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レモンティー」(2008/01/31 (木) 16:42:52) の最新版変更点

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<p>「──トイレで出すレモンティーがあるらしい」<br> 長門さんの呟きに、僕は思わず自分の耳を疑いました。……トイレで、ですか?<br> 「どんな物か飲んでみたい」<br> レモンティーなら幾らでも朝比奈さんが用意して下さると思いますが。<br> 「どうやらそれとは違う物。この場合トイレで出すと言う点に意味があると推測される」<br> トイレで……ですか。常識的に考えて飲み物を出すような場所ではありませんよね。<br> 一体どのようなレモンティーなのでしょうか。<br> 「古泉一樹、あなたも飲んでみたい?」<br> ええ、まぁそうですね。良くは解りませんが。<br> しかしトイレで飲食をするのは、どうかとも思いますけどね。<br> 「それには同意する」<br> ですよね。良かったです。そこで否定されたらどうしようかと思っていました。<br> 「でも気になる」<br> そうですねぇ……誰かに尋ねてみましょうか。</p> <p>あ、丁度良い所に朝比奈さんがいらっしゃいました。<br> 「こんにちはぁ。今日はまだお二人なんですね」<br> ええ、そうですね。時に朝比奈さん。お聞きしたい事があるのですが。<br> 「はい、何ですかぁ?」<br> ええと、少々お恥ずかしいのですが、トイレで出されるレモンティーってご存知ですか?<br> 「え……」<br> 長門さんと今その話をしていまして。一体どのような物のことなのかと。<br> 「え、え、……長門さんと、古泉くんが、ですか……?」<br> 「ええ、そうです」<br> 「飲んでみたいと話していた」<br> 「の、飲むんですかぁ……」<br> 朝比奈さんの顔が引き攣ってるように見えます。そんなに問題のある紅茶なのでしょうか。<br> 「そうですかぁ……二人で出し合って飲むんですね……。そんな仲になってたんですね……」<br> 朝比奈さん?どうされました?顔色が優れないようですが……。<br> 「ふぇ、あ、だ、大丈夫ですよぉ!えっと、あの……。<br> ……あ、愛があれば、きっと美味しいんじゃないでしょうかっ」<br> 愛情、ですか?まぁ確かに愛有る料理は美味しいでしょうけれども。<br> でも今は料理では無く紅茶の話でして。<br> お茶に詳しい貴方ならご存知かもと……あ、あれ、朝比奈さん。どちらへ。<br> ……虚ろな表情のまま出て行かれてしまいました。<br> あの様子だとご存知だったのでしょうね。そんなに凄い物なのでしょうか。<br> 「知りたかった」<br> 僕も同感ですよ長門さん。</p> <p>「検索する」<br> 余程知りたかったのでしょうか。長門さんはそう呟いてPCの前に座りました。<br> キーボードを打つ様子もなく、画面を見ているだけですが……まぁ調べ方は人それぞれと言う事で。<br> ヒューマノイドインターフェイス的な調べ方をしたのか、ほんの数秒で長門さんは目線を上げました。<br> 「解りましたか?」<br> ほんの僅かに長門さんが頷いた。流石としか言えません。<br> して、それはどのような紅茶だったのかと問うてみれば。<br> 「古泉一樹」<br> 改めて名前を呼ばれ。一体何があったのか、長門さんの目は意外に真剣でした。<br> 「あなたはレモンティーを本当に飲んでみたい?」<br> ……これはどういう意味なのでしょうか。もしや体に悪い物なんでしょうか。<br> 「長門さんは……どうなのですか?」<br> まぁ長門さんなら例え毒物を服しても、大丈夫そうではありますが……おっと、これは内緒ですよ。<br> 「あなたの出す物なら……見てみたい。飲みたいかは、その時にならないと解らない」<br> それは僕が紅茶をお入れすると言う事で良いのですか?<br> それくらいならお安い御用ですよ。<br> 「そう」<br> 長門さんがすくっと立ち上がり、朝比奈さんの作業スペースから<br> 空のコップを手に取って僕の方へと向かってきます。<br> カップだけでは紅茶は入れられませんよ?<br> 「平気。あなたは出せる」<br> 残念ながら、僕は空間限定の超能力者ですから。ご期待には添えられないかと思われます。<br> 「出せるはず」<br> ……すみません。仰っている意味が解らなくて。ティーポットも無しに紅茶は無理ですよ?<br> 「大丈夫。あなたのそこから出る」<br> そう言って長門さんの白く小さな手がある一箇所を指差しました。<br> 指先を目で追えば。そこは……。</p>
<p>「──トイレで出すレモンティーがあるらしい」<br> 長門さんの呟きに、僕は思わず自分の耳を疑いました。……トイレで、ですか?<br> 「どんな物か飲んでみたい」<br> レモンティーなら幾らでも朝比奈さんが用意して下さると思いますが。<br> 「どうやらそれとは違う物。この場合トイレで出すと言う点に意味があると推測される」<br> トイレで……ですか。常識的に考えて飲み物を出すような場所ではありませんよね。<br> 一体どのようなレモンティーなのでしょうか。<br> 「古泉一樹、あなたも飲んでみたい?」<br> ええ、まぁそうですね。良くは解りませんが。<br> しかしトイレで飲食をするのは、どうかとも思いますけどね。<br> 「それには同意する」<br> ですよね。良かったです。そこで否定されたらどうしようかと思っていました。<br> 「でも気になる」<br> そうですねぇ……誰かに尋ねてみましょうか。</p> <p>あ、丁度良い所に朝比奈さんがいらっしゃいました。<br> 「こんにちはぁ。今日はまだお二人なんですね」<br> ええ、そうですね。時に朝比奈さん。お聞きしたい事があるのですが。<br> 「はい、何ですかぁ?」<br> ええと、少々お恥ずかしいのですが、トイレで出されるレモンティーってご存知ですか?<br> 「え……」<br> 長門さんと今その話をしていまして。一体どのような物のことなのかと。<br> 「え、え、……長門さんと、古泉くんが、ですか……?」<br> 「ええ、そうです」<br> 「飲んでみたいと話していた」<br> 「の、飲むんですかぁ……」<br> 朝比奈さんの顔が引き攣ってるように見えます。そんなに問題のある紅茶なのでしょうか。<br> 「そうですかぁ……二人で出し合って飲むんですね……。そんな仲になってたんですね……」<br> 朝比奈さん?どうされました?顔色が優れないようですが……。<br> 「ふぇ、あ、だ、大丈夫ですよぉ!えっと、あの……。<br> ……あ、愛があれば、きっと美味しいんじゃないでしょうかっ」<br> 愛情、ですか?まぁ確かに愛有る料理は美味しいでしょうけれども。<br> でも今は料理では無く紅茶の話でして。<br> お茶に詳しい貴方ならご存知かもと……あ、あれ、朝比奈さん。どちらへ。<br> ……虚ろな表情のまま出て行かれてしまいました。<br> あの様子だとご存知だったのでしょうね。そんなに凄い物なのでしょうか。<br> 「知りたかった」<br> 僕も同感ですよ長門さん。</p> <p>「検索する」<br> 余程知りたかったのでしょうか。長門さんはそう呟いてPCの前に座りました。<br> キーボードを打つ様子もなく、画面を見ているだけですが……まぁ調べ方は人それぞれと言う事で。<br> ヒューマノイドインターフェイス的な調べ方をしたのか、ほんの数秒で長門さんは目線を上げました。<br> 「解りましたか?」<br> ほんの僅かに長門さんが頷いた。流石としか言えません。<br> して、それはどのような紅茶だったのかと問うてみれば。<br> 「古泉一樹」<br> 改めて名前を呼ばれ。一体何があったのか、長門さんの目は意外に真剣でした。<br> 「あなたはレモンティーを本当に飲んでみたい?」<br> ……これはどういう意味なのでしょうか。もしや体に悪い物なんでしょうか。<br> 「長門さんは……どうなのですか?」<br> まぁ長門さんなら例え毒物を服しても、大丈夫そうではありますが……おっと、これは内緒ですよ。<br> 「あなたの出す物なら……見てみたい。飲みたいかは、その時にならないと解らない」<br> それは僕が紅茶をお入れすると言う事で良いのですか?<br> それくらいならお安い御用ですよ。<br> 「そう」<br> 長門さんがすくっと立ち上がり、朝比奈さんの作業スペースから<br> 空のコップを手に取って僕の方へと向かってきます。<br> カップだけでは紅茶は入れられませんよ?<br> 「平気。あなたは出せる」<br> 残念ながら、僕は空間限定の超能力者ですから。ご期待には添えられないかと思われます。<br> 「出せるはず」<br> ……すみません。仰っている意味が解らなくて。ティーポットも無しに紅茶は無理ですよ?<br> 「大丈夫。あなたのそこから出る」<br> そう言って長門さんの白く小さな手がある一箇所を指差しました。<br> 指先を目で追えば。そこは……。</p> <p>長門さんが指差したのは、僕の下半身でした。<br> ……どういう意味でしょうか……。<br> 「つまり、そこから出る物を紅茶に見立てた表現」<br> 下半身から出る物……。そんなのは二種類の液体位ですよ。<br> なんて品の無い冗談を言っている場合では無くて。<br> 「その片方」<br> どうやら随分と悪趣味な話だったようです。<br> しかしながら、そこまで紅茶に似ているとも思えませんが……。<br> 「…………」<br> 長門さんは考え込んでいるみたいです。<br> そういえば、嘗てそれを飲む怪しげな民間療法が流行ったらしいですが。<br> でも、あれらは自分の物を飲むのであり、他人のでは無いとも聞いた覚えがあります。<br> それにしても、あれだけの会話で、あっさりと話の意図を把握した朝比奈さんには驚きますね。<br> 同意を求めるように長門さんに話しかければ、彼女は極僅かながらに首を縦に振ってくれました。<br> さぁ、これでこの話は切り上げましょうか。<br> 幾らなんでも趣味が悪すぎますし。</p> <p>しかし長門さんの中ではまだ続いていたようでした。<br> 「情報の伝達に齟齬が発生した」<br> 暫しの間を置いて、ぽつりと長門さんが呟きました。何の事でしょうか。<br> 「この場合のレモンティー。視覚情報からすると確かに似ては居ない。<br> つまりは紅茶そのものでは無く、レモンと言う所が重要。<br> 恐らくはレモンの絞り汁に見立てたと考えられる」<br> ……僕が似ていないと言った事について考えていた、のでしょうか……。<br> 何処までも生真面目に考える姿には敬意を覚えますが。<br> しかしそんな事まで考えなくても良いじゃないですか。<br> 今後レモンティーを飲む時に、思い出してしまいそうで怖いですよ。</p> <p>とりあえず謎は解けたと言う事で手を打ちませんか……。<br> 懇願するように言えば、長門さんはゆっくりと首を左右に振りました。<br> ……どうしてですか。<br> 「あなたの出す物なら見てみたい。わたしはさっきそう言った」</p> <p>それは頭をガツンを殴られたような衝撃でした。<br> 待って下さい長門さん。それはもう話が違います。<br> レモンティーの謎は解けたじゃないですか。<br> それで終わりで良いじゃないですか。<br> 「……」<br> カップ片手に無言で僕に近寄ってくる長門さん。<br> その顔はいつもと何も変わらずで。<br> 無表情の迫力に押されて、僕は壁際へと追い詰められてしまいます。<br> 先程朝比奈さんがいらしたように涼宮さんや彼が来てくれれば<br> この異様な空気も霧散してくれるのに。<br> やがて僕の背中に壁の固い感触が当たりました。この後はどう逃げるべきでしょうか。</p> <p>そもそも、人に見せる物では無いですよね……止めましょうこんな事は。<br> 僕は必死に真顔の長門さんを説得しようとするけれども<br> 長門さんは何も言わずに僕の間近までやってきて。<br> 彼女の白い手が僕の頬に伸ばされました。<br> 「……興味がある」<br> 優しく頬を撫でる手に、僕は言葉を失ってしまい。<br> そのまま体に沿って下がっていった手が<br> ズボンの上から僕の中心部を撫で上げて。<br> 僕は小さく息を呑む。<br> 興味って……。こんな事……おかしいですよ長門さん。<br> 強張った僕の顔を見上げて、長門さんが微かに目を細めたように思えました。<br> 「……いつもと違うあなたが見てみたくなった」<br> 長門さんの外見にそぐわぬ力強さに、僕の体は簡単に壁に押し付けられてしまう。<br> 無茶苦茶です長門さん。<br> ベルトを外され、ファスナーを下げられる音に<br> 僕は怖くなってきつく目を閉じました。</p>

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