142 名前: 負け犬 ◆LosingwcPc [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 00:23:38 ID:eZeSX5wG0
「病院の階段にて」 (1/2)
岡山市内の、新幹線高架沿いのとある病院での体験。
夜になってから「祖父が緊急入院した」との知らせを受けて駆けつけた。
幸い大した事は無かったのだが、時計を見れば既に午前零時過ぎ。
無論、大阪方面の新幹線はもう走っていない。
致し方無く、会社に連絡を入れる事にした。
携帯電話を使おうとしたのだが、無論、病院内ではご法度。
そこで、3階から、階段で1階ロビーに出る事にした。
階段に出ると、足音が響いている。
トッ、トン、トッ、トン、と、片足を庇うような、足音が。
「エレベーターを使えばいいのに」
そう思いつつ、1階へと駆け下りた。
143 名前: 負け犬 ◆LosingwcPc [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 00:24:41 ID:eZeSX5wG0
「病院の階段にて」 (2/2)
さて。
夜勤の管理職に状況を伝えて、翌日遅刻する事の承認を得ると、祖父の病室へと戻る。
再び、さっきの階段を上る事にした。
まだ、足音が響いている。
さっきよりもずっと大きい。
・・・なのに、人の気配は全く感じられない。
馬鹿な、もうすぐそこまで来ている筈なのに・・・?
私は思わず、踊り場で立ち止まった。
トッ、トン、トッ、トン、トッ、トン・・・、トトッ、トトッ、トトッ・・・、トッ、トン、トッ、トン、トッ、トン・・・
足音だけが、私のすぐ側を通り抜けて行った・・・。
今は、その病院は山陽道の近くに移転してしまい、その場所にはもう無い。
【完】
最終更新:2008年08月23日 00:25