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適用数値日間変動調査結果付録

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sazanami

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適用数値日間変動調査結果―付録

目次


付録A 管理図に関する知識の補填

1. 管理図の考え方

 管理図は,得られたデータ群が同一の分布に基づくデータであるか,若しくは過去のデータと同一の分布に基づくデータであるのか,それとも何らかの変動を生じているのかを判断するために用いることのできるツールである.(計量値)管理図は,一般に平均値の管理図とばらつきの管理図の2図をセットで用いる.管理図の例を図A.1に示す.(図中の赤文字は説明のために加えられたものである.)上図が平均値のための管理図(X~管理図),下図がばらつきのための管理図(s管理図)である.


図A.1 管理図(X~-s管理図)の一例

図A.1と見比べながら管理図の基本的な考え方を述べる.管理図では,ばらつきの管理図が最初にあるので,そちらから述べる.
  • 適当な群を考える(本調査では,「1日間の(TS内時間が同一の)成長合成適用数値のすべて」が1つの群である).ある群からいくつかのデータを取り出したとき(本調査では6個のデータである),そのデータはばらついている(s管理図の「点」の位置がばらつきの大きさを表している).しかし,このばらつきは「我々には捉えることのできない要因によるばらつき」と考える.
  • 多数の群を考える.それぞれの群からデータを取り出したとき,各群データのばらつきの大きさは,それぞればらついている(s管理図の点はいろいろな高さに打点されているだろう.各群データのばらつきの大きさが日々ばらついているわけである).しかし,もしすべての群のばらつきが同じ要因による同じ大きさのばらつきであったとするのならば,それぞれの群から取り出したデータのばらつきは一定の範囲内に収まるであろう(各点はUCLとLCLの間に収まる).
  • 逆に言えば,もしそれぞれの群から取り出したデータのばらつきが,ある一定の範囲内に収まっているのならば,すべての群のばらつきは同一であったと考えられる.もし一定の範囲内に収まらないようなばらつきが生じたときは,「我々には捉えることのできない要因によるばらつき」ではない,「特定の要因によるばらつき」があったと考えられる(=ばらつきの変動があったと判断できる).
以上がばらつきの管理図の基本的な考えである.続いて平均値の管理図について述べる.
  • 多数の群からそれぞれデータを取り出したとき,各群の平均値は,それぞればらついている(X~管理図の点はいろいろな高さに打点されているだろう.各群の平均値が日々ばらついているからである).しかし,もしすべての群のばらつきが一定であり,かつ平均値も同じであったとするのならば,それぞれの群から取り出したデータの平均値は一定の範囲内に収まるであろう(各点はUCLとLCLの間に収まる).
  • 逆に言えば,もしそれぞれの群から取り出したデータの平均値が,ある一定の範囲内に収まっているのならば,すべての群の平均値は同一であったと考えられる.もし一定の範囲内に収まらないような平均値が生じたときは,平均値に変動があったか,ばらつきが一定ではなかったと判断できる.
 以上を簡単にまとめると,次のように言えるだろう.
「ばらつきも,平均値もずっと一定であれば,取り出したデータのばらつきと平均値はある一定の範囲に収まるはずだ.もしそうなっていないのならば,ばらつきか,平均値かに変動を生じたからだ.」

2. 管理図の変動判定ルール

 前節では「一定の範囲内にすべての点が収まれば,変動はない」と述べた.しかし実際には,もう少し複雑な判定ルールが用いられる.その例として次のようなものがある.
  • 1点が領域Aより外側(限界線を越えている)
  • 連続3点中2点が領域A
  • 連続5点中4点が領域AまたはB
  • 連続7点が中心線に対して同じ側
 なお,この判定ルールを用いる際には,図A.2に示すように中心線と限界線の間を3等分して,それぞれ領域A,B,Cとする.これらの判定ルールは,「もしばらつきにも平均値にも変動がない場合に,このような点の現れ方が起きる確率は著しく小さいため,もしそのような点の列が現れた場合には変動があったと考える方が自然である」という考えに基づく.なお,管理図に関してはJIS Z 9021「シューハート管理図」にもその概要が(ここよりも詳しく)述べられている.

図A.2 判定ルールのための領域の区分



付録B 抜取検査に関する知識の補填

1. 抜取検査の性質

 「検査」は,全数検査・抜取検査・無試験検査の3つに大別できる.全数検査は,調べたいものすべての試験を行い,その結果を以って合否を判定する検査である.無試験検査は,自らは試験を行わず,書類検査や過去の実績などの情報で合否を判定する検査である.抜取検査はこれらの中間に位置する検査であり,調べたいものすべての試験をするのが不可能であるか,または時間的・経済的な理由で困難であるときに,調べたいもののうちいくつかを抜き取って試験を行い,全体の合否を判定する検査である.したがって,抜取検査では判断を誤る場合がある.次の例を考えてみよう.
 「不適合品(=要求された性能に適合しないもの)の割合(これを不適合品率という)が3%以下なら買ってもいい.しかしそれ以上不適合品が含まれていてはダメだ.」
 今,この製品が10000個あり,その中に不適合品が250個あったとしよう.不適合品率は2.5%である.この製品群が全数検査に提出されたとき,この製品群は必ず合格となる.全部の試験をすれば,不適合品率が2.5%であるとわかるからである.ところで,もし問題の性能を調べる方法が破壊試験しかない(製品を壊してみないと性能がわからない)としたら?全数検査をしてしまったら製品はすべて壊れてしまう.このようなとき,抜取検査を行うことができる.
 例えば製品10000個のうち100個を抜き取って試験する抜取検査を行うことにしたとしよう.「不適合品率3%までならいいので,不適合品が100個中3個までなら合格,4個以上なら不合格としよう.」本当にそれでいいのだろうか?この抜取検査に不適合品率2.5%の品質の良い製品群が提出された場合,およそ4回に1回は不合格と判定されてしまうだろう.なぜなら,10000個から100個を抜き取るときに,必ずしも不適合品を2.5%(=2個か3個)抜き取れるわけではないからである.製品10000個中に不適合品は250個あるのだから,100個抜き取ったときに4個選んでしまうかもしれないのだ.このとき,検査結果は「不合格」である.もし,100回に95回はこの検査に合格するためには,不適合品率は1.3%以下でなければならない.この製品の生産者は怒り心頭である.
 一方,もし10000個中に500個の不適合品がある品質の良くない製品群(不適合品率5%)が,この抜取検査に提出された場合,およそ4回に1回は合格と判定されてしまうだろう.製品10000個中に適合品は9500個あるのだから,100個抜き取ったときに97個選んでしまうかもしれないのだ.このとき,検査結果は「合格」である.合格する割合が100回に5回以下になるのは,不適合品率が7.5%以上のときである.この製品の購入者(消費者)は怒り心頭である.
 このように,抜取検査では「ある一点以下なら必ず合格し,それ以上では必ず不合格となる」検査を行うことはできず,判定を誤る場合がある.では,JIS Z 9015-1の抜取検査が,この問題をどう扱っているのかは次節で述べよう.

2. JIS Z 9015-1による抜取検査の考え方

 この抜取検査方式は,ほぼ同一の品質と考えられる製品群が連続して次々と検査に提出される状況で効果を発揮する.この抜取検査では,最初に合格品質水準(AQL)を決定する.AQLは,もしこの品質の製品群が検査に提出された場合には高い確率で合格としたい,と考える品質レベルである.したがって,不適合品率がAQLと等しい製品群はほとんど合格となるような抜取検査が設計される.当然,AQLよりも多少不適合品率が大きい製品群も,大部分が合格と判定される.これが許されるのは,「生産者がAQLと等しい不適合品率の製品を製造しているだろう」という見なしがあるからである(少なくとも過去の製品群の不適合品率はAQLと等しかったという事実に基づいて,であるが).もし,不適合品率がAQLより多少悪いかもしれない検査結果が出たとしても,それは抜き取ったときのばらつきによるものだと考えるわけである.しかし,もしも連続して検査に不合格になるなど,「製品群の不適合品率がAQLと同じ」という見なしに疑いが生じた場合はこの限りではない.このときには,通常よりも「厳しい」検査(「きつい検査」という)が適用され,「確かに製品群の不適合品率はAQLと同じである」と確認されるまでは,「通常の」検査(「なみ検査」という)に戻ることができない.きつい検査が適用されている間は,もし,不適合品率がAQLより悪いかもしれない検査結果が出たのならば「やっぱり不適合品率はAQLより悪いのだ」と考えるのである.このように,通常の検査と厳しい検査を行き来することで,生産者・購入者双方を保護するのである.以上のことを簡単にまとめたものを図B.1に示す.(なお,きつい検査からいつまでも抜け出せない状態(不適合品率がAQLより大きいと考えられる状態)が続くと,「検査をする価値すらない」(購入してもいいかどうか検討する段階でさえない,お話にならない)とされ,抜取検査手順を停止することになる.)


図B.1 JIS Z 9015-1による抜取検査の特徴

 一方で,もし製品群の不適合品率がAQLよりかなり良い場合,検査を簡略化することが許されている.この検査を「ゆるい検査」という.ゆるい検査の目的は,不適合品が多数含まれる製品群を排除することではなく,提出される製品群の不適合品率が,良い状態が続いているか確認することである.なみ検査の結果により,「スコア」(得点)を加算して行き,スコアが一定以上になったときゆるい検査に移行できる.
 使用する検査方式とそれを切り換えるルールを図B.2に示す.このように,提出される製品群の品質に応じて検査方式を切り換えて使用し,生産者・購入者双方の要求を満足させることが,JIS Z 9015-1の抜取検査手順の特徴である.


図B.2 JIS Z 9015-1による抜取検査の検査方式およびその切り換えルール

3. 本調査で用いた抜取検査

 これまで,「製品」,「生産者」・「購入者」などの用語を使ってきた.本調査で考えるのは,TSにおける成長合成の適用数値であるから,これ以降は,「製品=成長合成の適用数値」,「生産者=成長合成というサービスを提供しているネイト」,「購入者=ネイトから成長合成というサービスを購入するユーザー」などと考えればよいだろう.「不適合品」は「満足できない適用数値(のついたスロット)」などと捕らえればよい.つまり,抜取検査の手順を使って,成長合成の適用数値が満足できないものである割合が,定められたものより大きくないかどうかを検査するのである.
 本調査では,検査するデータ抜き取る方法として,抜き取りを多数回にわたって行う「多回抜取方式」を採用している.この方式は,1回で検査する全データを抜き取る方式と比べて,抜き取るデータの数を少なくできる特徴がある.今回用いた抜取検査では,3スロットの成長合成を行う度に合否判定を行い,合否が判定できない場合にはさらに3スロットの成長合成を行う,という方法である.合否判定は,「累計不適合品数≦合格判定個数→合格」,「累計不適合品数≧不合格判定個数→不合格」である.表B.1になみ検査の場合の抜取検査実施の一例を示す(合否判定個数などは本文表2.1,2.2参照).この例では,抜き取り回数4回(12スロット)で合格と判定されている.よって5回目の抜き取り(成長合成)は行わない.

表B.1 抜取検査実施の一例(なみ検査の場合)
サンプル
番号
サンプル数 累計
サンプル
適用数値 不適合
品数
累計
不適合
品数
合格
判定
個数
不合格
判定
個数
合否判定
第1 3 3 45,42,31 1 1 # 3 できない
(検査続行)
第2 3 6 34,52,41 0 1 0 3 できない
(検査続行)
第3 3 9 38,36,30 1 2 1 4 できない
(検査続行)
第4 3 12 47,33,37 0 2 2 5 合格
第5 - - - - - 4 5

 なお,ゆるい検査へと移行できるか判断する「切替スコア」は,多回抜取方式の場合,次のように計算する.
  • 検査を開始した直後の切替スコアは0である.
  • なみ検査において,抜き取り回数が3回(第3サンプル)までで「合格」と判定された場合,切替スコアに3を加える.
  • 「不合格」と判定されたとき,または抜き取り回数が4回以上になったとき,切替スコアを0に戻す.
 つまり,第3サンプルまでで連続10回以上合格できたとき,切替スコアが30点となる.不適合品率が10%では,切替スコアが30点を超えることはほとんどない.ゆるい検査に移行できるのは,不適合品率がより低いときである.
 図B.3にこの抜取検査の検査特性曲線を示す.検査特性曲線とは,実際にある不適合品率の製品が検査に提出されたとき,合格となる確率を表した曲線である.なみ検査では,不適合品率p=10%の場合,95%以上の確率で合格となる.p=20%でも75%,p=30%でも40%の確率で合格となり得る.しかし,p=20%であるならばなみ検査10回程度以内に,p=30%なら3回程度以内に2回の不合格が発生し,きつい検査へ移行する可能性が高い.一旦きつい検査へ移行したのならば,2回の不合格が発生する前に連続5回合格とならなければなみ検査に復帰できない.これは厳しい条件である.例えば,p=20%のとき,なみ検査に復帰できる確率はわずか10%に満たない.

図B.3 抜取検査の検査特性曲線


付録C 成長合成適用数値の表現方法

1. 用語の定義

①ステータス上昇量基準適用数値(ST基準適用数値)
  適用数値上限(又は下限)=ST基準適用数値上限(又は下限)
    ×当該ステータスがステータスレベル1につき上昇する平均量 ……式(1)
                           (計算結果は小数点以下切捨て)
 式(1)により定義される値がST基準適用数値である.なお,各ステータスのステータスレベル1につき上昇する平均量は表C.1に示す.

表C.1 各ステータスのステータスレベル1につき上昇する平均量
ステータスの名称 ステータスレベル1につき
上昇する平均量
所持力 80
最大HP,最大MP 30
攻撃力,魔法防御,防御力 4
命中率,魔力,感知力,幸運,回避力 1/4
敏しょう性 -1/12


②成長合成適用度
  適用数値={(ST基準適用数値上限-ST基準適用数値下限)
    ×成長合成適用度÷100+ST基準適用数値下限}
    ×当該ステータスがステータスレベル1につき上昇する平均量 ……式(2)
      ただし,成長合成適用度:0~100の整数   (計算結果は小数点以下切捨て)
 式(2)により定義される値が成長合成適用度である.

2. 適用数値計算式の精度

 式(2)は,各種の成長合成を行う中で,とあるパターンから推測して作成したものである.「とあるパターン」とは,適用数値範囲の広い成長合成を行ったとき,適用数値が飛び飛びの整数値を取り,すべての整数値を取りそうにない,というパターンである

 この式を作成した根拠となるデータは次の通りである.「赤の数珠球」(最大HP合成,適用数値範囲408-1128,ST基準適用数値範囲13.6-37.6)の成長合成結果81スロットでは,式(2)の計算結果で示される適用数値と完全に一致した.

 もし,成長合成によって適用数値範囲すべての整数値を取り得るとすると,赤の数珠球では721(=1128-408+1)種の数値を取ることになる.一方,式(2)では101種の数値しかとらない. もし,すべての整数値を取り得ると仮定したときに,1回の成長合成結果が101種の整数値となる確率はp=101/721である.
 これが81回連続で発生する確率はp^81≒10^-69,すなわち1億分の1の1億分の1の1億分の1の1億分の1の1億分の1よりも小さい.すべての整数値は到底取り得ないことはわかるだろう.

 しかし,この式には若干の精度の問題がある.「べっこう」(最大HP合成,適用数値範囲324-864,ST基準適用数値範囲10.8-28.8)の成長合成結果12スロットのうち,5スロットで式(2)の計算結果より1小さい適用数値となることを確認している.

3. 導入した概念を利用するメリット

 ST基準適用数値という概念の導入により,各ステータスの成長合成材料でばらばらの適用数値の範囲を統一的に表現できる.

 例えば,制限レベル20の合成石は,ST基準適用数値下限=4.6,ST基準適用数値上限=13.00であり,式(1)により12種のステータスの合成石の適用数値範囲を計算できる.つまりST基準適用数値一つで,(それぞれ値が異なる)すべてのステータスの適用数値範囲を同列に扱うことができる.

 ST基準適用数値は,現在のところ,旧成長合成品のすべてと制限レベル110以下の合成石では,所持/80または最大HP・最大MP/30の計算により誤差なく算出可能であることがわかっている.

 また,成長合成適用度という概念を用いて,適用数値を式(2)によって計算されるものと考えると,あらゆる成長合成適用数値を,あたかも0~100の「スコア」(得点)として統一的に捉えることができる.また,成長合成適用度を用いれば,適用数値範囲が同じである異なる成長合成材料を用いたときの,結果の出方の差をうまく認識することができる.

 例えば,制限レベル70と90の敏しょう性の成長合成品(ミンゴのゴム耳,ダチョウの羽)の適用数値範囲は,どちらも-2~-4である.しかし,適用数値が-2,-3,-4となる成長合成適用度を計算すると,実は差がある(表C.2参照).表示されている適用数値範囲は同じであっても,まさに「別物」といっていいほどの差があることがわかる.(最も,これは式(2)が正しかった場合の話ではあるが….)

表C.2 適用数値範囲が同数値である材料の成長合成適用度による比較
成長合成材料 適用数値* 適用数値
範囲
-2 -3 -4
ミンゴのゴム耳 0-43 44-93 94-100 -2 ~ -4
ダチョウの羽 0-26 27-66 67-100 -2 ~ -4
 *表中の数値はその適用数値となる成長合成適用度の範囲を表す



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