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「……帰って下さい」

今日も古泉は部屋の扉を開けてくれない。
俺が合い鍵を使って古泉が住む一室へと入った途端、足早に自室に閉じこもって鍵を掛け、そこから出ようとしないのだ。
何故部屋から出ないのか、俺と顔を合わせようとしないのか。
頑として何も言わない古泉だったが、一日二日ぐらいなら単に虫の居所が悪いだけかと思い、そのまま何もせず帰途についた。
だが、これで三日目になる。
我慢の限界に達した俺は、勢いよく部屋の扉を叩いた。
だが、古泉から返って来たのは、
「入らないで下さい!」
という拒絶の言で。
理由一つ言わずに頑として閉じこもる様にカッとなり、近所迷惑も鑑みずに思いっきり体ごと扉に叩き付ける。
そして、強引に開かれた扉の先に見えたのは、ベッドの上に全身を毛布でくるまっている古泉の姿だった。
「……近寄らないで下さい」
毛布の中から明らかに古泉の声と思われる、だが拒絶の言葉が発せられる。
だが、理由も解らずに拒絶されたのに黙って引き返すほど大人じゃない。
俺はベッドに近づくと、強引に古泉から毛布を剥ぎ取った。
「み、見ないで下さい!」
俺の目に映ったのは、パジャマの上着に下着姿という、いつもと変わらない寝る時の古泉の姿だった。
いつもと変わらない古泉の姿に一先ず安堵して更に近づくと、古泉ははだけている前を隠すように俺に背を向ける。
その様を不審に思い、俺は強引に体を前に振り向かせて両手をどかせた。
「あっ……!」
だが、面前にあるのは、ツンと勃った両乳首にシミ一つない透き通るような白い肌と、俺を高鳴らせるいつも通りの古泉でしかない。
「お願いだから見ないで……」
それでも古泉は涙目で俺に自分を見ないよう、脇腹を抑えて懇願する。

……ん? 脇腹?

不自然な古泉の体勢を疑問に思った俺は、古泉が脇腹を押さえている手をどかせる。
「だ、駄目です!!」
そんな古泉の制止の声も聞かずに手を退けると、そこには――全身からは浮いている、手で摘み過ぎたのか、やや赤みを帯びた跡が残っていた。
「これは……?」
「だから見ないでって言ったのに……」
古泉はそう言うや否やボロボロと泣き出してしまった。

泣きじゃくる古泉から聞き出したところ、三日前に久々に体重計に乗ったところ、体重が三キロ増えて、ウェストも脂肪が摘めるぐらいになっていたらしい。
このままだと太って俺に嫌われると思った古泉は、部屋に閉じこもって必死に室内運動に励むことにしたとのことだった。ちなみに、食事は買いだめしていたカロリーメイトらしい。

「だからって人に心配させるな!」
「ご、ごめんなさい……」
俺の怒鳴り声に古泉はすっかり涙声のままで、目も真っ赤に腫れ上がっていた。
「でも、こんな姿見せたくなくて……」
「元が痩せてるし三キロぐらいどってことねえよ」
俺は涙目な古泉をそっと抱きしめる。
抱きしめた古泉の身体は、前と変わらない細いままだった。
「それに、太ってたって俺の古泉への気持ちは変わらない」
「でも……」
「それじゃあ、俺が三キロ太ったら嫌いになるか?」
「……いいえ、いいえ!」
古泉は俺の胸に顔を埋めたまま左右に振る。
「そういうことだ」
俺は古泉を一旦引きはがすと、両手で古泉の両肩を掴み、ベッドの上に押し倒す。
「それでも気になるなら、運動をすればいいだけだろ、二人で」
「……はい」
そして俺は、目どころか頬を真っ赤に染めた古泉にそっと口づけをした。