬歯を、肌に突きたてた。 「~~っ!」 薄い胸板の上の乳首を噛み千切ろうとでもするかのように肌を貫く牙。 ぷくりと肌に浮いた血の滴を舐めあげると、ネギの身体がびくりと震えた。 「……こ、小太郎君、やぁ、やめ…て…っ…!」 掴まれた手と、組み敷かれた足を力なくばたつかせながら、拒否の言葉をあげるネギ。 ──その気になれば、怪我しとる今の俺なんかを振りほどくのは簡単なはずや。 ──それをコイツは……。 「……同情しとるんか、ネギ」 うつむき、前髪で表情が隠れた小太郎がネギに問う。 「答えろや。……俺を、哀れんどるんか……っ!!」 否、それは問うているのではなく、既に弾劾であった。 心の痛みが、悲しみが、屈辱が──狂ったように暴走を始める。 「…ち、違うよ。僕は……っ、くっ!」 「──言い訳はいらん」 弁解しようと口を開いたネギの頬を張り飛ばす。 怒りのためか、小太郎の爪はわずかに獣化して鋭く尖り始めていた。 ネギの頬に、切り傷が走る。 493 :ベンジャミン内村 ◆Q4Q0yKXgEE :2005/08/06(土) 22:36:18 ID:0d6dwaGq 頬を流れていく赤い血を、まるで愛おしむように舌を這わせて拭い取る。 だが、その貌にあるのは愛とは程遠い残虐な笑み。 悲しげな眼で自分を見つめるネギを見返す瞳は、苛虐の喜びに満ちていた。 「ネギ、もうお前をライバルとは思わへん。…お前を犯したる。  その身体に俺と同じくらいの屈辱を刻んで、足腰立てへんようにしたる。  ──覚悟せぇや」 ネギの顎を指先で持ち上げ、にたりと口唇の端を吊り上げて笑う。 その様を見つめていたネギは、何かを告げようと口を開きかけて──噤んだ。 目尻に溜まった涙がつ──っ、と一筋だけ涙がこぼれる。 涙をたたえて揺れる瞳で小太郎を見返すと、淡く、笑いかけた。 「──……うん、いいよ。…小太郎君になら……犯されても」 陽炎さえも立ち上る炎天の下。 年端もいかぬ少年たちが、未成熟な性を解き放とうとしていた。 つづく  -[[後編へ>:【太陽に灼かれて~屋根の上のショタ二匹~後編】 (二次:ネギま・小太郎×ネギ)]]

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