2-08

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被ク「……買ったばかりの上履き、またか。何度やっても飽きないんだな、ホントに……毎朝毎朝……」 男 「あ、>>女さん女さん」 被ク「やぁ、おはよう>>男 何か用かい?」 男 「あー……今日の放課後、ちょっと良いかな」 被ク「? 別に構わないが」 男 「じゃあさ、美術室の前で待っててくれよ」 【放課後】 被ク「絵の被写体?……私にか?」 男 「うむ」   「俺な、美大受験しようと思ってんだけどな。ここの部員俺だけだし、ここらへんに美大予備校とか無いから、こうやって放課後は一人で絵描いてるわけ」 被ク「友人は?」 男 「あ、駄目駄目……あいつらあんまそういうの興味ないから。よく遊んだりするけど、仲間内だと絵描いてるのは俺だけ。完ッ璧に個人趣味の領域だけど」   「そうそう、そんで誰かデッサンのモチーフになってくれる人探してたんだけど。じっとしてるのが嫌だからってよく断られるんだよな。付き合ってくれたのは>>女さんくらいだ」 被ク「ッ……そ、そうか? 私はその、あまりこういうのが苦にはならないんだ。普段もじっとしてることが……多いからな……」 男 「そういや>>女さんが誰かと話してんの、あんまり見ないな…席は隣だけど」 被ク「私はほら、学校ではあんまり仲の良い友人は居なくてな。私とこうやって話してくれるのは>>男くらいだ」 男 「んー、俺も>>女さんのことは大人しい人だと思ってたけど、喋ってみて全然印象変わったからな」   「もっと積極的に話しかければ友達出来るんじゃない? ほら、>>女さんって見た目ちょっとクールだからな」 被ク「……あ、ああ」   「そう…見えるかい?」 男 「?」 被ク「あの三人に目を付けられるのが嫌で大人しくしてるだけなんだけどな……それが変に人を寄せ付けないんだったら……」 男 「そう? でも俺は格好良いと思うけどなぁ~~」 被ク「格好良い…のか?」 男 「これはある種のフェティチ(かんだ) ……フェティシズムだな。分かるやつには分かる、工場の夜景とか、廃棄ビルとか。ちょっと変わったのが好きなんだよなー」 被ク「ちょっと変わったのが……”好き”っ!?」   「なっ、何を言っているんだお前、いきなりっ! なんだそれは、お前、お前それはっ、おっ、おっおっおっおっ、おまっ」 俺 「あ、そうだ…俺で良かったらいつでも話し相手になるからさ、ここで愚痴でも何でも言うと良いよ。その代わり>>女さん、暇なときは被写体になってくれよ」 被ク「好っ……おっ、お前……」 俺 「つーか>>女さん、こないだ俺が携帯買ったときにメアド渡したじゃん。たまには連絡くれよ」 被ク「えっ…あ、うん。じゃ、じゃあ送るが……返事はちゃんとしろよ」 俺 「するよー」 被ク「ほ、ホントに?////」 俺 「ホントよー」 被ク「そ、それとさっきの『好き』っていうのはお前……それは……」 俺 「うーん、名づけるなら新ジャンル『被害クール』……これは流行るな」 被ク「え?」 俺 「え?」 被ク「新ジャ……いや、やっぱり良い」 A 「何か絵描いてんだけど……」 B 「きめぇ……」 C 「と、とりあえず>>男がVIP住人だってことは分かった」 先生「お前ら……美術部に何か用か?……」 [[前へ>2-07]]  [[次へ>2-09]]

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