平成14年_商法第1問

 株式会社A社は、株式会社B社の総株主の議決権の60パーセントを有する株主であるが、A社およびB社は、A社を存続会社、B社を消滅会社として合併することとなった。
 A社およびB社は、ここ10年間ほど1株あたりの純資産額も1株あたりの配当もほぼ同じであったが、合併契約書におけるB社株主に対するA社新株の割り当てに関する事項(合併比率)は、B社株式3株に対してA社株式1株の割合となっている。なお、合併交付金はない。
 B社の株主総会においては、総株主の議決権の70パーセントを有する株主が合併に賛成、総株主の議決権の30パーセントを有する株主が合併に反対であり、合併契約書は承認された。
 B社の株主であるXは、合併比率が不当だと考えているが、株主総会における合併契約書の承認の前後を通じて、どのような手段をとることができるか。

一 不当な合併比率によりXが受ける不利益について
 本問の合併比率はB社株3株に対してA社株1株であり、B社の株主は合併が有効になされれば、従来B社の株式として有していた株式の1/3の数のA社の株式を有することになる。
 そして、本問ではA社とB社の株価の目安となる一株あたりの純資産額、配当額がほぼ同じであり、株価もほぼ同じと解されるところ、合併が有効になされると、B社の株主は、自己の有する株式の価値がほぼ1/3になると言う著しい経済的不利益を受けることになる。
 以下、B社の株主Xがかかる不利益を回避するため、承認の前後を通じてとりうる手段につき検討する。
二 合併契約書承認の株主総会に先立って、書面で合併に反対の意思表示を通知し、かつ、株主総会で承認に反対することで、自己の株式の買取をB社に請求できる(408条の3)。

最終更新:2009年07月06日 12:41
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