第八十四話

276 :ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:30:59 ID:Kciij6DJO
【ヤンデレ】1/4

みんなはヤンデレ好き?

そうか、大好きか。

オレもだぁい好き。ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD、誰か貸してくれねぇかな。いやマジで。

なんて言ってられるのは、多分、直にヤンデレを体験した事が無いからだと思うんだ。
オレの人生の師であり数々の女を転々としてきて人生経験豊富なJ先輩の友達のA先輩が、こんな話をしてくれたんで紹介したいと思う。

東京に住んでた頃。若さにかまけてキャバ嬢に手を出したんだって。おぉいちょっと待ってよ。そっからもうバッドエンドフラグビンビンじゃん。ビッグマグナムビンビンじゃん。
ちょっとは考えろよA先輩。とか突っ込んだわけ。

仕方ないだろ。だって東京だぜ。トキオだぜ?空飛ぶんだぜ?若かったんだぜ?赤い彗星だぜ?アズナブルだぜ?
そりゃあ過ちぐらい犯すよ。アナルも犯すよ。

先輩は、大真面目な顔でウィスキーを煽ったっけ。


277 :ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:32:17 ID:Kciij6DJO
2/4

んで、話の続き何だけど。

ある日、そのキャバ嬢が浮気してるっぽいって噂を同僚から聞いたんだって。

ちなみにA先輩、ドナルドの下で働いてんたってのはここだけの話。

んでま、当のA先輩は、相手を束縛したくないのが僕の愛。来る者拒まず去る者追わずさ……。なんてエセニヒル気取ってたんだそうな。きめぇ。

でも、その噂がA先輩の耳に入っちゃったってのが、キャバ嬢には何故か分かっちゃったんだ。女のかんとか第六感とか、車輪眼とか使ったんか知らんけど。

謝ってきたそうな。むっちゃ謝ってきたそうな。ラブホの回転ベッドの上で、土下座でがん謝りだったそうな。ティッシュの山の中でむちゃくちゃ謝ってきたそうな。

私、もう絶対に浮気なんかしないから許して。お願い、私を一人にしないで云々。

あっ君(A先輩)が居なかったら私生きていけない。あっ君に捨てられるなら死んだ方がまし云々。

あっ君は許した。エセニヒル気取って、醜い本音はハートのジッパーで隠してキャバ嬢を許したんだそうな。


278 :ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:33:43 ID:Kciij6DJO
3/4

でも、キャバ嬢は納得しない。

嘘、そんな簡単に許される事じゃない。なんて言い出したかと思いきや、いきなり自分の手首に噛み付いた。

これには流石のあっ君も驚きを隠せない。慌てて引き剥がして、なんとか宥めて服着せて。

キャバ嬢曰く、あっ君が罰を与えないなら私が自分を罰するとか。

あぁ、なんと健気な子か……そんなんじゃ済まされない。

それからもキャバ嬢は浮気を繰り返す。繰り返す度に、自分の体を傷つける。

A先輩も余りに目に余るキャバ嬢の行動に、頬の一つ二つぶってやったんだが、それじゃまだ足りないとかぬかして最終的には包丁まで取り出したそうな。

浮気と自傷行為以外が無ければまともな子だった、とA先輩は語る。

それでも浮気の頻度は増え続け、その度にキャバ嬢の生傷も増えていく。

耐えきれなくなって、別れを告げようと思ったそんなある日、A先輩の携帯に一通の着信。メール。キャバ嬢からのメールだ。

ごめんなさい、また私浮気しちゃいました。今度こそは許してくれませんよね?


279 :ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:35:06 ID:Kciij6DJO
4/4

何と返信をしていいか困ったそうな。

別れたい。けど、そんな事言ったら自殺するんじゃないか。

悶々としたまま、その日は家に帰った。

家に帰って、ビール飲んで、オナニーしながらテレビつけたらしい。

飛び降り自殺があったとか、テレビがほざいてる。

まさか。と思ったそうな。でも違った。男だった。

なんだよビビらせんなバーロー。悪態をついた瞬間、メール着信。キャバ嬢から。

そっか、そうだよね、私が悪いんじゃないよね。あっ君の言うとおり、私を誘惑したあいつが悪いんだよね。きっと私とあっ君の仲を裂こうとする性根のねじ曲がった奴なんだよね。そういう奴は死んだ方がいいよね。死んだ方がいいよね。死んだ方がいいよね。

句読点、漢字変換、字面の上では理性的なメールに心底恐怖した。

返信なんて送ってないぞ、と。あっ君の言うとおりって何だ、と。死んだ方がいいってちょ、おまっ。

何が何だかわからなくなって、頭が混乱して、その日の内に荷物まとめて不動産屋へゴートゥーヘブン。

アドレスも変えてマンションも変えて。それ以来そのキャバ嬢とは会ってないそうな。

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最終更新:2008年08月29日 20:21