系内雰囲気の置換
最も単純な反応では,反応容器内には空気が充満している。
この状態で反応をすると,
- 湿気によって反応剤が湿る。
- 酸素による酸化が起こる。
- 二酸化炭素によって系内が酸性に傾く。
これらの問題点が生じる可能性がある。
空気雰囲気で問題ない反応 | 湿気に弱い反応 | 酸素を嫌う反応 | 二酸化炭素に注意する反応 |
シリル化反応 | 金属反応全般 | 金属クロスカップリング | 加水分解反応 |
窒素置換
系内を窒素で置換する方法を示す。
実験手順
手順 | 図 | 解説 |
1 | ゴム風船にゴム管をつないだ道具を作る。 ゴム風船は内側に粉が付いている。これが系内に混入するのを防ぐため,表と裏をひっくり返して使う事。 ゴム風船とゴム管をつなぐときには輪ゴムを使ってきつくとめる。 このようにして作ったゴム風船に窒素を入れる。最初から入っている空気を追い出すため,窒素を入れて出す操作を3度繰り返す。 | |
2 | 三方コックを左図のように開放し,枝に先ほどの風船をつなぐ。 | |
3 | 反応容器をクランプに固定し,これに三方コックを接続する。できるならば,必要な固体(試薬やスターラーバー)は予め反応容器に入れておく。 この段階では,系内はまだ空気雰囲気であり,窒素雰囲気なのは風船とゴム管のみである。 | |
4 | 三方コックの先とダイアフラムポンプをつなぎ,減圧にする。 粉末の固体が反応容器内に入っている場合,急激に減圧すると試薬が舞う事があるので注意する。この場合,コックを斜めに閉じておいて,ダイアフラムポンプをつないだあとで徐々にコックを解放する。 ダイアフラムポンプの排出口から気体が出なくなるまで待つ。 | |
5 | ゆっくりとコックをひねり,徐々にと風船側に開放する。 真空状態だった反応容器内にゴム風船内の窒素が流れ込む。 | |
6 | 手順4-5を3回行うことで,系内を完全に窒素雰囲気とする。 | |
7 | コックを風船側に開放にしたまま,ダイアフラムポンプを外す。 以上で窒素置換を終了する。 |