なかなか頑張ってるみたいじゃないか

かけられた声に振り返ると、快活な笑顔を向けられた。多丸圭一氏だ。
だんだんと、あのハチャメチャな団の雰囲気にも馴染みはじめたこの頃、
しょっちゅう発生する閉鎖空間への対処にも、勘が戻ってきた頃である。
さすがに連日の出勤が体に響いて、今日は久しぶりの休みをもらった。
せっかくなので、しばらくぶりの仲間に顔を見せようと、家の前までやってきたのだ。
やっかいな仕事だろ。嫌なことは一人でがまんしないで、相談するんだぞ。パン、と背中を叩かれる。
がまんなんて、する暇もないくらいですよ。仕事がこんなに楽しくて良いのかと思う程です。
れっきとした事実だった、予想以上に今の状態を楽しんでいる自分に驚きだ。
こまったことがおきたら、すぐに私たちに言いなさい。圭一氏がやんわりと微笑む。
いつまで、私たちが運命を共にするのかはわからない。しかし出会った以上、我々は家族も同然だ。
ずいぶんと思い仕事を君には任せてしまっているけれど。言葉を区切り、いそしむような視線をよこす。
みんな、君のことが大切なんだ。だから、けっして無理はせず、出来る範囲でやりなさい。
いつも以上に優しい声。突然のことに、一瞬言葉を失って――自然と頬がゆるむのを感じる。
つらいことだって、無いわけじゃない。泣きたくなることだってある。それでも。
きっと、この人たちとこれからも、どんな現実にだって立ち向かってゆける。僕は強く頷いた。

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最終更新:2008年03月05日 13:13