携帯が鳴る。機関からの電話だ。しかし今日は閉鎖空間は発生していない。つまりこれは。「御呼ばれよ古泉」「…了解しました」
迎えに来てくれた荒川さんのタクシーに乗り機関へと向かう。前回の召集はいつだっただろうか。上層部の人達の手が、僕の体を這い回るのを思い出して悪寒が走る。「顔色が宜しくないようですが」運転席から荒川さんが声を掛けてきてくれた。「いえ……大丈夫です」そう、僕に拒否権は無い。
全身を、それこそ体の中まで清めてから、僕はその部屋の扉を開けた。「遅くなりました。古泉一樹です」一礼してから部屋の中心へ進み出る。四方から視線を感じるが、前しか見てはいけない。ただ広く何も無いその部屋には硬い床があるだけだ。敷物すら無いと後で体が辛いのが困るんだけどな、などと悠長に考えてしまう。
サングラスを掛けた上層部の一人が声を掛けてきた。その手には飲み物を持っていた。飲めと言う事らしい。勧められるままにそれを呷る。どうせろくな物では無いに違いないが誰に何を言われようとも何を飲まされても、この状況ではどうでも良いのが正直な所だ。考えに耽っているといつの間にか複数に囲まれていた。手が伸びてくる。ジャケットが脱がされた。一応制服を着こんでは来たが、どうせ直ぐに全て脱がされるのだ。もう自分から脱いでしまっても構わない程だった。さっさと終わらせて帰らせて欲しい。
両手を掴まれ後ろ手に拘束される。こんな事をしなくても抵抗出来る訳が無いのだが、逆に考えると今日は拘束が必要な事をする気なのか。ベルトが外され、後方から手が差し込まれてきた。性急な動きに内心鼻白む。やるならちゃんと脱がして貰いたいものだ。抑え難い嫌悪感を必死に堪え、心の中で毒づく。僕の尻を弄っていた手がおもむろに指を突き立てる。思わず体を硬くし声を漏らしてしまう。無理矢理中へ突き入れられた指は直ぐに引き抜かれて行った。
大した事はまだされていないのに、今のだけで息が上がっている。情けない。四方から伸びた手に促されるままに僕は床に膝を付く。肩を押され上体を伏せた。床に押し付けられた頬がひんやりと冷たい。かかげられた腰に手が伸びズボンが引き下ろされた。今日は着衣のままするつもりなのだろうか。身奇麗にしてきたから別に良いけれど、あまり嬉しくは無い。「最近は君も慣れてきたのか、大人しくなったね」どうでも良かったはずの声の一つがすとんと頭に入った。「なので、今日は趣向を変えてみようかと思う」僕のソコに何か硬くて細いものが押し当てられた。そのまま入ってくる。これは……。そして続く僕の中に冷たい液体か何かの感触。それが注入されていく。悪寒が走った。思わず身を捩じらせるが抑え付けられる。これは嫌だ。これだけは嫌だ。僕の直腸をある程度満たした所で、浣腸器だろう、それが引き抜かれた。即座に襲い来る排泄感に冷や汗が滲み体が震える。「君はいつも綺麗にしてくるからね。これはジェルだよ。漏らしても問題は無い。しかしどうせなら長く愉しみたいだろう?これで栓をしてあげよう」神経を逆撫でする声と共につるんとした何かが押し込まれる。大した大きさでは無いが、やがてそれは振動を始めて僕を苛む。「そろそろ先程飲んだ利尿剤も効いてくるだろう」そのままズボンが引き上げられ、きつくベルトまで締められた。最悪だった。
今日の趣向を理解した頃には既に手遅れで、彼らの視線に晒されながら床に転がり苦しむしかなかった。我慢したところで決壊は避けられないのに、それでも耐えてしまうのは何故なのだろう。手を塞がれている以上、自力で脱ぐ事は出来ない。後ろに仕込まれたローターだろう、絶えず振動を続けるそれのせいでこんな状態ですら僕は勃起していた。下着にきつく押し込まれた性器が痛い。強烈な尿意と便意に体の震えが止まらない。嫌な汗が全身から噴出し流れていくのが解る。濡れて纏わり付く服が気持ち悪い。「……も、たすけ……ゆるして、くださ……」いつしか僕は涙と涎で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ひたすら許しと助けを求めていた。目の前には彼らの靴しか見えない。どんなに助けを求めても手は差し伸べられない。何もかも出したくて堪らない。頭の中がぐるぐる回って、自分で何を考えているのかも判らなくなる。
声にならない悲鳴を上げて、やがて僕は限界を迎えた。
嫌味な程静かに息を潜める彼らが見守る中、僕の意思では止められない、耳を塞ぎたくなるような汚らしい音が響く。同時に訪れる開放感。それは耐え難い快感で。ローターに責められ続けていた僕は同時に自分の欲望も吐き出していた。
ざわめきに僕はぼんやりと目を開いた。どうやら一瞬意識を失っていたらしい。生温い水溜りの中に転がっていた。水分を吸った服が重く体に張り付いている。何でこんなに濡れているんだろうと気だるさを感じながら漠然と考える。「気付いたかね」笑いを噛み殺すような声が耳に届いた。「随分と愉しんだようだね。君がこのような事も好むとは意外だったよ」気に入ったようなら次回からも是非取り入れよう。そんな声と共に四方から手が伸ばされる。ベルトが外され、下着ごとズボンが脱がされていく。濡れた下半身が冷たい外気に触れて震えた。僕の中に仕込まれていたローターは、あまり大きくなかったのもあり、ジェルと一緒に排出されていたようで衣服を脱がされるとコトンと床に落ちる音が聞こえた。
どこか呆然とされるがままだった僕の顔に、ぺとりと濡れた何かが乗せられる。微かなアンモニア臭と生臭さ。それがジェルと自分の尿と精液にまみれた下着だと気付き僕は癇癪を起こしたように声を上げ、がむしゃらに頭を振ってそれを落とした。
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