第七十五話

251 :テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU :2008/08/23(土) 03:31:08 ID:jBtZnPJd0
【い も う と】

 俺には2つ下の小学生の妹がいる。別に仲が悪いわけでは無い普通の兄妹だ。
 妹が小学生の頃の、ある嵐の晩の話。俺は部屋でネットを見ていた。風が強いな、そう思っていると、ついに停電が起こり、家中が真っ暗になってしまった。

 ブレーカーを確認するが、落ちていない。どうやら、配電線がどこかで切れたようだ。
 そうこうしているうちに、誰かが泣きながら俺のそばにやってきた。
 暗闇でよくわからなかったが、どうやら妹のようだった。怖くなって俺の近くに来たのだろう。
 俺はそんな妹を、多少バカにしたものの、暗闇の中ですすり泣く妹を見ているうちに、いたたまれなくなってきた。
 仕方がないので、妹を部屋へ連れて行き、寝かしつける事にした。

 安心したのか、妹はわりとすぐに眠ってしまったようだ。それを確認すると、起こさないように気をつけながら、部屋へ戻った。

 翌朝、電力が回復しているのを確認すると、妹の様子を見に部屋へと行った。
 …妹がいない。

 …そうだ。よく考えてみれば、妹は2日前から、修学旅行に行っていたんだった。

 …じゃあ、俺のそばにやってきたのは誰だ…?

「完」

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最終更新:2008年08月29日 20:02