米騒動(こめそうどう)とは米の流通量の減少や価格高騰によって民衆が米を入手しづらくなることが要因となって起こる、騒ぎなどのことである。
米を主食として食す国の場合、米の価格高騰、国内流通量の減少は治安悪化や国家の運営を揺るがす事態に直結する問題となる。そのため国家元首は米の価格、流通に対し神経質になるという<ref name="syokuryosoudatsu">『食料争奪』 柴田明夫 日本経済新聞出版社 2007年。
また、消費者側の状況を見ると特に貧困層はエンゲル係数が高く、食料費の高騰の影響を受けやすい『アジアで食料価格高騰、貧困層に大打撃』 2008年2月12日付配信 AFP。
米は三大穀物とも呼ばれ大量に生産されているが、生産量に比べ国際間の取引流通量は少ない。これは主に生産国内でまず主食として消費されるため、国外に出回りづらいためである<ref name="syokuryosoudatsu"/>。そのため主要輸出国で少し生産量が減少した場合、主要国国内での流通量はそれほど変動しないとしても輸出量は大幅に変動することになる。また輸出上位国の輸出量が市場流通量に占める割合が高いため、一国に何かあった場合は波及が大きい<ref name="syokuryosoudatsu"/>。
米の受給が逼迫する中で、米の増産はすぐには難しいという。以下、要因を挙げる。
国際的な米の価格は上昇し、各国は対応に苦労している。2007年3月から2008年3月にかけて米価指標は50%以上上昇した<ref name="20080411fujisankei">『「コメ騒動」拡大中 1年で70%の価格高騰』 2008年4月11日付配信 フジサンケイビジネスアイ。米価上昇の背景には原油価格上昇に伴うコスト増(肥料、輸送費、穀物乾燥に使用する燃料など)、主要生産国での天災等による不作<ref name="20080410afp">『コメ価格高騰、タイの平和な農村でコメ泥棒多発』 2008年4月10日付配信 AFP、米価上昇に伴い利潤優先で米が国外流出し国内流通が不足することを恐れたインドなど輸出国の米の輸出制限<ref name="20080410afp"/>による国際流通量が減少していることなどがある<ref name="20080411fujisankei"/>。また、価格上昇は今後も続くと見た投機資金の流入も起きている<ref name="20080411fujisankei"/>。
米の価格高騰の影響を一番受けるのは、低所得層である<ref name="20080514nikkeibo"/>。各国では「米を買うために長い行列ができる」(フィリピン)<ref name="20080411fujisankei"/>、「今まで無かった米泥棒が多発」(タイ)<ref name="20080410afp"/>、「米の代わりにイモを食べるよう、軍が指導」(バングラデシュ)<ref name="20080410afp"/>といった状況にある。
米騒動の発生契機としては凶作による米不足や米価格の暴騰が直接的な要因になる事が多い。単純な「米価格の暴騰に伴う民衆暴動」という定義の騒動は江戸時代の享保の大飢饉の頃から幾度となく発生しており、明治維新以降で全国規模にまで発展した米騒動は1890年、1897年、1918年の3度を数える。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年12月10日 (水) 19:40。