第四十四話


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156 名前: ASIAN ◆cnH487U/EY 投稿日: 2008/08/23(土) 00:51:13 ID:Kciij6DJO
【蝋燭】1/4

今年もオレはこの百物語に、自前の蝋燭を持って参加しているんだぜ。今年は変な事起きなきゃいいが……。

で、蝋燭っつう事でこないだ秋葉行った時に体験した妙な出来事をちょいと報告するわ。

高校の時の友人が東京に居を構えている。地元組のオレは農村に籠もっているのに耐えきれないんで、夏はそいつのアパートに赴きささやかな東京ライフを満喫するのが、毎年の恒例となっているんだ。

で、今年も行ってきたんだわ。
一日目は酒飲んでVIP見てグダグダして終わり。二日目は秋葉行ってエロゲ物色してイリュージョンではぁはぁして終わり。

で、問題の三日目。また秋葉行ったんだけど、オレのリクエストでその日は「ツンデレ喫茶」に行こうって事になった。

恥ずかしながら小生、田舎ヲタな手前未だこの歳にして「ツンデレ喫茶」なるものは経験した事が無い。

入店直後に水かけられるのか?やっぱりツインテールなんか?やっぱり必要以上にどもるんか?

期待に胸が膨らむ。


157 名前: ASIAN ◆cnH487U/EY 投稿日: 2008/08/23(土) 00:52:14 ID:Kciij6DJO
2/4

そんな訳で始まった「ツンデレ喫茶ツアー」。

しかし、ああいうのは探せば探す程になかなかどうして見つからないもんなのな。
いい加減二人とも歩き疲れて、「次にメイド喫茶かツンデレ喫茶かそれらしいのが見えたら、とにかくそこに入ろうぜ」という事に。

果たして長い旅路の果てにたどり着いたのは電気街の裏通り、地下へと続く階段の先に店を構えるメイド喫茶であった。

いらっしゃいませ御主人様。入店一番にメイドの調教がなってないのにオレのフラストレーションはマスタースパーキン。

二人、むっつりしたままアイスコーシーを頼んで壁際のテーブル席へ腰を下ろす。

なんだよいらっしゃいませって。嘗めんなブス、なんて小声で愚痴りながら何となく店内を見渡す。

ジャズが流れるお洒落なメイド喫茶。天井にジントニックの瓶なんか下げちゃって。イケメン自重とか下らない冗談を言ってたんだ。

店内はガラガラ。オレらの他には二、三人ぐらいしか居なかった。


158 名前: ASIAN ◆cnH487U/EY 投稿日: 2008/08/23(土) 00:54:02 ID:Kciij6DJO
3/4

ふと、隣のテーブルに目がいく。一人がけのテーブル。イスは無い。なのに、まるで客席みたいに並んでる。テーブルの上には一本の蝋燭。ガラスケースに入ったそれは、そこいらで売ってそうな安っぽいもん。インテリアだとしても、なんだかちゃちい。
調教のなってないメイドを呼んで、聞いてみた。

この蝋燭って何ですか?

あ、御主人様、それだけは絶対に触らないで貰えますか?

なんで?

いえ、とにかく触らないで下さいね。

いや、なんで?

火が消えたら、落ちるんです。

何が?

さぁ。

はぁ?

私も存じ上げません。

は?

ただ、「落ちる」としか聞いてません。先輩がそう言ってました。

ガラスケースのてっぺんには、空気穴が空いている。触るな。つまりは消すなって事か?腑に落ちないけど、これ以上聞いたらうざい御主人様になっちまう。アイスコーシーを手早く片付けて、煙草を吸いながらぼうっとまた店内を見渡していた。


159 名前: ASIAN ◆cnH487U/EY 投稿日: 2008/08/23(土) 00:56:20 ID:Kciij6DJO
4/4

やっぱり気になる。視線は自然とさっきの小さなテーブルへと向かう。
何のことは無い、サイドテーブルのような外見。その上の、ガラスケースに入った蝋燭。

よく見ると、テーブルの足の周囲が他の床よりなんだが窪んでいる。

そんな重いのか?そう思ってテーブルに手をかけ、引っ張ってみる。簡単に引けた。

御主人様、さっき言いましたよね?

あ、すんません。

……行ってらっしゃいませ。

なし崩し的に会計を済ませ、地上の空気を目一杯吸い込む。

なぁ、次こそは「ツンデレ喫茶」行こうぜ。

二人、煮え切らないまま歩き出した。