『わたしのおかあさん』わたしのおかあさんはプレシア・テスタロッサといいますおかあさんは技術かいはつの会社につとめる技術者ですおかあさんはかいはつチームのリーダーで なかよしのかいはつチームのみんなといっしょに世界でくらすみんなのためになる技術をまいにち研究していますおかあさんはいつもしそがしいけど だけどすごくやさしいです毎日つくってくれるごはんもいつもおいしいし 夜はいっしょのベッドで寝ますことしの誕生日は2人でピクニックに出かけました いつもいそがしいおかあさんだけどこういうときは一日中いっしょにいられるのでうれしいです たのしくてうれしくて 「ママ大好き」って言うとおかあさんはいつもちょっと照れますが だけどいつもあとで『ぎゅっ』ってしてくれますそんな照れ屋でやさしいおかあさんのことが わたしはほんとうにだいすきです おわり
フェイト「リニス」「おまたせ。何見てるの?」
魔法少女リリカルなのはMOVIE 1st THE COMICSSequence:0-2「新暦63年第1世界/フェイト・テスタロッサ(I)」
遥か遠い日の記憶、幸せだった私――
リニス「面白い文書を見つけたんですが、これはあなたが書いたものでしょうかね、フェイト?」フェイト「?」リニス「これは作文か何か?」フェイト「うん、たしかそんなかんじ。うわー懐かしいなぁー」リニス「書いた時のこと覚えてます?」フェイト「うん、でもやっぱり恥ずかしいな。昔のことだから」リニス「恥ずかしくないですよ、なかなか名文です。大事にしまっておきましょうね」フェイト「ありがとリニス」リニス「さ、そろそろ勉強の時間です。準備はいいですか?」フェイト「うん、バッチリ!」
リニス【わたしリニスは ここミッドチルダ南部の山あい アルトセイムに住むテスタロッサ家の住人 主な仕事は 家事全般とこの家の家長プレシア・テスタロッサのお世話 そしてなにより この子フェイト・テスタロッサのお世話と 学問や魔法に関する教育と指導 まあ要するにメイド兼家庭教師みたいなもの】
フェイト「できたよ」リニス「はい、採点しましょうね。うん…全問正解。さすがですよ、フェイト」フェイト「ほんと?ありがとう、リニス」リニス「そういえば今日はずいぶん静かですが、アルフは?」フェイト「さっきまで一緒に遊んでたけど、今日はお部屋でお昼寝中。 アルフもう元気いっぱいでね、走るの速いの!ぴゅーんって!」リニス「あの子はもとが狼ですからね」
リニス【先日この子は 死にかけていた迷い狼を救うため 自らの魔力を分け与え使い魔とした 私は止めた幼いフェイトには負担の大きい使い魔契約とその維持のこと 命を預かるということの重さを伝えて それでもこの子は 私の反対を押し切って死にかけた狼を救った 群れから見放された孤独な迷い狼に 今の自分の姿を重ねたというのもあるだろう それでも 優しい子なのだ 一途でとても純粋で】
アルフ「フェイト、リニス――勉強お疲れ――ミルクとおやつもってきたよ――」フェイト「アルフ!」リニス「ああ、危ない。こぼれますよ!」「お昼寝してたんじゃなかったんですか?」アルフ「もー起きた!」フェイト「ありがとうね、アルフ」アルフ「うん」リニス「いいタイミングですし、休憩にしましょうか」フェイト・アルフ「は――いっ」
アルフは幸せだ この小さな主人(マスター)がアルフと交わした契約は 普段の使い魔契約とはだいぶ異なるその内容は『生涯をともに過ごすこと』 フェイトはアルフが自分自身のために命を生きることを許しアルフは自分の意思でフェイトを慕い共に過ごしたいと願っているリニス「……あなたたちはいいコンビですよね」アルフ「名コンビー♪」フェイト「うん」
リニス【そう 私の教え子たちにはなんの問題もない】
リニス「今日の分の勉強が済んだら3人で外に出て運動しましょうね」フェイト「は――い」「でもこのクッキー美味しいね」「ね、リニス。このクッキー母さんに持っていってあげたらダメかな」リニス「……ああ……」
リニス【問題は この子の母親のほう】
リニス「――後で私が届けてきましょう。プレシアも研究が忙しいですから」フェイト「うん……そうだよね。ごめんねリニス」リニス「ああ、いえ……」「あなたは悪くありませんよ、フェイト。謝らなくていいんです」フェイト「うん……」
リニス【教育熱心で厳しい母親であるのは良いけれど 愛娘をあえて遠ざけるようなその態度が近頃少し目に余る】
リニス「プレシア。お茶をお持ちしましたよ」プレシア「入りなさい」リニス「失礼します」
リニス【プレシア・テスタロッサ 私はこの人のことをほとんど何も知らない】
プレシア「そこに置いておいて」リニス「はい、今日はクッキーがあるんですが」プレシア「要らないわ」リニス「まあ、そう言わずに。美味しいクッキーですからあなたにも食べて欲しいと、フェイトが」プレシア「――余計な気は遣わなくていいって言っておいて。あの子にはもっと大事なことがあるはずよ」リニス「娘が母親を思いやるのだってとっても大事なことですよ!」プレシア「――そんなことより、勉強はちゃんと進んでいるの?」リニス「勉強ですか?進んでますとも!」 「魔力トレーニングも魔導物理も魔法知識も!フェイトは本当に一生懸命やってますからね!」 「遊びたい盛りの甘えたい盛りの子供なのに」「本当に一生懸命に」「それがなんでだかわかりますか?」 「あなたがそれを! 「フェイトが一人前の魔導師になることを望んでいて、それを叶えたらあなたに褒めてもらえると思ってるから!」 「私はやっぱりおかしいと思うんですよ。広いお屋敷とはいえ、一緒に食事もとらない。 会うことだって3日に1回あるかどうか」プレシア「あの子を一人前の魔導師に育てるためよ。親への甘えが……あったらいけないわ」リニス「意図も理由もわかりますが、程度の話をしてるんです」「ついでに今日はこんなものも見つけましたよ。 あの子の昔の作文です」 「あなたがうんと優しいママだった頃の、読んでて気持ちがあったかくなる名文ですよ」プレシア「……見せて頂戴」リニス「はい、どうぞ」「その作文、見たことは?」プレシア「――あるわ」 「初めて読んだ時はうれしくってね。涙が止まらかった。あの子はこんなにも、私を思ってくれてたんだなって」
リニス【親子なのだから愛しくないわけがない 愛しくないはずがない そう思うからこそ 私はこの人の思いを知りたい】
リニス「ねえ、プレシア。今日や明日とは言いませんから。何か節目の日にくらい、フェイトと一日一緒にいてあげてください」 「それくらいで甘えて勉強がおろそかになるほど、フェイトは弱い子ではないんですから」プレシア「考えておくわ。もういいからさが下がって」リニス「ダメです。約束してくれるまでここを動きません。なんなら研究の邪魔もして上げますよ?」プレシア「――リニス!」リニス「……冗談です」「でも本当にお願いしますよ、プレシア」
リニス【きっと不器用な私の契約者(マスター)とその愛娘の幸せの行き先が心配なのだ ごく普通の使い魔に過ぎない私でさえ 愛しいという気持ちがあるのだから】
To be Next Sequence:0-3「NC64 Midchilda/Fate Testarossa(II)」
母娘が笑いあえる日が来るのは……
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