レンコン

観光方面における展開

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レンコンの観光方面における展開


イメージに根を伸ばすハスの花

 東国人の間では一般的に食品として認識されているレンコンではあるが、実はそれ以外の民族の文化において、食用にされている地域がそれほど多いという訳ではない。植物種としてのレンコン、つまりハスは、むしろその花の美しさこそが、古代より広く各地の文化の中にイメージとして浸透している。泥の中から立ち上がり、水面にその美しい花を映すハスは、汚れを寄せ付けない清廉さや、南国の楽園の象徴として、またたくさんの種からは豊かさの象徴として、長く信仰の対象ともされてきた植物である。そのイメージは、穴が空いた見た目から「先を見通す」として縁起の良い食べ物とされたり、ロータス効果と呼ばれる葉の自浄構造の科学的研究が進められるなどというように、人々の生活の色々な側面に深く浸透しているという特徴にも現れていると言えるだろう。

将来への課題

 演習場での「発見」のドラマ、農業博覧会やタケモンでの宣伝など、農産物としては比較的華々しくその名前を語られる満天星国のレンコンではあるが、この作物の商品化推進には、満天星国という新しく誕生した気候風土に適応するための栽培方法の研究と共に、もう一つの問題が存在していた。それは、帝國の農産業共通の問題、作物の生産過剰による価格低迷という大きな課題である。この問題に対抗するため、農産物が十把一からげに同じ種類の作物として扱われるのではなく、その品質の高さや特徴別に、いわゆるブランドとして個別の名前を認識させようという動きは、農業博覧会などを通して徐々にニューワールドに広まりつつあった。

新しい藩国の牽引役として

 このようなブランド化対策として、ただのレンコンなのではなく、「満天星国のレンコン」として認識されるための動きが求められた。これに対して満天星国では、観光方面での勢いに乗って、さらに藩国の事情に則した対応策が取られることとなった。合併によって藩国内に複数の民族文化が存在することを、逆に利用し、レンコンを食用農産物としてだけでなく、観光向けのイメージ優先商品としても様々なバリエーションを開拓するという試みが行われたのだ。

広がるレンコンのバリエーション

 長く厳しい冬を耐える北国人の文化では、常夏の南国とは正に楽園そのものである。このようなイメージの具象化として、温泉テーマパーク「モリスパ!」周辺の温泉や地熱を利用した観光温室での、ハスの花の観賞を目的としたレンコン栽培が実現した。これは既存観光施設の梃入れと共に、食用レンコンの品質向上研究の促進にも効果があるものと期待され、さらには観賞用に新しい色や形を持った美しい花の改良品種や、手軽に室内で栽培できるよう小型化した観葉植物などへと発展を見せている。また新しいお土産もの向け商品としても、レンコンから取れるでん粉を使った和菓子、絹よりも柔らかいと言われる稀少な繊維を利用した織物など、他では見られないような商品の開発が続けられているところである。それは藩国合併とそれに続く民族対立という混乱を乗り越え、未来へと続く新しい花を育てようとする試みでもあるのかもしれない。


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