動物園会見(1)「シンシン、子供を気にしていたようだ」
2012.7.11 16:52 (1/3ページ)[動物園・水族館]
上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」の赤ちゃんが死亡し、土居利光・上野動物園園長らが東京都庁で会見=11日午後、東京都庁(小野淳一撮影)
赤ちゃんパンダが死んだことを受けて11日午後2時半から都庁で行われた上野動物園の会見の詳報は次のとおり。
土居利光園長 「10日午後3時30分に、状況がよかったため、(保育器から赤ちゃんを出して)親子を一緒にした。その後、順調で観察を続け、今朝(11日)の午前6時45分には赤ちゃんの鳴き声も確認した。午前7時30分に子供がぐったりしているのを発見した。職員が預かってみたところ、心肺停止の状態だった。心臓マッサージなどを行ったが午前8時30分、死亡が確認された」
「午前10時半から午後12時前までかけて解剖したところ、結果として、死因は呼吸器系に乳が入って、呼吸不全での肺炎と判明した。非常に残念だと思っている」
--赤ちゃんが死んだことについての思いは
福田豊副園長 「ただただ残念のひとこと。昨日(10日)の夕方には母子ともに良好な状態で、赤ちゃんを母親に預けられる状態だった。11日の午前6時45分にも声が聞こえており、一晩無事に過ごせたと思ったが、そのあとの出来事とあって、ただただ残念」
--子供がお腹の上で仰向けになっていたときのシンシンの様子は
福田副園長 「赤ちゃんが動かなくなったときには、シンシンは座っていたようだ」
【赤ちゃんパンダ死ぬ】動物園会見(1)「シンシン、子供を気にしていたようだ」+(2/3ページ) - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071116550015-n2.htm
動物園会見(1)「シンシン、子供を気にしていたようだ」
2012.7.11 16:52 (2/3ページ)[動物園・水族館]
上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」の赤ちゃんが死亡し、土居利光・上野動物園園長らが東京都庁で会見=11日午後、東京都庁(小野淳一撮影)
--子供の状態に気づいている様子は
福田副園長 「普段、シンシンは右側の脇の下に子供を抱えて授乳していた。そのときは、子供が脇に入り込んでいて見えないが、子供がお腹に出て仰向けになっているのに職員が気づいた。シンシンの反応は分からない」
--乳を呼吸器に詰まらせたということだが、そういう事例は一般的か
福田副園長 「多いかどうかは分からないが、パンダの赤ちゃんは小さく産まれ、特に初産の場合はうまく育たなくて、早期に死ぬことが結構ある」
--午前6時45分に鳴き声が確認されてから、午前7時30分に見つかるまでの間は。抱えていた赤ちゃんがどのように出てきたのか詳しい経過は
福田副園長 「午前6時45分には子供の声が聞こえていた。子供が生きていることが確認されているが、子供を右脇に抱えていて、子供の様子は見えない。分かるのは声がするとか、シンシンが動いた時に見えるときでないと分からず、しばらくは子供の姿は確認できていなかった。午前7時半にお腹に出て、仰向けになっていた」
--抱えている時は隠れているが、午前7時30分にどのように出てきたのか、状況は
福田副園長 「脇の下からお腹まで落ちたのかどうか、確認はできていない。吸い付き具合が悪くなって移動したこともあったかと思うが、そのときにシンシンが抱え込む動作もあったかもしれないが」
--乳が詰まったのは、たくさん飲ませ過ぎたからという可能性は
福田副園長 「それはあまりない」
【赤ちゃんパンダ死ぬ】動物園会見(1)「シンシン、子供を気にしていたようだ」+(3/3ページ) - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071116550015-n3.htm
動物園会見(1)「シンシン、子供を気にしていたようだ」
2012.7.11 16:52 (3/3ページ)[動物園・水族館]
上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」の赤ちゃんが死亡し、土居利光・上野動物園園長らが東京都庁で会見=11日午後、東京都庁(小野淳一撮影)
--お腹のどのあたりに仰向けになっていたのか。シンシンはそのときどうだったのか
福田副園長 「お腹というより、胸のすぐ下付近と考えてもらった方がいい。シンシンの表情は分からないが、おそらく子供を気にしていたと思われる」
--心臓マッサージなどの処置をしたということだが、誰が行ったか
福田副園長 「24時間体制で、飼育職員と獣医さんにみてもらっており、当番の獣医師が心臓マッサージなどを行った」
--どんな風に
原樹子動物病院係長 「人の蘇生と一緒で気道を伸ばして、心臓を押さえる。停止した直後なら復活することが多いが、間に合わなかった」
--モニターで観察されていたわけだが、鳴き声が聞こえてから、仰向けになるまでの間は
福田副園長 「モニターを見てはいるが、転がってくるとか、その瞬間は分からない。午前6時45分に声がしていて、胸にいることも分かっていたが、子供を懐深くに抱えているので、姿は確認できない。その後、胸の下に子供がいるのを確認した。片時も離さずにモニターを見ているわけではなく、ほかの仕事もしながら見ている。たまたま目を離したとか、トイレに行くとかもあり、その瞬間は見ていない」
--パンダの赤ちゃんは小さく産まれて初産は早く死ぬ場合があるということだが
福田副園長 「正確な統計はないが、初産の場合は1週間で6~7割、死んでしまうことがある」
【赤ちゃんパンダ死ぬ】動物園会見(2)「献花台設ける…非常に残念…」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071117000017-n1.htm
動物園会見(2)「献花台設ける…非常に残念…」
2012.7.11 16:56 (1/2ページ)[動物園・水族館]
哺乳瓶から母乳を飲むジャイアントパンダ、シンシンの赤ちゃん(東京動物園協会提供)
--生まれてすぐ死ぬ確率が高いということだが、繁殖の難しさをどう感じたか
福田副園長 「本当に残念な気持ちの一方、繁殖の難しい動物だということをつくづく感じた。いくつものハードルがあった。交尾に成功しても、妊娠しているかどうかは分かりにくく、出産にこぎ着けても、ひやひや過ごすという状況だった。シンシンの方が育児疲れになり、子供を取り上げたが、母親に戻すこともでき、ひとつ峠は越えたかな、というところだった。死んでしまったことは非常に残念で仕方がない」
--今後、動物園の対応として決まっていることは
土居園長 「お客さんにも知ってもらうためにお知らせを出す。なるべく早く献花台も設けたい」
--過去には死んだ赤ちゃんに名前をつけたケースがあるが、名前はつけるか。また、最後の体重などは
福田副園長 「つけるかどうかも何も、今日の出来事なので考えていない。体重は125グラム、身長は15センチだと思う」
--母親の今後の展示の予定は
福田副園長 「それについてもまだ、特に決まっているわけではなく、考えていない。いずれは展示はするが、まだ予定はない」
--シンシンから離したとき、乳を吸う力が弱いなどの傾向は
福田副園長 「赤ちゃんの吸う力が弱いということはあったが、母親に戻す時は回復していた。昨日(10日)も母親に戻してチェックしたが、そのときにも勢いよく鳴いていたので、健康上問題があることはなかった」
--赤ちゃんを取り上げて、死んだあとのシンシンの様子は
福田副園長 「今は見ていないので何とも言えない。探し回っているとかはなく、おそらく休んでいるのではないか」
--午前中に母子の様子を何回か尋ねたが、子供がすでに死んでいた段階でも、母子一緒にいるという回答だった。朝の段階で公表すべきだったのではないか
【赤ちゃんパンダ死ぬ】動物園会見(2)「献花台設ける…非常に残念…」+(2/2ページ) - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071117000017-n2.htm
【赤ちゃんパンダ死ぬ】
動物園会見(2)「献花台設ける…非常に残念…」
2012.7.11 16:56 (2/2ページ)[動物園・水族館]
哺乳瓶から母乳を飲むジャイアントパンダ、シンシンの赤ちゃん(東京動物園協会提供)
福田副園長 「我々の方にもすぐに連絡があったが、広く知らせてはいなかった。状況、原因を見極める時間が必要だった。時間的な行き違いはあった」
土居園長 「特定の人にしか知らせていなかった。死亡の原因も確定しないといけなくて、余裕もなかった。変な情報が流れても困る」
--赤ちゃんが死んだとき、中国の専門家はその場にいたか、コメントは
福田副園長 「そばにいて、大変残念だと言っていた。中国でもこういうことはあるということだった」
--赤ちゃんパンダが生まれ、国民的な関心も高かったが
土居園長 (声を詰まらせながら)「ちょっと待ってください… 非常に残念だと思っているし、動物園ではいろんな動物が亡くなるが、そのときどきで悲しい思いをする。今回は職員も徹夜で頑張り、そんな彼らの顔を思い浮かべると… 非常に残念だと思っています」
--繁殖の難しい動物だが、どういう基準で、どういう方針で臨んだのか
福田副園長 「シンシンは初産で、何が起きるか分からない。注意した方がいいだろうということで、慎重に準備した。先ほど話した通り、生まれても1週間ぐらいは死んでしまうことがある。過去、上野でもチュチュという個体が死んだ経験がある。何かあった時には飼育側が親のパンダから子供を預かれるような、介添え保育、中国でもやっているものだが、それを取り入れてやっていこうと考え、育児疲れで子供を離したときにはうまく使って、母親の役割を飼育係がやり、またシンシンに戻すこともできた。残念ながら子供が肺炎ということで死んだが、24年前の事故というか、悲劇を十分踏まえた上で、それをいかに回避するかということで、そういう方法(介添え保育)をとった」
【赤ちゃんパンダ死ぬ】動物園会見(3)「短い時間だった…」園長、声にならず(完) +(1/2ページ) - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071117070019-n1.htm
動物園会見(3)「短い時間だった…」園長、声にならず(完)
2012.7.11 17:01 (1/2ページ)[動物園・水族館]
上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」の赤ちゃんが死亡し、園長らが東京都庁で会見した。土居利光・上野動物園園長は涙をためながら質問に答えた =11日14時55分、東京都庁 (小野淳一撮影)
--園長に。短い間だがどういう赤ちゃんでしたか。死んだことが分かった瞬間の気持ちは
土居園長 「短い時間だったが、正直言うと、携帯電話が鳴るのはずっと…」(言葉にならず)
福田副園長 「私が代わって話します。短い間だった。ただ、育ってほしいと願っていた。死んでしまったが、この経験を次に生かしていきたい。死んだことが分かった瞬間は、とても驚いた。昨日(10日)の状態がよかったし、シンシンが子供を大事そうに抱えてもいた。本当に驚いた」
--動物病院係長の原さんに、今の思いは
原病院係長 「私だけでなく、代わりばんこで面倒を見てきた。日々、子供の乳を吸う力も強くなり、シンシンも体力が回復し、授乳しているのも確認した。昨日(10日)も体重が1グラム増えていたし、まったく(死ぬことなど)想像がつかなかった。子供というのは母親が育てるのが一番だと思って、中国スタッフの指導の下で、シンシンに戻せると思っていた。保育器ではあげる鳴き声と、母親に戻した途端の鳴き声はまったく違うし、動きも違う。このまま大きくなるのを見守っていければと思っていた。頭の中が真っ白。ただ、中国のスタッフの指導の下、繁殖や育て方を、体で覚えた。今回は失敗したが、この失敗に学んで、次の繁殖はきちっとできると思います。今は辛い、とても残念で言葉にならない。それでも気持ちを入れ替えて、明日から前向きにやっていきたい」
--死亡時の体重は前日から減っているが
福田副園長 「昨日(10日)の午後3時20分には144グラムだったので、19グラムほど減っているが、もしかすると、乳を飲めなかった可能性がある。ただ、7~8グラム飲むこともあるし、おしっこしたり、排泄したりもするので、プラスマイナス10グラムは出るので、何とも言えない」
【赤ちゃんパンダ死ぬ】動物園会見(3)「短い時間だった…」園長、声にならず(完) +(2/2ページ) - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071117070019-n2.htm
動物園会見(3)「短い時間だった…」園長、声にならず(完)
2012.7.11 17:01 (2/2ページ)[動物園・水族館]
上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」の赤ちゃんが死亡し、園長らが東京都庁で会見した。土居利光・上野動物園園長は涙をためながら質問に答えた =11日14時55分、東京都庁 (小野淳一撮影)
--母親の元に戻すという判断は正しかったのかどうか
福田副園長 「正しかったと思っている。昨日(10日)の夕方の状況が良好だった。小さく弱い動物で、保育器で面倒をみるといっても、母親のようにはできない。人間が子供の様子をみながら哺乳瓶でやっても、母親のようにはできない。母親が一番面倒をよく見るので、間違いではない」
--シンシンの過失ではなく事故だと考えているか
福田副園長 「事故だと考えている」
--乳を詰まらせることへの対策はあったのか
福田副園長 「1週間で死ぬ原因には、いろいろある。おっぱいが出ない、子供が小さい、未熟児だったり、感染症にかかるなどさまざまな要因がある。なんとも言えないが、母親と子供がいい状態でうまくいっていれば安定的に進む。子供がのどに詰まらせて肺炎になったが、なかなか対策とるのは難しい。これからの課題になる」
--繁殖が難しい動物である一方、和歌山のアドベンチャーワールドではたくさん繁殖している。そこから学ぶことは?
福田副園長 「和歌山のパンダは本当に素晴らしい。父も母も子育てが上手。だが、シンシンもリーリーも交尾ができたし、出産もできた。初産なので一時的に子供を離したが、戻したときにはすぐに抱えて授乳した。今後、上野の2頭も繁殖期にはまた繁殖が望めるのではないか。今回、失敗してしまったが、教訓を生かしていけるのではないか」
--また来年もトライするか
福田副園長 「来年の繁殖期がきて、発情もすると思いますが、それがくればトライしていきたい」
--お乳が呼吸器に入ったということだが、これは元気な子供でも起こりえるのか、先天的なものではないのか
原病院係長 「健康な人でもむせるときがある。未熟な赤ちゃんなら、避けることは難しい。危険性をゼロにすることは無理だろう」(会見終了)
【赤ちゃんパンダ死ぬ】繁殖の難しさ痛感 生後1週間以内に死ぬ確立6~7割 - MSN産経ニュース
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120711/trd12071119370025-n1.htm
繁殖の難しさ痛感 生後1週間以内に死ぬ確立6~7割
2012.7.11 19:35 [動物園・水族館]
哺乳瓶から母乳を飲むジャイアントパンダ、シンシンの赤ちゃん(東京動物園協会提供)
生後1週間で死んだ赤ちゃんパンダ。24時間体制で見守ってきた上野動物園スタッフらの落胆も大きい。妊娠、出産自体が“奇跡”ともされるジャイアントパンダだが、赤ちゃんは小さく、未成熟な状態で生まれるため、早期の死亡率も高い。繁殖の難しさが改めて浮かび上がった。
発情期は年1回、そのうち妊娠可能なのは数日というパンダ。奇跡の母子を見守り続けてきた同園の福田豊副園長は会見で「正確な統計はないが、初産の場合は1週間以内に死ぬ確率が6~7割」と説明した。
北海道大学大学院獣医学研究科の坪田敏男教授(51)は「残念だが驚くことではない」と語る。坪田教授によると、ひとつの原因は未成熟な状態で生まれてくることだ。「イヌやネコの場合、子供の体重は母親の約30分の1だが、パンダは600分の1から700分の1」といい、生後3カ月までがヤマだという。
上野動物園では、自然交配での誕生が初めての上、シンシンが初産ということもあり、24時間体制で飼育係と獣医が観察。中国では「介添え保育」として、母親から子供を預かって人工保育をする手法がとられるが、これも取り入れた。中国の専門家も常駐する中、育児疲れのシンシンから子供を保育器に移し、哺乳瓶で母乳を与えるなど成果を上げていた矢先だった。
坪田教授は「パンダ専用の繁殖センターがなく、人員などの問題から人工保育の体制が十分にとれない日本では、自然保育が主流。シンシンが子育てに慣れれば、次はうまくいくかもしれない」と話している。