第七十六話


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253 : ◆100mD2jqic :2008/08/23(土) 03:34:41 ID:0E6uFjYC0
彼岸花 様 代理投稿
『蛇の祟り』

あれは今から5年ほど前の秋,たしか10月頃だったと思います。私
は和歌山県中部の某村のある池の埋立工事に仲間たち10人ほどで出向くこと
になりました。この池のある場所は奥深い山中でしたが,それでも近くにはい
くつかの小さな集落がありました。実は,この工事はいわく付きでした。地元

の村人たちが反対しているにもかかわらず,ゼネコンが強行に埋立を推し進め
ようとしていたのです。このゼネコンは私が所属する会社の親会社であり,や
っかいな仕事を私たちに押しつけて来たのでした。

 村人の話によるとこの池は「蛇池」と呼ばれ,昔から不思議な言い伝えがあ
るということでした。その伝承の内容はこうです。昔,池には人間の数倍もあ
る大蛇が住んでいたそうです。ある年,村が飢饉におそわれたときに,村の若

い娘が「私はどうなってもいい。どうか村を救ってください。」と蛇神様に祈
りながら,入水したのでした。すると,みるみる池の一部が干上がり、あたり
を跳ねまわる魚を捕まえて食べることで,村人は何とか飢えをしのぐことが出
来たのでした。そしてその後はこの辺りでは日照りというものが起きたためし

が無いのだと言います。ですから,今でも村の住民は池を埋め立てると必ず祟
りが起きると信じているようでした。

 私はその噂を恐れながらも仲間達と作業を進めました。数日経って一人の従
業員が体調を崩したので,大阪府下の自宅へ帰しました。さらに数日後,私が
工事の報告のために久しぶりに大阪府下南部の本社を訪れたとき、妙な話を耳
にしました。この前に帰った作業員が病院に行ったところ、彼の胸や腹,さら
に背中や腕にはまるで蛇に締め付けられたような痕があったのだそうです。

「完」