第三十三話


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121 名前: 名無しのオプ ◆jsR6FcQCws [sage] 投稿日: 2008/08/22(金) 23:40:41 ID:qJMatBN50
「肝試し」1/2

小学生の頃の話。

夏の夜に子ども会で墓地で肝試しをやったことがある。
歩いてたどり着いたその墓地は坂に広がっていて、中央を緩やかな階段が伸びていた。
その階段のふもとがスタートで、上りきったところがゴールというコースだった。

肝試しが始まってしばらくして、順番が回ってきた。
二人一組だったがペアになったやつがかなりの怖がりで、手を握っていたのだがその手がかなり震えている。
そこまで怖がられると、ペアを組んだこちらとしては逆に醒めていくというもの。
最初は雰囲気に呑まれてびくびくしていたが、階段の中盤に差し掛かる頃には周囲を見物する余裕も出てきていた。

ふと、ある墓石に目が止まった。
いや、墓石がどうというのではなく、墓石の影に誰かが居る。
目を凝らして良く見ると、子供のようだ。
モンペのようなものを履いている子供が、かくれんぼをしているように、
足だけ墓石からはっきり出して隠れている。
何だろう、やっぱり幽霊かな?と隣のやつに聞こうと思ったけど、
相変わらずがくがく震えてるので黙っておくことにした。

それ以降は何事もなく、自分達を含めて全員が無事ゴールできた。
最後に大人子供皆で階段を下っている時、あの墓石と子供のことを思い出して、
近くにいた大人の一人に、「あそこで幽霊見たよ」と言った。
相手の顔は覚えていないので、気を引こうとして嘘をついてるな、と思われたのか、
それとも、これはヤバイ、と思われたのか、今となっては分からない。
ただ、その夏限りで子ども会で肝試しは開かれていない事だけは確かだ。


122 名前: 名無しのオプ ◆jsR6FcQCws [sage] 投稿日: 2008/08/22(金) 23:41:31 ID:qJMatBN50
「肝試し」2/2

時は巡ってつい最近のこと。

「昔肝試しやったの覚えてる?」
と当時ペアを組んだやつに、話を振ってみた。
「何のこと?」
「小学生の時にさ、子ども会でやったじゃん。ほら真ん中に階段のある墓地でさあ」
「覚えてない」
怖がっていたのを思い出されたくないのかと最初は思ったが、相手はどうやら本気で覚えてないようだった。
変だなあと思い、そいつと別れた後、当時居たと記憶している親達や友達に片っ端から聞いてみたが皆覚えていないという。
自分は幽霊のこと以外にもいろいろはっきり覚えているのだが。
心の奥では釈然としないものを感じながら、それでもああやっぱりと思っていた。

件の墓地をあれからずっと探しているのだが、未だに見つけられていないから。

【完】