第二十二話

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80 名前: 赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI 投稿日: 2008/08/22(金) 22:39:32 ID:GXa4Wwn00 第 二十二話 【登っ下さい】 1/2 去年の夏、友人と2人で奥多摩へハイキングに行きました。 途中でハイキングコースを外れて獣道を登って行ったのですが、1本の木に張り紙がしてあったのです。 【登っ下さい 賞金あげます→】 「なんだコレ?てが無い、てが抜けてるよ、登っ下さいになってる、でも面白そうだな、行って見るかW」 友人が笑いながら僕の顔を見たので、僕も頷き→の示す方角へ登ることにしました。 しばらく行くとまた木に貼り紙がしてありました。 【あと30メートル ガンガレ→】 「ガンガレって、これ貼ったのは2ちゃんネラーかW」 さらに進むとまた貼り紙が「あと10メートル→」 やがて「おめでとう、ゴールだよ、賞金の1万円進呈→」の貼り紙を通り抜けると、平らな丘に出ました。 丘の正面にはゴールの貼り紙がしてある1本の木があり、その手前の地面には青いシート敷かれあった。 そのシートの横には立て札があって、「落とし穴危険」と書いてある紙が貼られていた。 それにしても何だかその場所は臭かった、何か肉が腐ったような臭いがした。 何か嫌な感じがした。 問題はゴールと書いてある紙が貼られた木だった。 その木の幹にはロープが巻き付けられていて、ロープには手錠がかけられていた。 手錠のもう一方の輪には人間の手首が付いていたのです。 しかもその手首は下に垂れ下がっているのではなく、どう見ても空中に浮いてるように見えた。 そしてその指の間には1万円札が差してあった。 82 名前: 赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI 投稿日: 2008/08/22(金) 22:44:06 ID:/BL945Ee0 【登っ下さい】 2/3 僕たち2人は青いシートの横を通り、ゴールの木の真ん前まで近よりました。 その手首は本物ソックリに見えました。 浮遊しているトリックが何なのかは分かりません。 「さすがは2ちゃんネラー、タチの悪いイタズラをするよな」友人が呟きました。 その時、僕は誰かに見られているような気がしました。 強い視線を感じたのです。 何かとても不安な感じがしてココに居たらダメだという感覚に襲われました。 「でもこの1万円札は本物みたいだぞ、遠慮なく貰っておこう」 そう言って友人が万札を抜いた瞬間、「うわぁッ!」友人が短い悲鳴をあげた。 今でもその時、何が起こったのか分かりません、瞬間的な出来事でした。 いつの間にか最初に浮遊していた手首が消失して、その代わりに友人の手首が手錠に繋がれていたのです。 僕はサバイバルナイフを取り出して幹のロープを切ろうとしました。 ところがそのロープは特殊な素材でできているのか、全く切れないのです。傷1つ付かなかった。 「下に降りて警察を呼んでくる」 「頼むわ」とションボリして友人が答えました。 84 名前: 赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI 投稿日: 2008/08/22(金) 22:46:06 ID:/BL945Ee0 【登っ下さい】 3/3 僕が友人に背を向けて青いシートを通り越したあたりで 「ウワアアアアアーッッッ~」という物凄い絶叫が背後からしました、友人の声です。 振り返ると友人が消えてたんです。 そして手錠の輪の中には友人の時計をはめた手首だけが残ってました。 地面と平行に浮遊しながら切り口からは血が滴り落ちてた。 僕はパニックを起こしてその場から走って逃げました。 途中、木々の間から笑い声が響いた 「てがないよ~ヒャヒャヒャヒャッ~」 地獄の底から発せられたかのようのガラガラ声。 僕は獣道を転がるようして下山しました。 友人の家族にも警察にもこのことは言えないでいます。 言えば僕が殺人犯として逮捕されるのがオチだからです。 友人は今でも行方不明のままです。 【完】

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