第五十二話


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179 名前: ◆qYEA7rCfag [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 01:28:37 ID:1SP26gEK0
【背後】(1/3)

深夜過ぎまで、課題をこなしていた時の話です。

その日の夜も、最近恒例になっていた土砂降りでした。
普段は虫の鳴き声が聞こえるのですが、当然、それもありません。
雨音が聞こえてくる中、PCのキーを打つ音だけがカタカタと鳴っています。

ふと、画面から目を離して伸びをすると、背後が気に掛かりました。
何も居ないと、頭の片隅で分かっては居るんです。
それでも一人暮らしの性か、気になってしまうと居ても立ってもいられません。
「あー疲れたなー」と、わざわざ声に出して後ろを振り返りました。

___________
| □      |押| ○が私、その前にある■がテーブルです。
|        |し| 脇にある□はTVで、■の連続が壁になります。
| ■○      |入|
|     __ |れ|
|    |■■■■■■
|___   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|台所  | 廊下
|____|______


勿論、そこにはちゃんと閉められた押入れの襖があるだけです。
何となく安心した私は、ついでとばかりに廊下にあるトイレに立つことにしました。


180 名前: ◆qYEA7rCfag [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 01:29:23 ID:1SP26gEK0
【背後】(2/3)

確か……あの時は廊下の電気が切れていました。真っ暗だった記憶があるので。
それで台所や居間の電気をフルに付けて行ったのですが、どこか及び腰だったと思います。
前日に呪怨を見た所為か、向こうの暗がりから顔が覗いているような錯覚もありました。
そして、また別の話になるのですが、この廊下は私は元より、お客にも気味悪がられます。
廊下を歩いていると口は一文字、目をかっと見開いた男性に肩を掴まれる感覚に襲われるのです。
この話には蛇足ですが、そういう雰囲気のある家だと思って頂ければ……。

上記のような感覚に襲われつつも、なんとか用を足して居間に戻ります。
もうその頃になると静かな部屋で作業など出来る訳も無く、TVの電源を付けました。
時間も時間だったので目ぼしい番組などやっておらず、古い映画をつけておくことに。
内容もコメディタッチだったので、雰囲気を払拭するには打ってつけでした。

……が、それからすぐのように雷が鳴り始めたのです。
最初のうちは音も遠く、若干ビクつく程度で済んでいました。
しかし悪いことは重なるもので、激しい雷鳴の後、電気が消えてしまったのです。
また、電気が消える瞬間に「バチンッ」という強い音が聞こえていました。

作業で使っていたのがノートPCでしたから、バッテリーのおかげで暗闇にはなりませんでした。
しかし、気になるのは電気が消えた時の「バチンッ」という音です。
雷鳴とは別に、何かが弾けるような音が聞こえたのですが……と、嫌な想像に至ります。
「もしかしたらブレーカーが落ちたんじゃ?」
しかしブレーカーを直すには廊下に出なければいけないので、当然、そんな勇気はありません。
すぐに復旧するだろうと待ってはみたのですが、十数分ほど待ってもそのままだったと記憶しています。


181 名前: ◆qYEA7rCfag [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 01:30:38 ID:1SP26gEK0
【背後】(3/3)

暗闇でジッとしているのも限界で、仕方なくノートPCの明かりを頼りにブレーカーを直しに。
廊下に出るとすぐに何かの気配を背後に感じましたが、これは皆さんも経験があると思います。
大抵は気のせいですむのですが、先のような「男性」の映像がチラついて気がきじゃありません。
何事もなくブレーカーまで辿りつくと、やはり落ちています。
少し乱暴にスイッチを上げると、ようやく居間の方から明かりが漏れ、TVの音声が聞こえてきました。

やれやれ……と居間に戻ったのですが、TVの電源が入っていません。
普通、電源を消さずに元からTVを切った場合、元をつければTVは起動します。
そうでなくともブレーカーを上げた直後にTVの音が聞こえたので、付いたことに間違いは無い筈ですが……。

困惑しつつも、TVの電源をつけようとTVに歩み寄りました。
ついで、そのせいで気付いたことがあります。
私がトイレに立つ前、襖が閉まっていることを確認していたのですが、この時、襖が半分ほど開いていたのです。
ベランダ方面の窓ならいざ知らず、襖やドアを半開きにする事はまず有りえません。

結局この日は、雷鳴を聞きつつ、TVの音量をあげて徹夜となりました。
勿論、半開きの襖には朝まで近づけませんでした。
廊下にいる「男性」が、暗闇に乗じて押入れの中に隠れたと考えると……怖いですから。

【完】