不信任案、茶番劇で否決へ 示さぬ首相退陣時期 鳩山氏も「理解した」
産経新聞 6月2日(木)14時0分配信
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衆院本会議で内閣不信任決議案の旨趣弁明をする大島理森・自民党副総裁の言葉を聞く菅直人首相=2日午後、国会・衆院本会議場(宮川浩和撮影)(写真:産経新聞)
「一定のメドがついた段階で、若い世代に引き継ぎたい」。2日午後、国会内で開かれた民主党の代議士会。野党3党から内閣不信任決議案を突きつけられ、剣が峰に立った菅直人首相は、東日本大震災への対応を見極めて首相を退陣する意向を示し、ついに“白旗”を上げた。
不信任案への賛成を表明していた鳩山由紀夫前首相も「重大な決意をされた」と評価し、党が一致結束して否決するよう呼び掛けた。しかし、国難の中で繰り広げられた党内対立に、「コップの中の茶番劇」という色彩がより鮮明に表れた。
民主党代議士会は午後0時過ぎから開かれ、菅首相は壇上で静かに着席。少し目を潤ませつつ、両手はじっと拳を握っていた。
安住淳国対委員長らのあいさつに続き、一礼してマイクの前へ。冒頭切り出したのは、ふがいない自らの政権運営に対する「反省」だった。
「大震災の中、野党から不信任案が提出されることとなった。私に不十分なところがあったことが、不信任案につながったと受け止めている。ご迷惑をおかけすることをおわびしたい」
半面、懸命さもアピールする。「私の指導力や考え方について、不十分なことが多々ある。しかし、同時に、すべての政治家や公務員が全力を挙げて取り組んでいることについては、確認できるのではないか」
首相はその上で、3つの目標を掲げた。被災地の復旧復興に向けた最大限の努力、民主党の分裂回避、自民党への政権交代阻止-。「地位にしがみついているのではという批判もいただいているが、首相としての責任をどこまで果たしていけるかを考えて行動してきた」とした上で、一つの決意を語り始めた。
「大震災への取り組みに一定のめどがついた段階、一定の役割を果たした段階で、若い世代に責任を引き継いでほしいと考えている。その責任を、みなさまとともに果たさせてほしい」
自らの退陣と引き換えに求めた不信任案の否決。大量造反が見込まれる中、たった一つ残された党分裂の回避策だったが、自ら明確な退陣時期は示さず、なおも無責任な印象を残した。
“茶番劇”はなおも続く。約15分の演説後、最初に発言を求めたのは鳩山前首相だった。ちょうど1年前、両院議員総会で首相退陣を表明していた。
代議士会の開催直前、首相と会談し、「東日本大震災復興基本法案を成立させ、第2次補正予算案編成のめどをつけたあかつきに、身を捨てて国難を救っていただきたいと申し上げた」と披瀝(ひれき)。「(首相は)重大な決意をされたと理解している」と述べ、党内が結束して不信任案否決に向けて行動するよう呼び掛けた。
大山鳴動のお家騒動。混乱続きの政権与党に対し、野党側には、改めて失望や批判の声が広がった。
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最終更新:6月2日(木)14時11分