第四十九話

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173 名前: 水琴窟 ◆FMYPc6cKQE [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 01:19:16 ID:wGYF0k8W0 -喪服の行列- 10年ほど前、Kさんの実家は改築しました。 古い家は完全に取り壊し、新しい家を建てたのだそうです。 風水の本などを参考にしながら、Kさんのご両親があれこれ考えて建てたのですが Kさんは「その割には、あまりうまくできてないんですけどね」と、笑いながら私に 話してくれました。 新築後、三ヶ月ほどたった頃のことです。 Kさんのお母さんが「昨夜、変な夢を見たのよ」と言い出しました。 お父さんとお母さんは、1階の南側の部屋で寝起きをしていて、その部屋にはご先祖をお祀りした 仏壇が置いてあったそうなのですが お母さんが見た夢は、その仏壇に向かって、北の方角から、大勢の喪服姿の人々が歩いてくるという 不気味なものだったそうです。 その人々は老若男女様々で、見知った人は一人としていない… 一様に黒い喪服を身に纏い、列をなしてただ歩いてくる。 その顔は皆無表情で、終始、無言だったそうです。 彼らは次々に、仏壇の中に消えていったそうです。 その後、Kさんの実家で、何か変わったことがあったという話はなかったそうですが 「それって、Kさんのご先祖様だったんでしょうかね…?」と訊いてみたのですが Kさんは、あれはご先祖様たちの行列である、という、それ以外の可能性については 敢えて考えないようにしているんです、と、答えてくれたあと、こうしめくくりました。 「だって、考えてみてくださいよ。 もしもそれがご先祖様じゃなかったら…そっちの方が怖いでしょう?」 【完】

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