※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

閉鎖空間の雰囲気は嫌いではない。
だが音が無さ過ぎて、長時間入ると気が変になりそうだと仲間が言っていた。

古泉は灰色に染まった世界に入るとすぐ、力を放出する。
感覚を体内に集中し、光をイメージする事によって自らを赤い光の塊に変える。
そのまま歩道から空へと浮かび上がり、旋回する。戦いと破壊の音を頼りに戦闘現場に向かった。
すぐに灰色の空を飛び交う仲間を発見する。
「遅れて申し訳ありませ…?」

だがそこにいつもの神人の姿は無かった。
仲間の一つが古泉の方に旋回し、真上で停止する。
「古泉か?」
「ええ…戦闘対象が見当たりませんが…?」
「非常事態だ、先程、神人の姿が変化した。今までの戦闘ケースに無いパターンだ。
相手の声は緊迫していた。もちろん彼(彼女かもしれない)も赤玉と変化しており、
顔はわからない。元より戦闘仲間を顔を全て知らされている訳でもなく、
実質個人情報は名前だけだった。それは機関によるクーデター対処だと古泉は予想している。
だが、4年間の戦闘によるチームワークは伊達ではない。
「…ではすぐに本部に連絡を。」
「無駄だ。」
「何故です?」
ここから出て連絡するだけの事、何ら難しい事ではない。
「出られないからだ。」
「…なっ?!」
流石に古泉は絶句した。出られない、それは非常事態どころではない。
慌てて古泉は旋回し、閉鎖空間の狭間へと身体をぶつけた。
「くっ…!そ、そんな…?」
見えない壁はまるでシリコン素材のように古泉を跳ね返し、道路に身体を打ちつけた。
その反動で人型に戻った古泉は呆然と壁を見上げる。
「どういう…事ですか…?」
追って来た赤玉を振り返る。
「そういう事だ、全員失敗している。君も例外ではないようだな。」
ふと遠くの空で、一つの赤玉が高速で無限の形を飛行しているのが見える。
「…集合の合図だ、急げ。」
「…!」
古泉はすぐに身体を変化させ、赤い光の線となった。

「点呼!」
「1!」「2!」「3!」…と空中で点呼が終わり、全員集まった事を確認する。
「状況を整理する。」
そこで集まった情報を全て聞き、古泉は愕然となった。
閉鎖空間から出られない、すなわち存在の危機、情報連絡の不通を意味する。
また、神人の変化についても聞いた。
「神人はほぼ20分程前、人型を放棄している。理由は不明。」
「しかし神人を倒せば元の世界に戻れるのでは?」
「先程攻撃を皆で加えたのですが…あれでは攻撃も意味を成しません。」
「神人の形態はゼリー状態だ。しかも攻撃出来る隙も無く
無数の手が攻撃して来る…お手上げだ。」
「まるで無数の蛇の塊みたいな…。」
そんなまさか、と古泉が小さく声を上げる。
神人がそんな姿になった事など今まで一度もない。
「今まで…『彼女』の中の常識が潜在意識で働き、人型を保っていたハズです。」
「そう、しかし何かが『彼女』に影響したと思われる。」
覚えが無いか?と聞かれ、古泉は小さくいいえと答えた。本当に覚えが無い。
今日のSOS団に何の変化も無かったはずなのだが。
話し合いも前に進まないまま、情報交換が進む。

「きゃあああ!!」
突然、遥か下の地面から無数の腕が獲物を狙うタコの様に広がった。
「散れ!」
「うわああ!」
各々が叫びながら一瞬混乱を極めた。
古泉は必死でその包囲網の隙を見つけ、無数の腕の包囲網を逃れる。
旋回飛行は得意だ、仲間にも褒められた事がある。
「きゃああああ!」
「ひぃぃぃぃ!!」
安全と確認出来る場所まで飛び、振り向けば、二つの赤玉が捕らえられて
地面に吸い込まれた。
「しまった!捕まったのは誰だ?!」
「あの声は――さんと――だと思われます。」
裏返った声に、古泉は緊迫した声で、しかし冷静を保ちながら答えた。
難を逃れた仲間が警戒しながら戦闘態勢のフォーメーションを組む。
「救出しなければ…戦闘形態C-2!作戦TXで応戦する!」
「波状攻撃ですね。」
「チームABとCは弾丸になるのではなくナイフだ、神人の手を出来るだけ
切り裂く事に集中。波状攻撃を仕掛ける。」
「チームDは二人の救出。そのスピードをいかしてくれ。」
「「了解。」」
古泉はチームDだった。と言っても二人だけ。
スピードと高い飛行技術を得意とするタッグだ。
「GO!」の合図で、全部隊が地上へと急降下した。

その神人の全貌が見えるにつれ、古泉に恐怖の意識が少しずつ芽生える。
まるでカエルの卵の様に、半透明に光る腕、腕、腕…絡み合い蠢く。
その一本一本の先は手の様に5本の指があった。
本体は見えない、否もしかしたら本体など無いのかもしれない。
それは一本一本が別の生き物の様に蠢いていた。
信号に絡まり、撫で回し、自販機を締め上げ、大きな十字路の交差点を埋め尽くす。
「二人はどこに…?」
すでに攻撃が始まっている。大抵の腕は攻撃をして来る赤玉を意識し、
古泉達には攻撃は手薄だ。
「お、おい…あそこだ古泉…!電柱の…!」
動揺している仲間の声を聞いて慌てて確認する。
「…っ?!な、なんて事を…!!」
捕らえられた二人は人型に戻っており、その肢体に腕が絡みつき、服は破かれ、
ほぼ裸体をさらしていた。
一人は20代後半と思われる、女性。もう一人は古泉より幼いかもしれない…少年だ。
古泉は身体がカッと熱くなるのを感じた。
何故なら女性はその足を大きく広げられ、空に向かって女性器をさらけ出している。
そしてその無数の腕が女性に容赦無く性的な攻撃を加えていたのだ。
少年はうつ伏せにされながら、同じく腕に固定され、そのアナルに
何か蠢くものが突き刺さっていた。
「な…なっ…。」
流石に古泉は思考回路が真っ白になるのを感じた。
これは何だ。先程まで居た学校の日常とあまりにかけ離れている。
ダンテのように地獄に来てしまったのか。
「ぼうっとするな古泉っ!」
仲間の声に我に帰る。迫り来る蛇の様な腕を何とかかわした。
向こうの方で悲鳴がする。ああ、誰か捕らえられたようだ。
ふと見れば腕では無い、生殖器の様な形をした長いモノが、女性の中に入っていく所だった。
「駄目…駄目です!」
止めなければ。
女性にあんな惨い仕打ちをしてはいけない。いけないんだ…涼宮さん。
貴方はそんな人じゃない。古泉はその女性に向かって急降下した。
「無茶だ古泉!」その声は遠くに聞こえた。
そのまま急降下し、襲って来る腕を螺旋旋回で避け、彼女の元へつく瞬間に
光りを鋭くさせ、彼女に纏わりつく神人を切り捨てた。
自由になった女性はどうやら放心しているらしい、どうやら
「嫌」とか「助けて」と呟いているようだ。
古泉は瞬時に人型に戻り、女性を抱きしめ、また赤玉に変化しようと
身体を光らせ空中に飛び立ったその時。
「ぐっ!」
背後から首に腕がからみついた。
「古泉っ!」
渾身の力で女性を赤玉に変化させ、仲間の声の方に飛ばす。
その直後、古泉を襲ったのは神人の手によるこめかみへの張り手。
「…っ…!」
脳震盪を起こし、身体の力が抜ける。古泉は無数の腕に絡め取られた。


神人の腕のようなものはひんやりと冷たく、ヌルヌルと粘膜に覆われている。
「っ…!」
古泉が慌てて力を発動し、力を集中させようとするがその前に細い蛇の様な腕が頬を叩いた。
手足を拘束し、空中でもがく古泉に何度も打撃をくらわせる。
「ぐっ…くぅっ…!」
何度か往復でビンタをくらい、古泉はぐったりと力を落とした。
そのままゆっくりと蠢く蛇の大群の様な神人の上に降ろされる。
古泉はぼうっと灰色の空を見上げた。空に無数の腕が伸びる様はある意味とても神秘的だった。
「ひっ…?」
制服の中に襟首から入り込む、筆記用具くらいの細い手に意識が戻された。
何本も入り込み、肌の上を蠢いている。瞬時に先程の捉えられた二人を思い出す。
「い、嫌だ…嫌だっ!」
あんな風にされるのかと思うと底知れぬ恐怖がわきあがってきた。
初めて神人と戦ったあの時から、もう怖いと思う事などあるまいと思っていたのに、
この異質な恐怖は止まらない。もう超能力を使おうという余裕も無く、ただ力をこめて暴れた。
しかし自分の腕より少し太い神人の腕が…否、触手が古泉の手を絡め取り、
万歳をさせるように固定させている。
足は先程の女性のようにカエルの様に曲げられ、強引に開かされていた。
「やめっ…」
布のちぎれる嫌な音を立てて制服が内側から引き裂かれる。身につけていた全ての衣服が
一瞬にしてただのボロ布と化し、下へと落ちていった。
空には誰も仲間が居ない。あの女性はどうなっただろうか、仲間は皆捕まったのだろうか?
聞こえるのは破壊の音とズルズルという触手の蠢く音、そして仲間の快楽と恐怖に染まった悲鳴。
助けて、助けて下さい。と叫ぼうにも誰も相手が居ない。絵に描いたような地獄だった。
「…っ…ふっ…」
細い触手が脇腹をなぞり、胸をかすめ、背筋をなぞる。足の付け根にそろそろと這っていく。
「やっ…あぁっ!」
何の前触れもなく、素早い動きで細い触手がペニスに絡みつき、尿道に丸い指の様な先を押し付けた。
それを合図にしたかのように胸のあたりを這っていた触手が乳首をぐりぐりと押しつぶす。
さらに尿道に当てられた触手がぐりぐりと鈴口をなでまわし始めた。
「あ‘ぁっ!ひゃっ…あ‘っ!」
びくびくと勝手に身体が跳ねる。あまりの刺激に生理的な涙があふれ、
ヨダレが伝うのも気付かずに嬌声とは程遠い悲鳴を上げ続けた。
触手は開いた口腔内にも潜り込み、歯列をなぞる。
「やっ…けてっ…ひぃやっ…いらいっ…!」
尿道への刺激は強すぎて痛みを感じる。
必死で助けを求めるが、誰に対して助けを求めているのか全くわからなかった。
だって誰も自分を助けてくれる者など居ないのだ。機関もSOS団の誰も、
古泉がこのような事態に陥っている事を知らない。
細い触手がアナルをつつくのを感じる。そのまま、ずるりと入り込んで来た。
「ひっ…ひぃっ…」
中がきついのか、触手は魚のように体を捻じ曲げながら入って来る。
恐怖で涙がぼろぼろと零れたが、それが誰かに訴えかける事もない。

助けて助けて助けて助けて!だれか!ダレカ!
頭の中での悲鳴は誰にも届かない。目の前に広がるのはただ灰色の空だけだった。
「ひっ…あっ…」
今頃みんなどうしているかな?彼はもう帰宅して妹さんと夕食の準備をしてるんでしょう。
彼女は未来に報告に行っているかな?長門さんは本を読んで過ごすのでしょうか。
涼宮さんは…。
「うっあ…っ!」
中で蠢いていた触手がある箇所をなぞった。そのとたんに身体が大きく跳ねる。
気がつけば古泉のペニスは立ち上がり、硬くなっていた。
「やっやだっ…ぅあああ!」
触手がそこを何度も擦る。身体をよじるが、全く意味を成さなかった。
身体を這い回る触手は今や意図して古泉を強制的に追い詰める。尿道をつつく触手、
乳首を遊ぶように震わせる触手、脇を撫でる触手…。
「あっあっ…っ!」
古泉はあっけなくイッてしまった。だが触手はお構いなしに暴行を続ける。
達して余計に敏感になった身体にさらに攻撃を加えてきた。
睾丸に細い触手を絡め、揉みし抱く。アナルにはさらに触手が増やされた。
「っ…ひっ…く…」
ひきつけを起こした様な声が出て、身体が痙攣する。
「…け、て…た…けぇ…」
さらに細い触手が目の前を通った気がした。
イキ続ける尿道に、ソレはつぷり、と差し込まれた。
「         !!」

助けて。助けてください。このままこの閉鎖空間は広がり、世界が終わる。再構築される。
そんなの酷すぎる。まだやりたい事がいっぱいある。
普通の女の子とデートとかしてみたい。友達と殴り合ってケンカとかしてみたい。
徹夜でツーリングとか、皆でバーベキューとか、プロレス見に行きたいし、
明日のサッカーの試合見たい。もうすぐ出来るラーメン屋、彼と行くって約束した。
皆のマフラー編んでくれるって朝比奈さんが言ってた。
長門さんが喜びそうな本見つけたんだ、買おうと思って忘れてた。
涼宮さん…たくさんの楽しい事、彼女にありがとうって言ってない。

突然、空が大きくひび割れた。

 


「おい古泉、お前顔色悪いぞ。」
「そうですか?」
「別に構わんが、突然倒れたりするなよ、迷惑だ。」
部室は夕日が入り込み、オレンジに染まっていた。ハルヒ達はどうやら使っている化粧水とやらの話で盛り上がっている。主にハルヒだけだったが。古泉は俺にこっそりと彼に耳打ちする。
「実はここの所閉鎖空間と共に、僕達に敵対心を持つ組織が絡みましてね…。」
近寄るな、耳元で話すな、セクハラする変態上司かお前は。
「で?やっぱりあの胸糞悪い場所でドンパチやってたのか?」
思い出すのも嫌なあの世界で、どうせこいつはあの変態臭い能力で飛び回っていたんだろう。楽しそうだ。目の前のにやけ面がさらに歯を見せて笑いやがった。
「そうだったら面白いかもしれませんが、残念ながら。」
もっと複雑なんですよ、と意味深に窓を見やがった。何と様になる姿だろうか吐き気がする。
「そう言えば、昨日ハルヒに電話したんだがな。」
こういう時はヤツが独壇場の演説を始める前に別の話題をふるに限る。と、にやけ面が一瞬真面目な顔になった気がした。
「いつです?」
「は?」
「いつですか?電話したのは。」
「えっと…8時ごろだったか。」
「その時涼宮さんに妙な変化はありませんでしたか?」
こいつは何を言い出すんだ。まったく一体どの藪をつついたら蛇が出てこないのかね。
「えっと…ああ、確か変な事言ってたな。」

『ちょっとキョン!聞いてよ!何か私宛に妙な荷物が届いててね!中身何だと思う?!』
『あ?つかそんなもの中身を確認せず開けるなよ…。』
『バカキョン!どこから不思議なものが出るかわからないじゃない!』
『で?何だったんだ?不幸の手紙か?』
『それが、エロ本なの!エロ本!しかも触手?っての?マニアックな感じの。』
『はぁ?誰からだようらやま…や、何でも無い。で、読んだのか?』
『よ、読んでないわよ!!読んでないからねっ!!あんっな恥ずかしいもの!捨ててやるんだから!はいっ捨てた!!聞こえた?!ゴミバコの音聞こえた?!』
『はいはい聞こえた、聞こえました。』

その会話を古泉に話してやると、ハンサム少年は笑顔のまま思慮深げにするという芸当をお返しに見せてくれた。
「なるほど…。」
「は?」
「それは多分僕達に敵対する組織の仕業です。」
「はぁっ?何の為に?」
「…ちょっとした嫌がらせですよ。困ったものです…。」
古泉の話によれば、ハルヒが羞恥心を覚えながらそれを読んだ為閉鎖空間が生まれ、さらにその誰にも知られたくないという羞恥心が閉鎖空間の中に古泉達を閉じ込めたそうだ。
中の神人はすぐに倒せたが、出られなくて困っていると、ちょうど8時ごろ、勝手に閉鎖空間が消滅したらしい。俺が電話をした時間だ。
「いやあ、流石にひやっとしましたよ。助かりました。」
「一生閉じ込められてろ。」
酷いですよ、と笑うハンサム野郎を無視して、俺は朝比奈さんに笑顔を向けた。