ルシファー


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ルシファー。

彼は元、天使であった。それも神の右腕として活躍する、最高位の天使長であった。

しかしながらある時彼は、己が神にも勝るという傲慢な思い込みから反逆し、全天使の三分の一を率いて戦った。
そしてその結果、彼は敗れ、天界より追放されて魔界の王となったのである。




「ふふ、もう少しだ」

独り、天使ルシファーは微笑んだ。彼の宮殿は天使の内で最高とされる天使長のために用意された彼専用のもので、雲の上に静かにたたずんでいた。いま彼がいるのはその中庭である。ルシファーは美しく咲き乱れる花々の上に浮いており、彼の微笑は、着々と進みつつある彼の計画を考えてのものだった。


「ルシファー様!ルシファー様!」

中庭から移動しようとして、ふと彼を呼ぶ声に気付いたルシファーは、宙に浮いた身体をゆらりと回転させて、声の方を見やった。
少し離れたところから、下級と思しき天使が一人、彼に向かって飛んでくるのが見えた。

「何事だ」

落ち着いた表情で問いかける天使長に、その天使は息切れしながら何とか話し出した。

「ルシファー様、……し、主がお呼びです」

「ほう」

ルシファーは目を細めた。一瞬、彼の脳裏にあり得ない考えがよぎった。もしや、叛乱に気付いたのだろうか……?
だが、天使長は自分にむかって微笑を浮かべ、その発想を打ち消した。いや、そんなはずはない。自らを全能だの何だのとのたまうあの霊……、そう、ただの一介の老いた霊に過ぎぬ存在に、自分の計画が見透かされるわけがない。

そう考えたルシファーは微笑を崩さぬまま、天使に向かって言った。

「分かった、行こう。お前は下がってよい」

恐縮して翼をたたみ、引き下がる天使と対照的に、ルシファーは力強く六枚の翼を広げた。羽根の一つ一つが、彼の精気に満ちて輝いている。天使は、輝く翼を打ち振って、天上の主の元へと向かった。