Sodium hydride
NaH
[和名]水素化ナトリウム
ソジウムハイドライドと呼ばれる事もある。
構造式から一見してヒドリド源になるような印象を持つが,実際にはヒドリドを放出する能力はなく,塩基としての作用のみを持つ。
吸湿性が高いため,鉱油(mineral oil)にまぶした状態(60%鉱油分散物:全体の60%の重量が水素化ナトリウム)で市販されている。鉱油分散物はべたべたした灰色の「おから」のような見た目をしているが,純粋なものは白色でさらさらの粉末状である。
- 物性
構造式 | NaH |
示性式 | NaH |
分子式 | NaH |
分子量 | 24.00 |
CAS No. | 7646-69-7 |
融点 | 800 ℃ |
Rf値 | 鉱油がほとんどの溶媒系で1.0 |
実験法
入手
60%鉱油分散物として市販されている。
精製
一般的には鉱油分散物のまま用いても問題ない。どうしても鉱油が邪魔な場合にのみ鉱油を洗浄する。
ナスフラスコ
│
│←NaH in mineral oil
│窒素置換
│
│*1
│←dry hexane (未投稿)
│フラスコを振ってよく混ぜ合わせる。
│シリンジなどで上澄みを取り捨てる。
│
│*1から3回ほど繰り返し。
│
│conc.
│
↓
NaH 白色粉末 グローブボックスで取り分けて使用する。
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│←NaH in mineral oil
│窒素置換
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│*1
│←dry hexane (未投稿)
│フラスコを振ってよく混ぜ合わせる。
│シリンジなどで上澄みを取り捨てる。
│
│*1から3回ほど繰り返し。
│
│conc.
│
↓
NaH 白色粉末 グローブボックスで取り分けて使用する。
脱プロトン化反応
基本的に水素化ナトリウムは初めから反応容器内に秤りとった状態で反応をはじめ,あとから加えるという事はしない。
鉱油が反応性を左右するような場合においては精製が必要である。純粋な水素化ナトリウムはさらさらの粉末で,すぐに舞ってしまう。やはりこれも先に反応容器に秤りとって用いる。
ちなみに,反応が終わったあとでクエンチ操作をする際,ブクブクと水素が発生したならば水素化ナトリウムは活性を保っている。そうでなければ水素化ナトリウムは活性を失っていると結論できる。