第4章「シリウスとの再会」(後編)


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第4章 シリウスとの再会(後編)

  鏡が明るさを増し、徐々に人の姿を形作っていく。
 そしてそこに映し出されたのは、ハリーが会いたくてたまらなかった、名付け親の姿だった。
「ハリー」
 鏡の中のシリウスが微笑んだ。
「本当に… シリウスなの…?」
「ああ、私だ」
「あなたは… 死んでいるの?」
 その問いに、シリウスはゆっくりとうなずいた。
「すまない、ハリー。 君にこんな辛い思いをさせてしまって」
 その言葉をさえぎるように、ハリーが叫んだ。
「シリウス…! ごめんなさい。僕のせいで…!!」
「ハリー、そんなに自分を責めなくていい。 私の死は君のせいじゃない」
「でも僕がヴォルデモートの罠にはまりさえしなければ、あなたはあんなことにはならなかった!! 僕が… あなたの時間を止めてしまった。本当にごめんなさい…」
 ハリーの瞳から涙が零れ落ちた。
「ハリー、謝る必要はないよ。 君は何も悪くない。私のことで、これ以上自分をおいつめないでくれ。 君には、幸せになってほしいんだよ」
「シリウス…、でも…」 
 ハリーは何かを言いたそうに、口を開きかけた。
「ハリー、もう何も言わなくていいよ」
 シリウスが優しく言葉をかける。 彼はこれ以上、ハリーが自責の念にかられる姿を見ていられなかった。
「シリウス…」 
 ハリーは涙で濡れた目で、シリウスを見た。
「私と君が過ごせた2年間は、君にとってはわずかな時間だったかもしれないが、私にとっては有意義な時間だった。 そして何より、私の無実を君が信じてずっと待っていてくれたことがとてもうれしかったよ。 一緒に暮らすことはできなくなってしまったが、ハリー 忘れないでくれ。たとえ姿が見えなくても、私は君のそばにいる。君をずっと見守っているよ」
「シリウス…」
 ハリーは少し微笑んだ。
 その微笑みに、シリウスもホッとしたような笑顔を見せる。
「君のその表情を見て、少し安心したよ。ハリー。 庭にいたときみたいに、思いつめた表情では、私も辛い」
「庭にいたとき…」
 ハリーはハッとして、記憶を手繰り寄せる。
 夕方に1人で庭で泣いていたとき、肩に感じた手の感覚を思い出した。
「あれって…、シリウスだったの?」
「心配になってね。 様子を見にきたんだ」
 ハリーの心の中に、あたたかいものが広がった。
「優しくて、なんだか励ましてくれているみたいで、うれしかった。振り向いたときには誰もいなかったから、気のせいかなって思ったけれど そうじゃなかったんだね。僕のこと、見守ってくれていたんだね。ありがとう。シリウス」
「そろそろ部屋に戻ったほうがいいだろう。 起こしてしまってすまなかったね」
「ううん。あなたと話ができてうれしかった」
 ハリーはそういって、シリウスに微笑んだ。
 同時に彼は、シリウスと話せるのはもうこれきりだろうと悟った。
「私はいつも君のそばにいるよ。君のすぐそばに。 私だけじゃなく、ジェームズやリリーもね。ハリー、愛する人は決して離れさえはしないよ。 いつまでも、君の心の中に生き続けている」
 その言葉を残し、シリウスの姿は鏡から消えた。

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