ショタとお兄さんでエロパロ 保管庫@ ウィキ

:無題 36-39


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36 :1:2009/04/18(土) 00:07:27 ID:6gaZju+y
 薄暗い路地裏に、男の濁った唸りが響いた。
その顔は腫れあがり、鼻からはぼたぼたと赤いものが滴り落ちている。
けばけばしい色をしたシャツにも、真っ赤なペイントが施されていた。
 極彩色のネオンが照らす夜の街。誰もが快楽の為に歩き、財布の中身を好きなだけ落としていく街。
この街では、なにもかもがまばゆく光り、人々を呑みこんで行く。
だが、派手に光るネオンは、真っ黒な影も―夜の闇よりもずっと黒い影も―作り出す。誰もが知っていて、敢えて見ようとはしない影だ。
 男は、今まさにその『影』に呑みこまれようとしていた。
「ふふ、苦しそうだねぇ」
 男の二メートル先に、少年が立っていた。
真っ黒な髪に真っ黒なスーツを身に纏い、
うっすらと笑みを浮かべ、男の事を眺めている。歳は14、5だろうか。
ボロボロの男とは対照的に、少年には埃ひとつ、塵ひとつついていない様に見える。
「がっぅ…て、めェ…」
 必死に唇を動かそうとするが、もはやそうする事さえも困難だった。
「あっは!くっちゃべるのもつらそう!」
 楽しそうにそう言うと、肩で荒い息を吐く男にゆっくりと近づいていく。
「でもさー、解ってるよね」
どこか艶やかな動作で、距離を縮める。その顔からはいつの間にか
笑みが消えていた。冷ややかな眼で男を見つめる。
「こうなったのは、遊んどいてカネを払わないおにーさんのせいだってさ」
 沈黙。男は黙って少年を睨みつけた。持っていたナイフは
はるか彼方どこかに蹴り飛ばされてしまったし、なにより蹴り飛ばされた時に、利き手は完全に破壊されていた。
追い詰められた―実質、もうおしまいである事は男にも解っていた―
男の頭の中で思考がとめどなく回転する。やがてそれはぐちゃぐちゃの
塊となり、男に最後の声を張り上げさせる黒々しい燃料になった。
「だ、黙りやがれこのクソガキがァッ!!あんなマズい酒とクソみてぇな女で
 カネとろうってか!?大体テメエみてえなカスが用心棒ってのも気にくわ」
 ごしゃり、と鈍い音が響く。最期の言葉を言い終わらない内に、少年の鋭く強靭な蹴りが、男の顔面を破壊していた。
 どう、とうつ伏せに倒れ、痙攣する男をゴミを見る様な眼で見下ろす。
「ごちゃごちゃうるさいんだよ、ブァーカ」
 そう吐き捨てると、少年は踵を返し、ネオンの光も煌びやかな『我が家』へ向ってゆっくりと歩き始めた。


37 :2:2009/04/18(土) 00:08:50 ID:6gaZju+y
夜の街の中でも、一際の賑わいを見せる大型クラブ。多くの人間が踊り、酒を喰らい、女を、男を喰らおうと各々の欲望に身を任せている。
それを尻目に少年は支配人室への階段をゆったりと上っていく。
「お疲れーぃ」
 少年は無造作に支配人室の扉を開ける。それこそこの扉は、少年にとって家族の待つリビングへの扉の様なものだ。
「おう、ルカ。御苦労だった」
低く、硬質な声が少年ールカ―を出迎えた。
 40歳前後の男が、眼下の光景―欲望のまま踊り狂う人々―から眼を離し、振り向く。
「いつも通り。カネもなにももってない、ただのデク。ほんとウンザリ」
 報告をしながら、どっかとソファーに座り込む。やわらかいソファーの感触がルカを包み込む。
「ねえジェラルド、なんでああいうヤツってほんっと!なんっにも!後先考えてないんだろ?」
 ジェラルドと呼ばれた男は高級そうな椅子にゆっくりと腰を下ろしながら微笑する。
「どうにかなると思ってるのさ」
 そう言うと、書類に眼を通し始める。今月も黒字が見込めそうだ。
「でもこういう所に来てカネを払わなきゃ、そういう目に遭うって事は
 どんなバカにだって解ると思うんだけど」
「解らないバカもいるのさ。そういう奴は迷惑なだけだ。程よいバカなら問題ないんだが」
「ふふ、なるほど。世の中みんなバカばっか」
 くすりと笑うと、のびをする。そこには歳相応の少年の姿があった。
「少し休むか?」
 書類にサインをしながらジェラルドが訊く。その態度は一見事務的だ。
初対面で、ジェラルドを「暖かい人」と思う者はいないだろう。だがルカは初対面ではないし、気心が知れた仲だ。
「大丈夫。閉店までまだまだあるし」
「ならよかった。無理はするなよ」
 相変わらずだな、とルカは微笑した。
 と、デスクの上の、銀色の電話が音を立てた。ワンコールしない内にジェラルドが受話器をとる。
「俺だ」
 なんと言っているかまではルカは聞き取れなかったが、電話の向こうの声の慌てふためいた調子は解った。
「おい、落ち着け、ラウロ」
 ラウロは年長のフロアマスターだ。ルカにさっきの男の始末を命じたのもラウロだった。
物静かだが仕事はきっちりとこなす、理想的なフロアマスター。
電話の向こうの人物がラウロだとにわかには信じがたいほど、その声は震えている。
「落ち着け!!」
 珍しくジェラルドが語気を荒げた。
「ああ、それで?…そのバカはまだここにいるのか?席番は?」
 ジェラルドの顔が険しくなる。
 どうやらお休みは終わりの様だ。ルカはぽんとソファから立ち上がる。
「よし、解った。お前はそいつをここから出さない様にしておけ。今からそっちに行く。
 いいか、あまり刺激するな」
 ジェラルドが叩きつけるように電話を切る。
「下にいくぞ」
 その声はいつにも増して硬い。
「58番に特大級のバカが来てる。悪いが、仕事だ」
 ルカはだまって頷くと、抑えきれない怒気を発しているジェラルドに続いた。


38 :3:2009/04/18(土) 00:10:33 ID:6gaZju+y
二人が魚の卵程もいる人間をかきわけ、メインフロア58番の席にたどり着いた時目にしたものは、真っ二つにへし折れたテーブルと、
かつてグラスだったであろう粉々のガラス片。そして顔面を血で濡らし、床に仰向けに倒れているラウロだった。
「ラウロさん!」 
ルカがラウロを抱き起こす。
「ぐ…ルカ、か。く、そ…申し訳、ありません、ジェラルドさん」
ジェラルドを認めると、朦朧とした意識を取り戻す様に首を振りながら、ラウロが起き上がろうとする。
「いいからそのままでいろ。例のバカは?」
荒い息を吐きながら、ラウロは答える。
「ごほッ…出口、辺りだと思います。今さっきまでここにいたんです。」
 それに応えるかの様に一箇所しかないクラブの出口付近から複数の悲鳴が沸き起こった。
「ルカ、行け」
 ぼそりとジェラルドがルカに向って言った。その声は低く冷たい。
「自分がどんな最期を迎えるのか、カスに思い知らせて来い。好きなようにヤれ」
 こくりと頷き、ラウロの身体をジェラルドに預け立ち上がると、
ルカは路地裏でしたような微笑を浮かべ、唇を一舐めすると、出口へ走った。


 出口は踊り狂う人々から悲鳴を搾り出させるに充分な状態になっていた。
受付係のブルーノ、ガードのコラードの両方とも、鼻がひしゃげ、気絶している。
二人に一瞥をくれると、いまだ怯えた様子の客に話しかける。
「これやった奴、見た?」
 ルカの爛々と光る眼を見て、客はさらに怯えてしまった様子だ。
「い、今、そこを出てったよ」
「どんな格好?」
 間髪をいれずに訊く。
「でで、でかくて、白いファーのロングコート」
 それだけ聴けば十分だ。ルカは例も言わずにクラブの外へ飛び出した。
 眠らない街の雑踏の中でも、目当ての人物はすぐに見つかった。ルカの5メートルほど先を歩いている。
 いかにも高級な毛皮―シルバーフォックスだろうか―のコートがはっきりと見えた。
「みぃいっけ…!」
 にいぃっと笑うと、ルカは足早に男に向って歩く。後姿だけでも、男の身長が
相当高いのがわかる。190以上はあるだろう。
男まで一メートル。頭に飛び蹴りでも食らわせてやろう、そう思ったその時、男がぐる、と身体ごと振り向いた。



39 :4:2009/04/18(土) 00:13:02 ID:6gaZju+y
「!」
 思わず動きを止める。男が振り向いたのが、偶然か、そうでないのか、ルカに知る術はない。
シルバーフォックスの毛皮を肩に掛けたその男は、真っ黒なスラックス、真っ黒な革靴、真っ黒なシャツを身につけていた。
シャツの上からでも、屈強な筋肉が見て取れる。左手は無造作にポケットに突っ込まれていた。
頭頂部だけ金髪に染められたオールバックの髪型が眼を引いた。
この国の人間ではないだろう、明らかに顔が違う。歳はジェラルドよりは若そうだ。
「なんだ、てめぇは」
 ジェラルドともまた違う、低く濁った声が、ルカの耳をぬるりと舐めあげた。
「オジサン、ついさっきまでウチの店にいたよね」
 この男は今までのただのバカとは違うかもしれない、そう思いながらルカは尋ねた。
「イラついてる時に不味い酒出しやがって。気にいらなかったんで、ちょいと暴れさせてもらったンだよ、
 ストレス解消にな」
「ああ、そう。…オジサン、世の中やっていい事とそうじゃない事があるってのは知ってるよね」
 男はニヤつきながら気だるげに首を回すと、挑発するかのように言い放つ。
「くく、知らねぇな、そんなモンは」
 低くうなるように笑い、ルカを見下ろす。
「ああ、そう」
 言うが早いか、ルカの蹴りが黒い筋となり、男の顎を粉々に砕く…はずだった。
ルカがそうするのを読んでいたのだろうか、男は半歩後ろに、身を引いていた。
「おっとぉ…」
 姿勢を元に戻すと、男はくつくつと笑った。ルカは内心、驚いていた。
今まで自分の蹴りをまともに避けた人間になど、出会った事がなかったからだ。
不安と、別の何かがない交ぜになった感情が心の奥底でうずくのを感じる。
 何かが始まったことに気がついた夜の街の住人達が、まるで見えない磁石に
引き寄せられるかのように、二人の周りから離れていく。だれも好んで街の『影』と触れあいたくはない。
「ガキ臭い用心棒の相手なんか、かったるいから普段はしないんだがな…」
 ルカを蛇の様な目つきで嘗め回すに眺め、男は独り言の様に言う。
「今日は特別だ、ヤッてやるよ、くくく」
「あは、そりゃありがたい」
 ルカも自然と笑みを浮かべていた。ジェラルドやラウロには申し訳ないが、
こいつは『楽しめそうだ』。
 右手を開いては握り、握っては開くと、男は再びルカを見据える。
「場所を変えようや。ここじゃあ煩くてかなわねェ。静かな場所の方がいい…
 色んな音がよく、聴こえるしな…」
「ふふ、同感。ただ、後悔しないでね、オジサン」
  そう言うと二人は、夜の街の、深い深い路地裏の闇へと消えていった。


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