第四十三話

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154 名前: ほうこ ◆lPNVStsJp2 [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 00:48:58 ID:x3J5DWBK0 「お別れ猫」 私が小学生のときに体験したすこし不思議な話です。 私の住んでいた地域には猫が集まるいわゆる「猫屋敷」があります。 私は猫が好きなので、ちょくちょくその屋敷へ訪れていたのですが、 私のことがよほど嫌いなのか、全く近寄らせてくれません。 それでも猫たちが可愛いので雨の日も風の日もめげずにせっせと通っていました。 そんなある日、どんな食べ物を持っていてもこちらを見向きもしなかった、とくにお気に入りの白猫が 何ももっていない私に近寄ってきてくれたのです! ついに報われた! 嬉しくて嬉しくて、その白猫をなでまわしまくっていました。 その翌日。近所の商店に行った帰り道、なんだか遠回りしたい気分で、いつもとは違う道を帰ることにしました。 結構入り組んだ道だったのですが、分岐路のたびにこの道を通らなければ!と思い進んでいきました。 徐々に自宅の方向から離れていってしまいましたが、とくに気にしませんでした。 そのまま15分ほど歩くと、道の端になにか白いぼろきれのようなものが落ちています。なんだろう、と思い近寄ってみました。 見た瞬間、凍りつきました。 ぼろきれのようなものは、車に引かれて、無残な姿になったあの白猫だったのです。 うつろな瞳が、私のことを見つめているように感じられて、なんだか涙が出てきました。 そして、悲しいのと同時に、私は感じました。 昨日私に近寄ってきてくれたのは、いつも猫屋敷に通っていた幼い私に、この白猫なりに別れの挨拶をしてくれたんだ、と。 おわり

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