第四十五話

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161 名前: しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 01:01:02 ID:GdDf91KL0 【 成仏 】 1/1 じいちゃんの昔話。 出張先で人の気配を感じて、夜に目が覚めた。ふと目を動かすと、枕元に人がいた。 いわゆる、兵士のような格好をしている。 「誰だ?」と尋ねると、何かボソボソと話しているような音が聞こえる。 「聞こえん。」「…私は…行かなければなりません…○○に…」 しばらく聞いていて、どうも先(さき)の戦(いくさ)の若い兵士のようだ、と感じた。 狭いシングルルームのベッド、男に見下ろされているのはあんまり気分の良いものではなかった。 しかたなく起き上がる。卓上には晩酌にしていた純米吟醸酒、塩、手付かずのおにぎりがあった。 そいつの前に酒、塩、にぎりの米部分をちぎり、 「お前の気持ちはよく判った。だが、太平洋戦争は終わったんだ。もう家族の下へ  帰っていい。どうせ俺たちも、戦が始まったら靖国神社に行くことになるさ。  だから、それまで 家族の下(もと)へ戻っていて大丈夫だ。次の戦が始まるまでゆっくりして来い。  俺らがそっちに逝ったら、その時はよろしく頼む。今度の休みにでも、靖国で会おう。」 と語りかけ、手を合わせた。 しばらくして、空がぼんやり明るみかけた頃、その兵士の幽霊は「ありがとう…」と 言いながらうっすら消えて無くなっていった。 その後、ひいじいちゃんの実家に行ったときにアルバムを見ていたら、その幽霊に 雰囲気の似た、笑顔の少年がひいじいちゃんと共に写っていたそうだ。 「今の日本は武力抗争はしてなくても、じわじわ侵略されている真っ最中だから、  戦争中っちゃ戦争中なんだけどな。変態新聞社騒ぎとかが起きてるのもその一環さね。  お前ら若いもんがもっと確(しっか)りせにゃいかんぞ。」 じいちゃんは未だに矍鑠(かくしゃく)としていて、8月と12月には靖国神社へお参りを欠かさない。 終

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