第百話


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333 :ジジイ ◆c7mNR5EDjs :2008/08/23(土) 06:44:51 ID:Y1DvZzAH0
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第百話 「 家 」


あまり大きな声では言えないことですが、私の実家の下は墓場でした。
墓場と言ってもみなさんが思う墓場ではなく、古墳でした。
家を建てる時に、土台を作るために掘り起こし気づいたのですが、
勾玉や鏃(ヤジリ)、土偶などたくさんの古代の物品が掘り出されました。
通常、古墳などが出土してしまった場合は、市や県などにその旨を伝え
研究的な事柄も含めて、しっかり調査などされた後に家を建てられる、
もしくは、重要なものであれば代替の土地へ移動させられる…ということらしいのですが
うちの両親は、そんなことしていたらいつまで経っても家が建たない!ということで
出土した物はとりあえず自分たちで保管して、出てきた古墳は埋め立て
そのまま家を建ててしまいました…。

そんな事もあり多少の遅れはありましたが工事も無事に終わり家が建ちました。
そして、私たち家族はその家へ引越し住むことになりました。



334 :ジジイ ◆c7mNR5EDjs :2008/08/23(土) 06:46:34 ID:Y1DvZzAH0
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やはり新築の家はとても快適でした。
私にも念願の自分の部屋ができ、当時中学生だった私は本当に上機嫌でした。
長男だった私は、6畳出窓付きの二階角部屋クローゼット有りという家の中でも
一番いい場所を自分の部屋として使うことを許され、当時本当に喜びました。

しかし、住み始めてすぐ私は毎夜金縛りに合う様になりました。
金縛りという現象はしっていましたが、聞くと体験するでは大違いです。
姿は見えない誰かが、いつも自分の寝ているベッドの周りで苦しそうな咳払いをし、
うめいているのです。
うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ…。ゴホゴホッ!うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ……。

数日我慢してはみたものの怖くて堪らなくなった私は思い切って
両親にそのことを話しました。
しかし、両親はそんなこと歯牙にもかけず、寝ぼけて夢をみたんだろ?の一点張りでした。
私の訴えはあっさり流され、私はその夜も自分の部屋に寝なければならない…と
思うと怖くて怖くて、本当にイヤだと訴えました。
すると、父が「なら、一階の客間に布団をしいて勝手に寝ろ」という案を出してくれたので
私はもう渡りに舟でその案に飛びつきました。
そしてその夜は和室の客間に布団を敷いて寝ることになったのです。
まさかその部屋で起こることの方がより恐怖であるとは、その時はまったく思いもせずに…。


335 :ジジイ ◆c7mNR5EDjs :2008/08/23(土) 06:47:27 ID:Y1DvZzAH0
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和室の客間は十数畳という広さで、そこに布団を敷いて一人で寝てみると
さすがにちょっと怖い感じはしましたが、あんな化け物が出る部屋で寝るよりは
全然マシ!と私は一人そこに寝ました。

夜…。私はふいにガタガタいう物音で目が覚めました。
もう目が覚めた瞬間にわかりました。
また金縛りです。
そして、私が寝ているすぐ横2メートルくらいにある襖(ふすま)が中からガタガタ揺れているのです。
「あぁぁぁぁぁ…」と思いましたが、動くことも出来ず、目を背けることも出来ず
私はその襖をただ目を見開いてみていました。
すると、襖は激しくガタガタガタガタ言いながら少しずつ開いていきます。
そして、襖が半分くらい開いた時でしょうか…。
中から、にゅっと指が出てきて開いている襖の端を掴みました。
そしてその手はゆっくりと襖を開いていきます。
襖からその襖を開けている何かの顔が少しずつ覗いてきます。
バサバサの髪の毛、頭、片目、鼻…。
私はあまりの恐怖に本気でジタバタして、「うわああああああああ」と叫びました。
声が出ました。
と、同時に金縛りも解けて私は布団から跳ね起きました。
私が自分の布団の上で呆然と立ち尽くしてると、
私の声を聞いた家族が私の寝ている客間へ殺到しました。
私は今見たありのままを話しました。
ですが、もちろん信じてもらえませんでした…。



336 :ジジイ ◆c7mNR5EDjs :2008/08/23(土) 06:48:28 ID:Y1DvZzAH0
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次の日から私は歩いて500メートルくらいの距離にある祖父母の家に泊まる事になりました。

すると、詳細は省きますが、私が祖父母の家に泊まりだして一週間もしないうちに
家族全員が奇怪な体験をし、しっかりとしたお払いを受ける事になりました。
家族、家、土地をお払いをし、庭にお社みたいな物を作り、
私たちは私たちの前にその土地に眠っていた何かを祀りました。
そして…それ以降、目立った奇怪な出来事は一切起こっていません…。


…ですが、今でも雨が降ると玄関から二階の私の部屋の前まで
びしょびしょに濡れた何かが歩いて来た様な水が滴り続けています。
家族は誰も、何も、言いません。
ですが、確かに今でも何かが家にいるのです。


【…完?】