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返信は――
C.別のアドレスからメールが届いた。



僕は相手に直接会いたいという旨のメールを送る。
送信ボタンを押す瞬間、日中の長門さんの言葉が脳裏に蘇った。
彼女は堕落し続ける僕を引き止めたかったのだろうか。
だけど、僕は自分の欲望に逆らえない。
一度口にしてしまった禁断の果実の味は忘れられないのだ。

だが、待てど暮らせど返信は来なかった。
これまでの相手の行動を思えば、それは不思議な事だった。
理由を問いたくて、何度かメールを送ったが何も無い。
指示が無くなり、快楽を禁じられた僕の文面は次第に熱を帯びてくる。
命じられても居ないのに、誘うように卑猥な画像まで送りつけた。

数日後、刺激を待ち侘びる僕に一通のメールが届いた。
それはあのアドレスからではなく、彼からの物だった。
話があるから昼休みに部室に来いと。
一体何の話なのだろうか。
彼らに心配をさせぬよう、部室へは出来るだけ顔を出している。
時には体内に淫具を仕込みながら。
上気した顔を指摘されれば、この所風邪を引きやすいからだと嘘までついて。

自由に快楽に耽る時間を割いて、僕は彼に会うべく昼休みに部室へと向かった。
午前中僕を愉しませた小道具は、全て体から外しておいた。
最早常に自分の欲望に振り回されてはいるが
それでも僕の中での優先順位は明らかだ。
彼がこうやって呼び出す以上、大事な話なのだろう。
部室の扉を開ければ、彼は一人僕を待っていた。

「こんにちは。どうかされましたか?」
何時も通りの声色で僕は問う。
彼は返答もせずに、しかし視線を逸らす事も無く僕を凝視していた。
彼の顔色はあまり優れなかった。その目に浮かんでいるのは、戸惑いと疑惑の色だ。
何となく、呼び出された理由が解った気がした。
「……お話があるのでは無いのですか?」
僕としてもこれ以上は聞かない方が良いのだろうと思う。
しかしこのまま帰る訳には行かない。
彼は暫しの迷いを見せた後、重い口を開いた。
「だめだ、上手い言葉が見つからん。……古泉、これを見てみろ」
僕の手に彼の携帯が渡される。
見ない方が良い。そう思いながら、携帯の画面に視線を落とした。
案の定、それは元凶となった保健室での写真だった。

それは以前クラスメイト相手に晒された、下腹部だけで切り取られた画像では無く
全身が入っている一番最初の物だった。
これを撮られたからこそ、僕はここまで堕ちたのだ。
俯いた顔は影になって見えない。だけど、彼が僕を見間違えるはずが無い。
画面を見つめたまま言葉を失った僕に、彼が言う。
「なぁ古泉……これは本当にお前なのか?何でこんな物が俺に送られてくるんだ?
いや、何でお前はこんな物を撮られてるんだ」
そんな事、僕にだって解らない。
何で僕がこんな事態に陥る事になったのか。
あの日保健室で僕を駆り立てたあの劣情は一体何だったのか。
そして何故今になって、僕を突き放して彼に伝えたのか。
「僕にも解りません」
僕の返答は内心の動揺とは裏腹に、震える事も抑揚も無い平坦な物だった。
「何でだよ!」
彼が声を荒げる。腕を掴まれ、手にしていた彼の携帯が床に落ちた。
「性質の悪いコラだよな?お前はこんな事してないよな?」
その必死な様子に、彼の元にはこの画像以外の物も届いているのだろうと思った。
写真に頭部さえ入っていなければ、僕だと解る事も無かっただろうに。
「誰かに何か……言われたんですか?」
僕の問いに彼は言葉を無くした。もう確定だった。

「一体誰に言われたんですか」
僕はそれが知りたくて、つい語尾が強まる。
「俺の質問には答えないのか」
「……コラージュにしては良く出来ていると思いませんか」
そう答えると、彼は傷ついたような顔を浮かべた。
これではもう僕の問いには答えてくれないかも知れない。
いやそれよりも、僕が彼にこんな表情をさせてしまっているのだと気が付いた。

「……そうですね……出来ればこんな事は、あなたの記憶から消して欲しい所ですが」
いつか彼らに知られるかも知れないと思い、今までそれに興奮していたのに
いざそれが現実となれば、僕は掌を返したように後悔の念に囚われた。
現金な物だ。長門さんにお願いして彼の記憶を弄って欲しいくらいだった。
「本当にお前なのかよ、これ……。そうだとしても
変な奴に脅されたとか……そういう事なんだろ?」
「女生徒ならいざ知らず、男子生徒を脅す必要性は」
「じゃあ何でこんな物撮られてんだよ!機関絡みか?そうなんだろ?
こんな事を……自分からしたとか……言うなよ……」
「そうだと言ったら、どうしますか」
そう、元々は脅されたからには違いない。だけど。
数々の写真を見れば、僕が自ら進んで行っていたのも解ってしまうだろうから。
彼の体が緊張に強張ったのを掴まれたままの腕で感じた。

「……どうしようも無いだろ」
暫くして、彼は力なく手を離し、椅子に凭れて項垂れた。
「仮に僕にどんな性癖があっても、僕の問題ですから。あなたに迷惑をお掛けする事は」
今既に僕は彼に迷惑を掛けている。それを痛感しながら尚も取り繕った。
そしてどう思われようとも、まず気にしなければならない事があって。
「それとも……こんな僕と共に過ごすのは、お嫌ですか?」
彼に団を出て行けと言われれば、それは涼宮さんに言われたも同義だ。
本当なら問うまでも無い。軽蔑され疎まれて当然だ。
しかし彼は言葉を失ったままだった。

口の堅い彼なら、僕が頼めば黙っていてくれるだろう。
だけど、それではまた似た事態が起こる可能性がある。
機関に報告もせず、真剣に相手を突き止める事もせず
一人快楽に流され色欲に耽っていたツケが今来ているのだ。
彼の目が僕を見る。ショックに頭が追いつかないのだろう、失望の色は無い。
ただただ困惑しているその目が気の毒に思えた。そしてその視線に僕は。
「……答えは直ぐで無くとも構いません。
そろそろ時間が無いようなので、これにて失礼します」
彼を置いて僕は部室を後にする。
扉を閉めてそこに背を預けた。張り詰めていた緊張を解いて息を吐いた。
あまり人気の無い部室棟の廊下で、僕は着衣の上から自分の中心部にそっと触れる。
彼に知られ彼の視線に晒されて、自分の行いを心底悔いているはずのそこは熱を持っていた。
本当に僕はどうしようもない人間だった。

どんなに心は冷めていても、肉体の熱は消えない。
そんな体に僕はなっていた。自分からそうした。
しかし今だけは欲求に負けてはならない。放課後まで時間は少ない。
これまでのやり取りを思い出し、考え整理していく。

一番無理無く最初の写真を撮る事が出来るとしたら、それは誰だ。
下着を着けずに着替えなければならない時に、声を掛けてくれたのは。
机に生理用品が入っていた時に、後ろに居たのは。
欲望に思考を放棄していた間の記憶を手繰り寄せれば
疑わしい人物は簡単に絞られた。
ミスリードを誘っているのでは無いかと思う程。
しかし事実に反し、動機が全く掴めない。彼に知らせた理由もだ。
それでも確かめておく必要がある。
しかし、浮かんだ人物の名をあのアドレスに尋ねても、返信はもう無いのだろう。
僕は直接聞くことにした。何時に無く焦っていた。

授業を終え、各々が部活なり帰宅なりの理由で教室から出て行く。
彼もまた鞄を手にしていた。
「すみません、ちょっと良いですか?」
「おう、どうした古泉?」
僕の声に彼は笑顔で応じる。気さくで優しいクラスメイトの一人だった。
要らぬ警戒を抱かせぬよう、何処かに呼び出して話すまでも無い。
質問内容は、メールの送信者でしか知りえない事。
本来ならもっと慎重に行くべきだと思いながらも、僕は急いた。
出来るだけ当たり障りの無い口調で軽く問う。
「少々聞きたい事がありまして――」

結果、彼は一度も表情を崩す事が無かった。
疼いた体のまま至近距離で視線に晒されていた僕の方が
動揺していたような気がする。
手応えの無さに半ば呆然としながら、僕は彼の背を見送る。
僕は間違ったのか。
やはり、もっと早くに機関を頼るべきだったのだ。
僕だけならまだしも、このままでは彼らに迷惑を掛けてしまう。
全て僕の落ち度だ。
だからせめて責任だけは取らなければ。

部室へ着けば、既に皆揃っていた。
各自がいつも通りに過ごしている。
その中で彼の態度だけが異質だった。無理も無い。
しかしこれでは直ぐに涼宮さんや朝比奈さんも気付くだろう。
何よりも、こんな彼を見て居たく無かった。
そして彼以外の二人も、僕の本性を知ってしまえばこうなるのだと思うと怖かった。
「遅れてすみません。涼宮さん、急ではあるのですが少々お願いがありまして」
「あら、どうしたの古泉くん。お願いだなんて珍しいわね」
一体何事かと皆が僕を見た。その視線に僕は躊躇いと緊張と……興奮を感じる。
「僕を今日付けでSOS団から除名して貰えませんか?」
彼が驚きに吐息を漏らしたのが聞こえた。

「へ?どういう事?」
涼宮さんは大きな目を丸くして僕に問う。
「理由は……そうですね、遠からず転校する可能性がありまして」
機関に正直に伝えて、僕が使い物にならなくなったと解れば
きっとそうなるだろうから。
「可能性って……それなら、まだ決まった訳じゃないんでしょ?」
「しかし今後忙しくなるものでして。大変心苦しく申し訳ないのですが」
「おい、待て古泉」
彼が背後から声を掛けてくるが、僕はそれを無視した。
「今日はそれを伝えに参りました。それでは」
「ちょっと古泉くん!」
言うだけ言って僕は踵を返す。
引き止められた色々な意味でボロが出そうだから。
涼宮さんと彼が言い合う声を聞きながら扉を閉じる。
階段を下りていくと携帯が震えた。
勿論あのメールでは無い。
閉鎖空間だ。
自分で閉鎖空間発生の原因を作るなんて馬鹿げていると思いながら
僕は久しぶりのバイトへ向かう。
迎えの車に乗った時点で、携帯の電源は切っておいた。

思っていたよりも閉鎖空間の規模は大きく、処理は長引いた。
夜更けに帰宅して電源を入れると、何通かのメールと留守電の知らせがあった。
それらを確認し、返信はしなかった。

その後数日は僕の言った通りにかなり忙しくなった。
日夜閉鎖空間の処理に追われる。家に帰れば何もせず倒れるように眠った。
あれだけ肉欲に振り回されたのも、涼宮さんが落ち着いていて
時間が有ったからこそだったのと思った。
多分、僕の言動も一因となっているのだろう。
僕の言動でも、多少なりとも彼女の精神に影響を与えられる。
屈折してると気付きながらも、それが少しだけ嬉しかった。

まるで以前の生活に戻ったようで。学外ではほぼ神人を狩って過ごした。
それでもやはり躊躇があって、機関に全ての報告は出来ていない。
勿論、部室にも顔を出していない。
その場凌ぎの事しかせずに、現実から逃げているという自覚はある。
ただ時間だけが過ぎ、閉鎖空間の発生はやがて減少傾向を見せた。


授業を終えた僕は、今日もまた帰宅の準備をしていた。
教室の扉が開く音、次いで勢い良く近付いてくる足音が聞こえて。
顔を上げてそちらを見れば、涼宮さんだった。
「あ……」
避けていた負い目から、つい言葉に詰まってしまった。
「そろそろあたしも怒っても良いと思うのよね」
きつく眉を吊り上げ、僕を見つめていた彼女の手が上がる。
殴られでもするんだろうか。
しかし白く繊細な手は拳を作らず、おもむろに僕の手を握った。
そのまま問答無用で廊下へと連れ出され、引き摺られるように後に従う。
涼宮さんは手を離さない。僕は彼女の手を振り解けない。
以前も似たような事があった気がする。
あれは僕が転校してきた初日の事で。
行き着くところは、部室棟三階の文芸部室だ。

蹴破るように扉を開いた涼宮さんは、僕を勢い良く中へと放り込んだ。
思わず踏鞴を踏む。見れば他の三人も揃っていた。三者三様の表情で僕を見ている。
朝比奈さんなんかは既に泣きそうな顔だった。
ここへ来ていないのは実際には一週間程度だろう。それでも懐かしさを覚えた。
「ええと……お久しぶり、でしょうか」
間の抜けた挨拶をする僕を尻目に、涼宮さんは団長席へと向かい
僕を見据えて言う。
「話はキョンから聞いたわよ、古泉くん」
それはまるで死刑宣告のように思えた。

一瞬呆然とした後、僕は慌てて彼を見る。
彼は渋い顔で僕を見ていて。きっと彼は全部涼宮さんに話したのだ。
僕がどれ程に淫らで矮小な人間なのかを。
焦燥に駆られる僕に、涼宮さんは言葉を続ける。
「確かに家の事は大事よ。古泉くんにも古泉くんの事情はあるわ。
でも少しくらいあたしたちを頼ってくれても良いじゃない……」
予想外の言葉だった。

僕は気付く。彼は僕の本性を知りながら嘘を付いてくれたのだと。
僕がSOS団に戻れるように。
だから閉鎖空間の発生は収まったのだろう。
長門さんだってそうだった。ずっと知っていたのに黙っていてくれて。
それなのに、僕は。
「違うんです……そうじゃないんです」
彼らの厚意に僕はどう応えるべきなのか。
以前なら僕ももっと冷静だったはずだ。でも今の僕はとても心の弱い人間で。
どれ程彼らが取り繕ってくれたとしても、このまま黙って団に戻るなんて無理だった。
「僕は涼宮さんが思っているような人間じゃないんです……」
彼女の考える古泉一樹像から、以前の僕自身から、僕はあまりにも逸脱してしまった。
演じる事も出来そうに無い。
だからもう、全部話して見限って貰おうと思った。
「……僕は本当にふしだらで、どうしようもない人間なんです」

僕は顔を上げる事も出来ずに、それでもぽつりぽつりと話し始めた。
一体僕の身に何があったのか。これまで何をしてきたのか。
それでも機関の事だけは一切伏せて話せば
僕はまるで突如の不幸に見舞われた無力で淫猥な一高校生のようだった。
僕のあまりに卑猥な告白に、朝比奈さんは顔色を何度も変えた。
彼も渋い表情のまま頬を赤くして僕を見ている。
しかし長門さんはともかくとして、涼宮さんはまるで何かに挑むように
きつい眼差しで僕を見つめている。
涼宮さんが使ってしまったリップの話をした時でさえ、彼女は動じなかった。

「――だから、僕はもうSOS団にふさわしくないんです」
長い長い懺悔を終えれば、一人で抱え込んできた何かを曝け出せ
肩の荷が下りたようだった。
どうしようもない僕を明かしてしまった。もう元には戻れない。
だけどそれでも緊張と羞恥心に鼓動は逸る。
「……そう、良く解ったわ」
こんな人間など見たくもないだろうに、涼宮さんは僕から視線を逸らさない。
次にどんな罵声と謗りがこようとも、僕は今までそれだけの事をしたのだから。
「古泉くんだって若い男の子なんだものね。体を持て余したっておかしくないわ。
ちょっとくらい変わった性癖があっても、古泉くんは古泉くんだもの。
それに今SOS団を辞めたとして、古泉くんは今後どうするつもりなの?」
本当に僕はどうするつもりなのだろう。
SOS団を辞めて、きっと機関の指示で転向して、それから僕は。
空虚な心と淫らな体を抱えてどうなるのだろうか。

「だから、ね、古泉くん。あなたが体を持て余してどうしようもないなら
あたしが、ううん。あたしたちが見てあげるわ」
一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。
涼宮さんは、今僕に何と言った?
「大体、可愛い副団長を好き勝手に開発されて許せる訳がないじゃない。
古泉くんはあたしたちの物だわ。そう思わない?有希」
「……古泉一樹は誰の所有物でも無いが、許せない事は確か」
「そう、許せないのよ!何処の誰だか知らないけれど
こんな理由で古泉くんをSOS団から脱退なんてさせやしないんだから」
怒り心頭な涼宮さんの発言が心底予想外で、僕は頭が付いていかなくて。
「ま、待って下さい……僕は……」
「古泉くんは今の自分を知られるのが怖かったんでしょう?
あたしたちに嫌われるんじゃないかって。でもそんな事無いわ」
あまりに慈悲深い彼女に僕は言葉を失う。
そして僕を見つめる彼女の強い眼差しに、別の色が浮かんだ。
「それにこれまでの話を考えると、古泉くん、今興奮してるんじゃない?
軽蔑なんてしないから。……オナニーしたいならしても良いのよ」

事の展開にショート寸前だった頭が、衝撃に機能停止したようだった。
涼宮さんがそんな単語を口にするなんて。
一瞬のうちに体温が急上する感覚を覚えた。
僕を見つめる涼宮さんの目には、労わりと好奇心の色がある。
どんなにその目を伺っても、そこに蔑んだ感情は見られなくて。
僕は困惑して、部室内に目を走らせた。
一人一人を見ていく。そこに嫌悪の表情は無い。ただ、皆が僕を見ていた。
「見られるの、好きなんでしょう?どんな古泉くんだって見ていてあげる。
だから安心して好きな事をすれば良いの」
涼宮さんの声は僕を包み込むかのように暖かく、そして淫靡な響きを持って聞こえた。
「したいんでしょう?オナニー」
僕は詰めていた息を吐いて跪く。
涼宮さんはずっと僕の神様で。その彼女がどんな僕でも見捨てないと言うのなら。
その囁きに抗う術は、いや抗う必要も無かった。


皆に見守られながらの行為は、これまでに無い程の興奮を僕にもたらした。
涼宮さんは僕の心を読んでいるのでは無いかと思う程に
要所要所で的確に僕の熱を煽ってくれた。
片手で性器を扱き、もう片方の手で後ろを弄りながら
快楽に濡れた目で見上げれば、皆の目にも熱が篭っていた。
中でも涼宮さんのまっすぐな視線は、まるで僕の心も体も射抜くようで。
程なくして僕は堪えきれずに声を上げながら開放の時を迎えた。

床に跪いたまま忙しない呼吸を繰り返す僕に
椅子から降りた涼宮さんが近寄ってくる。
「お疲れ様、古泉くん」
今まで一人で悩んでつらかったでしょう、と。
そう言って涼宮さんは僕の肩を抱いてくれた。
その柔らかな暖かさに、次の瞬間僕の目から快楽とは違う涙が溢れた。



僕はまた放課後を文芸部室で過ごすようになった。
ただ以前と違うのは、朝比奈さんは恥じらいながらも
お茶を口移しで僕に与えてくれるようになり
彼はゲームの勝敗により僕に仕込んだ玩具を弄る。
発情しきった僕は我慢出来ずに彼自身を舐めさせて貰う事もある。
長門さんは変わらず物静かに読書に耽っているが
時折嵐のような快楽を与えてくれた。それは宇宙人的な力なのかも知れない。
そして涼宮さんはいつでも堂々と僕の上に君臨する。
仮に僕が指示通りに出来なくとも、怒る事もなく慰めるように僕を撫でてくれるから。
「次はちゃんと頑張れるわよね?」
優しくそう言われれば、僕も次こそは頑張ろうと思えるのだ。


長門さんがこっそり僕に打ち明けてくれた事がある。
あの日、僕があの送信者に送ろうとしたメールは
長門さんの力で彼の元に転送したらしい。
あんなメールが突然僕から届いて、彼もさぞかし迷惑だったろう。
それを知ってしまえば、彼の困惑っぷりも納得がいった。
また、長門さんはメール転送の際に
あの送信者の携帯にあったデータを全て移したとも言っていた。
その誰かの記憶まで情報操作したのかどうかは定かでは無いが
僕は長門さんに助けられたという事だけは解った。
長門さんには感謝してもしきれない。

僕の記憶は弄られる事も無く、目覚め染み付いた欲望は僕の身を焦がすが
それでも彼らのお陰で、大分上手く折り合いを付けられるようになっていった。
どんなに淫らな自分を晒しても彼らは受け止めてくれる。
その充足感安心感は計り知れない。
大好きな彼らに囲まれて、僕は幸せだった。



C.SOS団END「そのような存在を、人はご主人様と定義しています」