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菅谷の日記」(2009/07/03 (金) 22:00:27) の最新版変更点

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2009/07/02 完結。 **菅谷の日記1/5 帰りたい・・・ おれは今、美術館にいる。なんか美術で書いた絵が どっかのお偉いさんの賞をとったみたいでそれの表彰式と展示会に来たわけだ。 わが校史上初の快挙!なんて教師や親たちは喜んでいる。 ついてきた担任の藤元はいつものジャージ姿が見慣れてるせいかスーツが違和感アリアリですごくダサい・・・ さらに母ちゃんも今日のために服を買ってお化粧もバンバンだ。 自分たちはなにもしてないというのに。 そもそもおれは絵を描くのはスキだが、こんな賞なんていらない。 どうせ「インキンの癖に生意気だ!」とか言っていじめられる。 どうせ「賞金よこせ!」と言ってタカられる。 ・・・とにかくあまり目立ちたくないんだ。 早く終わって、ここの近くで評判のラーメン屋で味噌ラーメンを食べて帰りたい。 それだけを考えていた。 それにしても痒い・・・ポケットに手を入れて掻こうとすると、 「菅谷、ポケットから手を出せ」 「・・・へーい」 藤元から小声で注意された。 ああ・・・早く帰りたい。 **菅谷の日記2/5 表彰を終えた後、先生と別れてやっと帰れると思ったら 「せっかくだから受賞した絵を見に行きましょ!」 と母ちゃんに引っ張られ行くことに… おれは絵を描くのは好きだが見ることにはあまり興味がない・・・ 芸術家の名前はなんとなく分かるがどんな絵を描いたかは一致しない程度だ。 そんなおれが美術館を回っても何も面白くない。 おれの絵の前に来た時、一人の女子が真剣におれの絵を見ていた。 おれの絵を見ず知らずの人が見ている・・・今までにない経験に少し恥ずかしささえ覚えた。 その女子がこちらを見ると笑顔でおれの所に近寄ってきた。 可愛い子だな。最初はそんな印象だった。 「あの絵を描いた、菅谷君ですよね?」 その子は表彰式でおれの顔を覚えていたらしい。 「は、はい・・・」 「わぁ・・・おめでとうございます。握手してもらえますか?」 満面の笑みで握手を求められた。その表情を見てものすごく体が熱くなったのを覚えている。 「・・・あの?」 「あっ・・・あぁ・・・」 どうやらボーっとしてたらしい。おれはいつものように 手をズボンでゴシゴシ拭いてから握手をした。 http://www13.atwiki.jp/wolfvlb/?cmd=upload&act=open&page=%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8&file=vlphp256006.jpg **菅谷の日記3/5 「キュート学園の鈴木といいます。わたしの絵もあるんですよ。あれです。」 おれの絵の隣を指差すと、そこには女の子らしいとても繊細な絵があった。 「わたしは菅谷君の次にすごい賞をとったんですよ」 確かに俺の絵には金の札が、その子の絵には銀の札が貼ってあった しかしその話を聞いて正直嘘だろ・・・って思った。 彼女の絵はおれのより何倍もうまい。 絵に見入っているおれに鈴木さんは話を続けた。 「受賞の話を聞いて私が1番じゃないのが悔しくて・・・私よりうまい絵って  なんなんだよー!って思って見に来たんですけど。菅谷君の絵を見て納得しました。  ホントにうまいですね」 なぜか誉められたうれしさはなく、おれは思っていたことをストレートに話し始めた。 「いや…めちゃくちゃうまいですよ…」 「えっ?」 「うまく言えないけど…すごく繊細で…ここの色使いとかすごくうまいし…」 この時何を話したのかはよく覚えてないけど たぶん自分の頭の中にある誉め言葉を全部出し切っていたような気がする。 「それにこの二人の男の人の構図も…ん?」 ふと鈴木さんの顔を見ると泣いていた。 「えっ!?ごめん…なんか悪いこと言っちゃった?」 「…そんなに誉めてもらったの初めてだから」 鈴木さんは涙を流しながら満面の笑みで答えてくれた。 それを見たおれは無意識に母さんの鞄に入ってた小さなトロフィーを取り出し鈴木さんに差し出した。 「これは…鈴木さんがもらうべきだ」 おれは自分が情けなくなっていた。 こんな賞いらないとか早く帰りたいって思っていた自分に… この賞が取れなくて悔しい思いをしていた人がいたというのに。 **菅谷の日記4/5 鈴木さんはしばらくトロフィーを見つめた後 「いいえ。いいです。来年…必ずとりますから…」 「ああ…そうですね」 納得したような少しガッカリしたような気持ちでいると 「その代わりですけど…」 「ん?」 「あの絵が返ってきたら…わたしにくれませんか?これからの目標にしたいので」 なんと鈴木さんはおれの絵が欲しいと言ってきた うしろで母ちゃんがもう玄関に飾る額縁を買ったからダメよとか ブツブツ言ってたがそんなこと気にせず 「はい、いいですよ」 とあっさりOKした。そして 「代わりにおれも鈴木さんの絵、もらっていいですか?」 鈴木さんはびっくりした顔をしていた 「いや…ただ鈴木さんの書いた絵が欲しいだけです」 多分、コレが俺の告白だったと思う それを読みとったのか鈴木さんは顔を赤くして 「ありがとうございます…こんな絵で良ければ…」 と言ってその日は携帯の番号を交換して別れた その後予定通り味噌ラーメンを食べに行ったが 鈴木さんのことで頭がいっぱいで味は全く覚えてない。 その後お互いに絵を交換し、鈴木さんからもらった絵は おれの絵を入れるはずだった額縁に入れておれの部屋に飾っている。 **菅谷の日記5/5 それから付き合ってるような状態が続いているわけだけど、 いま、ベリ高とキュー学の仲は最悪だ… 会う度に2人で「早く終わるといいね」なんて話をしていた。 おれも鈴木さんの友人の梅田たちや幼なじみの岡井と喧嘩なんてしたくない… これは熊井くんたちの問題だと敬遠していた。 しかし、あの清水の一件からおれもキュー学との抗争に加わることに決めた。 ごめん・・・鈴木さん・・・
2009/07/02 完結。 **菅谷の日記1/5 帰りたい・・・ おれは今、美術館にいる。なんか美術で書いた絵が どっかのお偉いさんの賞をとったみたいでそれの表彰式と展示会に来たわけだ。 わが校史上初の快挙!なんて教師や親たちは喜んでいる。 ついてきた担任の藤元はいつものジャージ姿が見慣れてるせいかスーツが違和感アリアリですごくダサい・・・ さらに母ちゃんも今日のために服を買ってお化粧もバンバンだ。 自分たちはなにもしてないというのに。 そもそもおれは絵を描くのはスキだが、こんな賞なんていらない。 どうせ「インキンの癖に生意気だ!」とか言っていじめられる。 どうせ「賞金よこせ!」と言ってタカられる。 ・・・とにかくあまり目立ちたくないんだ。 早く終わって、ここの近くで評判のラーメン屋で味噌ラーメンを食べて帰りたい。 それだけを考えていた。 それにしても痒い・・・ポケットに手を入れて掻こうとすると、 「菅谷、ポケットから手を出せ」 「・・・へーい」 藤元から小声で注意された。 ああ・・・早く帰りたい。 **菅谷の日記2/5 表彰を終えた後、先生と別れてやっと帰れると思ったら 「せっかくだから受賞した絵を見に行きましょ!」 と母ちゃんに引っ張られ行くことに… おれは絵を描くのは好きだが見ることにはあまり興味がない・・・ 芸術家の名前はなんとなく分かるがどんな絵を描いたかは一致しない程度だ。 そんなおれが美術館を回っても何も面白くない。 おれの絵の前に来た時、一人の女子が真剣におれの絵を見ていた。 おれの絵を見ず知らずの人が見ている・・・今までにない経験に少し恥ずかしささえ覚えた。 その女子がこちらを見ると笑顔でおれの所に近寄ってきた。 可愛い子だな。最初はそんな印象だった。 「あの絵を描いた、菅谷君ですよね?」 その子は表彰式でおれの顔を覚えていたらしい。 「は、はい・・・」 「わぁ・・・おめでとうございます。握手してもらえますか?」 満面の笑みで握手を求められた。その表情を見てものすごく体が熱くなったのを覚えている。 「・・・あの?」 「あっ・・・あぁ・・・」 どうやらボーっとしてたらしい。おれはいつものように 手をズボンでゴシゴシ拭いてから握手をした。 #ref(http://www13.atwiki.jp/wolfvlb/?cmd=upload&act=open&page=%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8&file=vlphp256006.jpg) **菅谷の日記3/5 「キュート学園の鈴木といいます。わたしの絵もあるんですよ。あれです。」 おれの絵の隣を指差すと、そこには女の子らしいとても繊細な絵があった。 「わたしは菅谷君の次にすごい賞をとったんですよ」 確かに俺の絵には金の札が、その子の絵には銀の札が貼ってあった しかしその話を聞いて正直嘘だろ・・・って思った。 彼女の絵はおれのより何倍もうまい。 絵に見入っているおれに鈴木さんは話を続けた。 「受賞の話を聞いて私が1番じゃないのが悔しくて・・・私よりうまい絵って  なんなんだよー!って思って見に来たんですけど。菅谷君の絵を見て納得しました。  ホントにうまいですね」 なぜか誉められたうれしさはなく、おれは思っていたことをストレートに話し始めた。 「いや…めちゃくちゃうまいですよ…」 「えっ?」 「うまく言えないけど…すごく繊細で…ここの色使いとかすごくうまいし…」 この時何を話したのかはよく覚えてないけど たぶん自分の頭の中にある誉め言葉を全部出し切っていたような気がする。 「それにこの二人の男の人の構図も…ん?」 ふと鈴木さんの顔を見ると泣いていた。 「えっ!?ごめん…なんか悪いこと言っちゃった?」 「…そんなに誉めてもらったの初めてだから」 鈴木さんは涙を流しながら満面の笑みで答えてくれた。 それを見たおれは無意識に母さんの鞄に入ってた小さなトロフィーを取り出し鈴木さんに差し出した。 「これは…鈴木さんがもらうべきだ」 おれは自分が情けなくなっていた。 こんな賞いらないとか早く帰りたいって思っていた自分に… この賞が取れなくて悔しい思いをしていた人がいたというのに。 **菅谷の日記4/5 鈴木さんはしばらくトロフィーを見つめた後 「いいえ。いいです。来年…必ずとりますから…」 「ああ…そうですね」 納得したような少しガッカリしたような気持ちでいると 「その代わりですけど…」 「ん?」 「あの絵が返ってきたら…わたしにくれませんか?これからの目標にしたいので」 なんと鈴木さんはおれの絵が欲しいと言ってきた うしろで母ちゃんがもう玄関に飾る額縁を買ったからダメよとか ブツブツ言ってたがそんなこと気にせず 「はい、いいですよ」 とあっさりOKした。そして 「代わりにおれも鈴木さんの絵、もらっていいですか?」 鈴木さんはびっくりした顔をしていた 「いや…ただ鈴木さんの書いた絵が欲しいだけです」 多分、コレが俺の告白だったと思う それを読みとったのか鈴木さんは顔を赤くして 「ありがとうございます…こんな絵で良ければ…」 と言ってその日は携帯の番号を交換して別れた その後予定通り味噌ラーメンを食べに行ったが 鈴木さんのことで頭がいっぱいで味は全く覚えてない。 その後お互いに絵を交換し、鈴木さんからもらった絵は おれの絵を入れるはずだった額縁に入れておれの部屋に飾っている。 **菅谷の日記5/5 それから付き合ってるような状態が続いているわけだけど、 いま、ベリ高とキュー学の仲は最悪だ… 会う度に2人で「早く終わるといいね」なんて話をしていた。 おれも鈴木さんの友人の梅田たちや幼なじみの岡井と喧嘩なんてしたくない… これは熊井くんたちの問題だと敬遠していた。 しかし、あの清水の一件からおれもキュー学との抗争に加わることに決めた。 ごめん・・・鈴木さん・・・

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