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それは、ある日のことだった。
「……一緒にお酒ですか?」
俺は何気なく『一緒に酒を飲まないか』と古泉を誘ってみる。
『何気なく』という部分は色々と想像してもらえると有り難いが、そんな俺の思惑を
知ってか知らないでかズバリ指摘した。
「それは構いませんが、確か貴方は禁酒されていたのでは?」
「禁酒は一日にして成らず、と言うだろ」
確かに孤島での一件以来、二十歳未満だというのに禁酒の誓いを立ててしまって
いたが、ハルヒが居ない分には酒量も自制出来るだろう、きっと。
「それに、まあ、その、なんだ」
俺は何かいい誘いの言葉はないかと思案したが、
「男同士、腹を割って話そうじゃないか」
適当な言葉は思い浮かばず、苦し紛れに言ってみた。
「ほほう、腹を割って――ですか」
どうやらこの台詞が奴の琴線に引っ掛かったらしく、含み笑いを一つ浮かべて承諾する。
「それなら構いませんが……後悔しても知りませんよ?」
――気になる一言を残して。

それから――俺と古泉は、当然の如く俺の家で酒を呑み交わせる訳がないから、奴の
家で呑んでいた。
奴は意外と言うべきなのか妥当と言うべきなのか表現に迷うが、どう言い繕おうと酒豪
と言っていいレベルの呑みっぷりだった。少なくても俺の五倍以上は呑んでいるだろう。
そのせいか、多少は酒に酔っているらしく、頬を少し染めて悩ましげな目で俺を見ている。
「はぁ……」
ここまではいい。ここまでは俺の目論見通りだった。
だが、しかし――
「ほんっとうに、貴方と涼宮さんは進展がないですねえ……」
これは大誤算だった。
「大体ですね、貴方はご自分の立場というものがお解りになっていない」
呑み始めて十分もしない内から奴はこの調子で、俺とハルヒに関して延々と語り始めている。
今までの不満が爆発したのかは知らないが、いつもに比べてかなり言いたい放題だ。
「いいですか? 貴方は涼宮さんの『鍵』なんですよ。無理に付き合えとかは言いませんが、
ご自覚を持たれるとかもう少し歩み寄るとかですね……」
自覚ならこれ以上にないぐらい持っているし、十二分に歩み寄っていると思うが。
「いいえ、涼宮さんは貴方の態度に不満を持っている筈です、絶対に」
何でお前にそんなことが解るんだよ。
「解ってしまうものは仕方がないですよ。それにですね、貴方もあっちフラフラ、こっちフラフラ
ではなくてですね、涼宮さん一本に絞ったらどうです?」
別にフラフラしてねえし、ハルヒに絞るとかもねえよ。
「貴方がそんな調子だからですね……」
全く、人の気も知らないで言いたい放題だ。
一々言い返すのも面倒になったので、奴の小言は右から左に受け流すことにし、もっぱら
奴の色っぽい顔を眺めながら酒を飲むことにした。
うん、怒った顔もいいが、ここから是非泣かせてみたいものだ。
「あ? 何、人の顔見てニヤニヤしているんです? ちゃんと人の話を聞いていますか?」
聞くだけならな。
「腹を割って話そう、と言ったのは貴方ですよ? こうなったらとことん語り合いますからね」
……こんな一方的なマシンガントークのどこが語り合いなんだろうか。
俺は『後悔しても知りませんよ?』という台詞を痛いほど実感しながら、奴の話という名を
借りた小言を延々と聞き続けていた。
あれから――二時間程経過した今、流石に古泉の酒量も落ちてきていたが、それでも奴の
話は止む所を知らない状態だ。
しかも、普通の会話ならともかく、
「僕だって、我が身可愛さで言っているわけじゃないですよ。そりゃあ、ないと言えば嘘になり
ますが、涼宮さんのことを考えるとですね……」
さっきからずっとこの調子ではたまったものじゃない。
「……トイレ借りるぞ」
俺は尿意を催したのもあるが、この会話の流れを一旦断ち切る意味で席を立つと、トイレへ
入って用を足した。
「では、僕も行ってきますね」
俺が戻るや否や、奴はその場を立ち上がろうとするが、
「うひゃっ!?」
すかさず膝立ちして奴の両脇に手を当てる。
「……えっと、一人で立ち上がれますから大丈夫ですよ?」
うん、まあ、大丈夫だとは思うが、俺の目的はそれじゃない。
「あの、脇から腕を離してもらえませんか?」
「何でだ?」
「……そうやって固定されるとうまく立ち上がれないんですが」
そうだろうな。酔っぱらった足腰だけで立ち上がるのは厳しそうだ。
ましてや俺が両脇を押さえ付けている状態だ。
「あひゃっ!?」
まあ、この様子なら大丈夫だろうと思い、
「や、やめてくだ……ひゃひゃひゃ」
そのままの体勢で両脇をくすぐる。
もう少し色っぽく笑えないものかと思うが、酔っぱらっているしこんなものだろう。
一旦、くすぐるのを辞めると、
「あ、あのですね……いい加減、お手洗いに行きたいのですが……」
古泉は少し頬を染めた状態のまま、潤んだ目で俺を睨み付ける。
「ほーそうかい」
嗜虐心を煽るその目つきに、俺は再度脇をくすぐった。
「あひゃひゃひゃ……だ、だからですね……」
奴は俺の手を脇から剥がそうと体を動かすが、到底そのくらいで離れるわけがない。
「あ、貴方は……っ」
涙目状態のまま尿意を堪えるのに精一杯で、何か言葉を発するのも苦しそうだ。
「いっ、いい加減にして、くだ……ひゃんっ!」
そこで、俺は両脇をくすぐると同時に奴の耳たぶの裏へ舌を這わせる。
不意に襲った別方面からの刺激に気が緩んだのだろう。
「あ……」
その声と同時に尿が放出される音が鳴り始め、
「や、やだ……」
徐々にではあるが、奴のズボンの股間部分にシミを作っていく。
「と、止まって……お願いだから……」
奴の願いも空しく、勢いは止まる所を知らず、シミは拡大の一途を辿っていった。
「やだ……どうして……」
やがて勢いは止まるも、古泉は羞恥で顔を真っ赤に染め上げて涙をボロボロと落としている。
俺が両脇を抑えている状態でなければ、間違いなく両手で顔を隠していただろう。
「お、お願いです……」
奴は俺の視線に気付いたのだろう。
「見ないで……見ないで下さい……」
自分の股間に出来た大きなシミを前に、目を瞑り涙声で懇願するのが精一杯だった。