薄暗い床の間には連続する微かな機械音と、時々上がるくぐもった声が響く。障子から射し込む柔らかい光のみが室内を照らしていた。古泉一樹はその中央に、後ろ手に縛られた状態で飾り梁の天井から吊るされていた。両腕両脚の自由を奪っているのだから弄り放題なわけだが、俺はあえて距離をとって敷いた座布団に、あぐらをかいて傍観している。太腿やうなじの影が逆光に揺れ動くサマが扇情的だね。古泉を拘束する紐の赤色が鮮やかなコントラストで浮かび上がる。下肢から伸ばした2本の紐を口に咥えさせているので、古泉は言葉を発することができないでいた。だが表情と身体の震えから察するに、達するのは時間の問題だな。後ろに突っ込んでおいた遠隔ローターが絶えず刺激を与えているのだ。「……このマゾヒスト」こう言ってやると、古泉はキッと睨みを利かせて否定の意を送ってきた。長い前髪から覗く瞳は鋭く物言いたげだ。気丈さは褒めてやりたい所だが、相当キツい体勢を強いられながら快感によがる身体と興奮で紅潮した頬では、怖くないし説得力が皆無だ。「イってもいいが、畳に零すなよ」「ん…?」「その咥えた紐で根元絞めつけてドライでイけ」「!」口に咥えた紐を引っ張れば局部に括られたそれが絞まるようにしてある。信じられない、と目を見開く古泉の意思など勿論無視だ。「ほら、ぼうっとしてる場合じゃないだろ」先走りがとろとろとシャツの裾から垂れてるぞ。一滴でも零したらどうなるか…分かってるな?「んっ」観念したようで、ぎゅっと口を結び喉を反らして紐を引っ張る。素直でよろしい。「ぅ…、っ、んっ」動きが制限された状態で己の局部を絞めつけんと努力する。健気だねぇ。歯を食いしばっているせいで喘ぎが聞けないのは惜しい気もするな。「ん、んん……!」古泉は大きく身体を震わせて、紐がギチギチ音を立てて軋む。頭がガクリと垂れ、唾液で濡れて変色した赤紐が口から畳上に落ちた。どうやら絶頂を迎えたようだ。精液は…出していないな、偉い偉い。「くっ…この、サディストっ…」「よくできました」そう言って俺はローターのスイッチを切ってやり、座布団から腰を上げた。
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