総合問題集_憲法


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問題1 次の文章を読み、文中の(A)(漢字一字)として正しいものを記入しなさい。

日本国憲法の英訳(昭和21年11月3日英文官報)によれば、第29条第1項は、
 The right to own or to hold property is inviolable.
であり、第41条は
 The Diet shall be the highest organ of state power,and shall be the sole law-making organ of the State.
とされている。この両者の日本国憲法正文を比べてみると、(A)という1文字だけが共通していることに気がつく。rightとpowerが日本語の上では同一視されて怪しまれないという事実は、日本人の法観念の有り様を示唆しているようにも思われる。

解答
 憲法第29条第1項は、「財産権は、これを侵してはならない。」と規定する。
 また、憲法第41条は、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と規定する。
 設問では、両者間で共通する1文字(漢字)を聞いている。共通する文字は、“は”と“権”の2つだけであり、感じは“権”だけである。
 憲法29条第1項と第41条を一字一句覚えている人は、何とか正解が出せるようになっているが、仮に覚えていなくても、right(権利)とpower(権力)をヒントにして、「財産権」と「国権」の用語が出てくれば正解に達することが出来る。

正解 権

問題2 次の記述のうち、「主権」という用語がほかとは違う意味で使われているものはどれか。

1 ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

2 政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

3 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

4 国民主権の原理は、国政が国民の厳粛な信託によるものであることを意味する。

5 高度の政治性を有する国家行為は、司法審査になじまず、国会等の政治部門の、最終的には主権者たる国民の、政治責任において行われるべきである。

解答
主権概念は多義的であるが、一般的に、 ①国家権力そのもの(統治権)②国家権力の属性としての最高独立性③国政についての最高決定権 、の3種類の意味を持つ。

1他と同じ 国政についての最高決定権
2他と違う 国家権力の属性としての最高独立性
3他と同じ 国政についての最高決定権
4他と同じ 国政についての最高決定権
5他と同じ 国政についての最高決定権

正解 2

問題3
 次の記述は、日本国憲法の条文を基礎としているが、本来の条文にある重要な要素がかけているなど、変更されているものが含まれている。選択し1~5のうち、本来の条文に照らして正しいものはどれか。

1 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

2 日本国民は、正義と秩序を貴重とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

3 何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命、自由もしくは財産を奪われ,またはその他の刑罰を科せられない。

4 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その補償を求めることが出来る。

5 国民、天皇又は摂政および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う。

解答
1正しい 肢1は、「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」という2条の文言の通りである。

2誤り 肢2は、「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という9条1項を基礎としているが、「武力による威嚇又は」という文言が欠けている。

3誤り 本肢は、「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命もしくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」という31条を基礎としているが、本来の条文にはない「財産」という文言が付加されている。

4誤り 本肢は、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることが出来る。」という17条を基礎としているが、本来の「賠償」という文言が「補償」に変更されている。

5誤り 本肢は、「天皇又は摂政および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」という99条を基礎としているが、本来の条文にはない「国民」という文言が付加されている。

正解 1

問題4
 以下の人権を性質に応じて分類した場合、他の人権とは異なる人権に分類されるものはどれか。

1 奴隷的拘束からの自由

2 学問の自由

3 生存権

4 財産権

5 表現の自由

解答
 人権を性質に応じて分類すると、大別して、 自由権参政権社会権 に分けることが出来る。
 自由権とは、国家が個人の自立的領域に対して権力的に介入することを 排除 して、個人の自由な意思決定と活動を保障する人権である。具体的には、 精神的自由権経済的自由権人身の自由 が含まれる。
 参政権とは、国民が 国政に参加 する権利である。具体的には、 選挙権 (15条)や 被選挙権 (立候補の自由)に代表されるが、他に 憲法改正の国民投票権 (96条)や、 最高裁判所裁判官の国民審査権 (79条2項)も含まれる。
 社会権とは、 社会的経済的弱者 が人間に値する生活を営むことが出来るように、国家の積極的な配慮を求めることの出来る権利である。具体的には、 生存権 (25条)、 教育を受ける権利 (26条)、 勤労の権利 (27条)、 労働基本権 (28条)が含まれる。

1自由権 奴隷的拘束からの自由は、 人身の自由 であるので、自由権に分類される。

2自由権 学問の自由は、 精神的自由権 であるので、自由権に分類される。

3社会権 生存権は、 社会権 に分類される。

4自由権 財産権は、 経済的自由権 であるので、自由権に分類される。

5自由権 表現の自由は、 精神的自由権 であるので、自由権に分類される。

正解 3

問題5 次の文章は、最高裁判所の判決の一節である。判決の趣旨に照らして、妥当でないものはどれか。

 「税理士会は、税理士の義務の遵守および税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導、連絡および監督に関する事務を行うことを目的として、法が、あらかじめ、税理士にその設立を義務づけ、その結果成立された法人である。法に別段の定めがある場合を除く外、税理士会に入会しているものでなければ税理士業務を行ってはならないとされている。
 税理士会が強制加入の団体である、その会員である税理士に実質的には脱退の自由が保障されていないことからすると、その目的の範囲を判断するに当たっては、会員の思想・信条の自由との関係で、次のような考慮が必要である。
 税理士会は、法人として、法および会則所定の方式による多数決原理により決定された団体の意思に基づいて活動し、その構成員である会員は、これに従い協力する義務を負い、その意図つとして会則に従って税理士会の経済的基礎をなす会費を納入する義務を負う。しかし、法が税理士会を強制加入の法人としている以上、その構成員である会員には、様々の思想・信条および主義・主張を有するものが存在することが当然に予定されている。従って、税理士会が右の方式により決定した意思に基づいてする活動にも、そのために会員に要請される協力義務にも、自ずから限界がある。」
(平成8年3月19日最高裁判所第三小法廷判決)

1 税理士会は、会社とはその法的性格を異にする法人であり、その目的の範囲についても、これを会社のような広範なものと解するならば、法の要請する公的な目的の達成を阻害して法の趣旨を没却する結果となることが明らかである。

2 政党に政治資金の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏をなすものとして、会員各人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄である。

3 税理士会は、税務行政や税理士の制度等について権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することが出来るが、政治資金規正法上の政治団体への金員の寄付を権限のある官公署に対する建議や答申と同視することは出来ない。

4 税理士会が政治資金規正法上の政治団体に対して金員の寄付をすることは、たとえ税理士にかかる法令の制定改廃に関する要求を実現するためであっても、原則として、税理士会の目的の範囲外の行為であり、無効といわざるを得ない。

5 税理士会の目的の範囲内の行為として有効と解されるのは、税理士会に許容された活動を推進することを存立目的とする政治団体に対する献金であって、税理士会が多数決原理によって団体の意思として正式に決議した場合に限られる。

解答 南九州税理士会事件

1妥当である
 判例は、「税理士会が強制加入の団体であり、……その目的の範囲を判断するに当たっては、会員の思想・信条の自由との関係で、……考慮が必要である。」と判示している。よって、税理士会は、会社とはその法的性格を異にする強制加入団体であり、その目的の範囲についても、会員の思想信条との関係で制限を受けるから、これを会社のような広範なものと解するならば、法の要請する公的な目的の達成を阻害して法の趣旨を没却する結果となるといえる。

2妥当である
 判例は、「法が税理士会を強制加入の法人としている以上、その構成員である会員には、様々の思想・信条および主義・主張を有するものが存在することが当然に予定されている。」と判示している。よって、政党に政治資金の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏をなすものとして、会員各人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄であるといえる。

3妥当である
 判例は、「税理士会は、税理士の義務の遵守および税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導、連絡および監督に関する事務を行うことを目的として、法があらかじめ、税理士にその設立された法人である。」としたうえで、「税理士会が強制加入の団体であり、……その目的の範囲を判断するに当たっては、会員の思想・信条の自由との関係で、……考慮が必要である。」と判示している。よって、税理士会は、その設立目的から税務行政や税理士の制度等について権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することが出来るが、政治資金規正法上の政治団体への金員の寄付は、会員の思想・信条に関わる問題であるから、これを権限のある官公署に対する建議や答申と同視することは出来ないといえる。

4妥当である
 判例は、「税理士会が強制加入の団体であり、……その目的の範囲を判断するに当たっては、会員の思想・信条の自由との関係で、……考慮が必要である。」としたうえで、「会員に要請される協力義務にも、自ずから限界がある。」と判示している。よって、税理士会が政治資金規正法上の政治団体に対して金員の寄付をすることは、会員の思想・信条の問題に関わり、会員の協力義務にも限界があるから、たとえ税理士にかかる法令の制定改廃に関する要求を実現するためであっても、原則として、税理士会の目的の範囲外の行為であり、無効といわざるを得ないといえる。

5妥当でない
 判例は、「税理士会が強制加入の団体であり、……その目的の範囲を判断するに当たっては、会員の思想・信条の自由との関係で、……考慮が必要である。」としたうえで、「税理士会が右の方式(法および会則所定の方式による多数決原理)により決定した意思に基づいてする活動にも、そのために会員に要請される協力義務にも、自ずから限界がある。」と判示している。よって、献金は会員の思想・信条に関わる問題である、税理士会が多数決原理によって決定した意思に基づく活動といえども会員の協力義務には限界があることから、たとえ税理士会に許容された活動を推進することを存立目的とする政治団体に対する献金であって、税理士会が多数決原理によって団体の意思として正式に決議した場合であっても、税理士会の目的の範囲内の行為として常に有効と解されることはないといえる。

正解 5

問題6 次の文章は、日本国憲法における「公共の福祉」の意義に関する文章である。そこにいう「公共の福祉」の定義に当てはまらないと考えられる事例はどれか。

 基本的人権は、永久不可侵性をその本質とするが、そのことは人権保障が絶対的で、一切の制約が認められないということを意味しない。それは、人権観念も社会生活を前提に成立している以上、当然のことで、人権が絶対的であるとは、他人に害を与えない限りにおいてのみ妥当し、ある個人の人権と別の個人の人権がぶつかり合ったときに、その衝突の限りにおいて、人権の制約は許されるのである。このような観念が、「公共の福祉」である。つまり、「公共の福祉」は、各個人の基本的人権の保障を確保する為の、基本的人権相互の矛盾・衝突を調整する公平の原理である。

1 他人の名誉毀損する表現行為を、犯罪として罰すること。

2 薬局開設の条件として、既存の薬局から100メートルの距離制限を設けること。

3 満20年に至らないものの喫煙を禁止すること。

4 道路その他公共の場所で集会もしくは集団行進を行おうとするとき、公安委員会の許可を受けなければならないと規定すること。

5 古物商になろうとするものは、公安委員会の許可を受けなければならないと規定すること。

解答 公共の福祉

 設問見解、「公共の福祉」による人権制約は、 他社を害するがゆえの制約 であると解している。ところで、人権の制約には、他社を害するがゆえの制約でない制約も考えられる。それは、 パターナリズムによる制約 である。パターナリズムによる制約は、他社を害するがゆえの制約ではなく、未成年者の飲酒や喫煙の禁止のように、 本人にとって好ましくないがゆえの制約 である。

1あてはまる
 他人の名誉を毀損する表現行為は、他人の名誉を害する為に罰せられる。これは、他社を害するがゆえの制約であるといえる。

2あてはまる
 薬局の適正は一期生は、国民の生命および健康に対する危険を防止する為の規制である。これは、他社を害するがゆえの制約であるといえる。

3あてはまらない
 未成年者は、心身の発達過程にあってそれぞれの性格および生活様式が未確立であり、判断力も十分でないので、喫煙が禁止される。これは、他社を害するがゆえの制約ではなく、本人にとって好ましくないがゆえの制約であるといえる。

4あてはまる
 デモ行進のような表現活動は、一定の行動を伴うものであるから、例えば、公衆の道路・公園等の利用という社会生活に不可欠な要請と衝突する可能性がある為に、その調整が必要で、一定の制約を受ける。これは、他社を害するがゆえの制約であるといえる。

5あてはまる
 古物営業の許可制は、賍物(盗品その他の財産に対する罪にあたる行為によって領得された財物の)相当数が古物商に流される現実の事態にかんがみ、その流れを阻止し、又はその発見に努め、被害者の保護を図るとともに犯罪の予防、鎮圧ないし検挙を容易にする(最大判28.3.18)ための規制である。これは、他社を害するがゆえの制約であるといえる。

正解 3

問題7 次の記述の内、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、妥当でないものはどれか。

1 喫煙の自由は、憲法第13条の保障する基本的人権の一つに含まれるとしても、あらゆる時、所において補償されるものではなく、未決拘禁者に対する喫煙の禁止は、喫煙を許すことにより、罪証隠滅の恐れがあり、火災発生の場合には被拘禁者の逃走が予想され、直接拘禁の本質的目的を達することが出来ないから、憲法には違反しない。

2 裁判官の積極的政治活動を禁止する裁判所法52条の「積極的政治活動」とは、組織的、計画的又は継続的な政治上の活動を能動的に行う行為であって、裁判官の独立および中立・公正を害する恐れがあるものを言い、その禁止は、合理的で必要やむを得ない限度にとどまるから違憲ではない。

3 憲法第28条の労働基本権の補償は、公務員に対しては及ばないので、国民全体の利益の保証の見地からする広範な制約を免れない。従って、公務員の一律かつ全面的な争議行為禁止規定は、憲法には違反しない。

4 未決拘禁者の閲読の自由は、監獄内における規律・秩序が放置できない程度に害される相当の具体的蓋然性が予見される場合に限り、禁止することが出来る。

5 公務員の政治的中立性を損なう恐れのある公務員の政治的行為を禁止することは、それが合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところである。

解答 特別な法律関係

1妥当である
 未決拘禁者に対する喫煙禁止の合憲性が争われた事件で、最高裁判所は肢1のように説き、喫煙禁止は、憲法13条に違反しないと判断した(最大判昭45.9.16)。

2妥当である
 通信傍受法案に反対する集会に参加し、「仮に反対の立場で発言しても積極的政治活動に当たるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する」旨発言した寺西判事補が、戒告処分を争った事件について、判例は、肢2のように説き、本件発言は、積極的政治活動に当たると判断した(最大決平10.12.1)。

3妥当でない
 公務員の一律かつ全面的な争議行為禁止規定の合憲性が争われた全農林警職法事件(最大判昭48.4.25)において、最高裁判所は、憲法28条の労働基本権の補償は公務員に対しても及ぶことを前提にしている。従って、「公務員に対しては及ばない」としている点で、肢3は妥当でない。

4妥当である
 拘置所に勾留されていた左翼活動家の原告らが、拘置所内において日刊新聞を私費で定期購読していたが、同拘置所長が日航機「よど号」乗っ取り事件に関する記事を墨で塗りつぶして配布した処分の違憲性・違法性が問題となった事件において、最高裁判所は、肢4のように説き、監獄法31条2項と所長の処分を合憲と判断した(最大判昭58.6.22)。

5妥当である
 公務員の政治的行為の制限をめぐる判例として重要な猿払事件(最大判昭49.11.6)において、最高裁判所は、肢5のように解し、①行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼の確保という規制目的は政党である、②その目的の為に政治的行為を禁止することは目的との間に合理的関連性があり、③禁止によって得られる利益と失われる利益との均衡がとれているとして、公務員の政治活動を禁止する国家公務員法102条を合憲であると判断した。

正解 3
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