大東亜共栄圏

thumb|300px|大東亜会議に参加した各国首脳。左から[[バー・モウ張景恵汪兆銘東條英機ワンワイタヤーコーンホセ・ラウレルスバス・チャンドラ・ボース]]

大東亜共栄圏(だいとうあきょうえいけん)とは、欧米諸国(特にイギリスアメリカ合衆国)の植民地支配から東アジア東南アジアを解放し、東アジア・東南アジアに日本を盟主とする共存共栄の新たな国際秩序を建設しようという、大東亜戦争太平洋戦争)に於いて日本が掲げた大義名分である。

概要

「大東亜が日本の生存圏」

日本・満洲国中華民国を一つの経済共同体とし、東南アジアを資源の供給地域に、南太平洋を国防圏として位置付けるものと考えられており、「大東亜が日本の生存圏」であると宣伝された。但し、「大東亜」の範囲、「共栄」の字義など当初必ずしも明確化されてはいなかった。

用語としては岩畔豪雄堀場一雄が作ったものともいわれ、昭和15年(1940年)7月に近衞文麿内閣が決定した「基本国策要綱」に対する松岡洋右外務大臣の談話に使われてから流行語化した。公式文書としては昭和16年(1941年)1月31日の「対仏印・泰施策要綱」が初出とされる。但し、この語に先んじて昭和13年(1938年)には「東亜新秩序」の語が近衞文麿によって用いられている。

大東亜共同宣言

昭和16年(1941年)に日本がイギリスアメリカ合衆国宣戦布告をして大東亜戦争が起こり、アジアに本格的に進出すると、日本は大東亜共栄圏を対外的な目標に掲げることになった。昭和18年(1943年)には日本が占領地域で欧米列強の植民地支配から「独立」させた大東亜共栄圏内各国首脳が東京に集まって大東亜会議を開催し、大東亜共同宣言が採択された。

大東亜共栄圏の実態と評価

大東亜共栄圏の目的は、アジアの欧米列強植民地をその支配から解放、独立させ、現在の欧州連合のような対等な国家連合を実現させることであったとも理解できる。

一方で日本軍占領下で独立を果たした国々(フィリピン共和国ベトナム帝国ラオス王国ビルマ国カンボジア王国満州国)の政府と汪兆銘政権中華民国)は、いずれも日本政府や日本軍の指導の下に置かれた傀儡政権であった。このため、ソ連に対する東欧諸国のような、事実上の植民地衛星国)化、あるいはナチス・ドイツが戦争の目的とした生存圏獲得のような、日本のための収奪的経済ブロックの確立を目指したものであるという見方もある。実際、大東亜会議の晩餐会会場に掲げられた地図には、参加した「国」は全く示されておらず、単色に塗り潰された日本軍の占領地域と日の丸だけが描かれていた。また、日本政府での大東亜共栄圏諸国の管轄は外務省ではなく、イギリスの植民省をモデルに新設された大東亜省であった。

特にフィリピンとビルマには既に民選による自治政府が存在しており、日本軍の占領下に置かれたことで実質的な独立からはむしろ遠ざかったという見方もある。日本軍占領下にあっては選挙等の民主的手続きは一切行われず、政府首脳には日本側が選任した人物が就任していた。また、昭和18年(1943年)5月31日に決定された「」ではイギリス領マラヤオランダ領東インド(蘭印)は日本領に編入することとなっていた(但し、インドネシア(占領後、蘭印からインドネシアへ名称を変更)については、戦争末期にジャワ島のみ独立を認める方針に転じた)。日本の同盟国であったヴィシー・フランスの植民地インドシナ連邦(仏印)では、日本軍占領下(仏印進駐)に於ける植民地支配をフランス本国でヴィシー政権が崩壊したのちの昭和20年(1945年)3月9日まで承認していた。

日本軍は占領地域に対して、実質的な独立を与えぬまま敗北し撤退した。また、日本占領下に於いて日本語による皇民化教育や皇居遙拝の強要、人物両面の資源の収奪などが行われたことから、日本もかつての宗主国と同じ侵掠者に過ぎなかったという見方がある。一方で日本軍が宗主国勢力を排し、現地人からなる軍事力を創設したことが独立に繋がったという評価や、日本軍占領下で様々な施政の改善(愚民化教育を廃して学校教育を拡充、現地語の公用語化、在来民族の高官登用、華人やインド人等の外来諸民族の権利の剥奪制限など)が行われたため旧宗主国に比べれば日本はよりましな統治者であったという見方もありその功罪に関しては今なお議論が続いている。

終末

日本の敗戦と大東亜共栄圏は崩壊し、旧宗主国が植民地支配の再開を図った。

戦後、日本政府が強い主導権を発揮して政治的にアジア諸国を纏めようとすると内外から「大東亜共栄圏の復活」と揶揄されることも多く、ODAを多用した「ばらまき外交」に徹するトラウマになったとの指摘もある。

関連項目

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年10月4日 (土) 11:20。










    

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最終更新:2008年10月15日 23:55
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