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和「こんにちは」   ◆u37hGboKQKUS - (2009/08/13 (木) 13:30:00) のソース

472 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 18:43:16.20 ID:ppoz3TIOO 
和「こんにちは」 

澪「和?どうしたんだ?」 

和「唯に教科書を貸していたんだけど…居ないのね」 

澪「皆は楽器屋だよ。私は用事があったから残ってるんだけど…」 

和「いつ帰ってくるか分かる?」 

澪「そんなに時間は掛からないと思う。待つ?」 

和「…良いの?」 

澪「もちろん。お茶淹れるよ。座って待っててくれ」 

和「あ、ありがとう…」 
473 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 18:46:48.78 ID:ppoz3TIOO 
和「へぇ…美味しいわね」 

澪「むぎには感謝してるよ。いつもお茶もお菓子も持ってきてくれて」 

和「毎日だからね…」 

澪「いつでも来てくれて良いんだぞ?」 

和「でも、私が来ても邪魔じゃない…?」 

澪「こういうのもなんだけど、部活は最初はティータイムから始まるんだ」 

澪「練習の時でも聴いて感想を言ってくれれば参考に出来るし」 

澪「それに、唯が会いたがってるから」 

475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 18:52:12.92 ID:ppoz3TIOO 
和「唯が…?」 

澪「何だかんだで幼馴染だ。唯も寂しいんじゃないかな」 

和「そうなんだ」 

澪「本当にたまに、で良いから唯のために遊びにきてくれ」 

和「うん…時間を見つけて、来るから…」 

和(唯のため…か) 

和(じゃあ、澪は…?) 

477 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 18:55:18.52 ID:ppoz3TIOO 
澪「おかわり要る?」 

和「え、あ、お願い」 

澪「それにしても遅い…ごめんな和」 

和「ううん、気にしてないわ…」 

澪「…」コポコポ… 

和「…」 

澪「どうぞ」 

和「ありがとう…」 

和(どうしよう…二人きりなのに…何か、話題とか…) 

479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 18:58:31.87 ID:ppoz3TIOO 
和「み、澪」 

澪「ん?」 

和「唯はちゃんとやってる?」 

澪「遊びたがってまともに練習しないんだけど…」 

澪「上達が凄く早いんだ。見ていて嫉妬するくらい」 

澪「和が言ってた『集中すると他の事が目に入らない』っていうのも分かるよ」 

和「…上手くいってるのね。幼馴染としてちょっと心配だったんだけど…」 

和(唯には、ちゃんと居場所があるんだ…) 

483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 19:01:57.81 ID:ppoz3TIOO 
和「あの子が、音楽か…」 

澪「?」 

和「音楽とは無縁だった子が、ちゃんとライブまで出来るようになったのね…」 

和「これが才能…かな」 

澪「…はい」ポン 

和「え…?」 

澪「弾いてみる?ギターじゃなくてベースだけど」 

和「澪…」 

486 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:05:01.33 ID:ppoz3TIOO 
澪「唯はギターに触れて、『大切な場所を見付けた』って言ってたよ」 

澪「和もどうかな?」 

和「澪…ありがとう。じゃあちょっとだけ、良いかな…?」 

和「あ、でもこれって左利き用よね?」 

澪「初めてやるんだろ?だったら右も左も関係無いよ」 

488 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:08:14.03 ID:ppoz3TIOO 
和「ん、えと…」 

澪「指の形はこう。なかなか上手くいかないな?」 

和「両手一緒に動かすなんてやったことないもの…よいしょ…」 


和「もう駄目。、澪、一回何か演ってみせて?」 

澪「いいぞ。何かリクエストはあるか?」 

和「そんな、分からないわよ。何でも良いからお願い」 


和「やっぱり上手いわね」 

澪「まぁ、一応経験者だから。もういいのか?」 

和「ええ、ありがとう」 
489 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:13:59.87 ID:ppoz3TIOO 
バタン 

律「遅くなりました!」 

澪「皆、遅いぞ!」 

律「いやーごめんごめん!唯があっちこっち寄り道するもんだから…」 

唯「そんなんじゃないよ~あの香りを嗅ぐと誰でも…あれ、和ちゃん?」 

和「教科書貸してたでしょ?あれ返してほしくて」 

唯「あーごめんね…すっかり忘れてたよ…はい」 

493 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:16:55.65 ID:ppoz3TIOO 
和「はい、確かに。じゃあ私は帰るわね?」 

唯「ばいばい和ちゃん~」 

律「じゃーな!」 

和「あ、澪!」 

澪「どうした?」 

和「今日は本当にありがとう。また、いつかお願いしても良い?」 

澪「もちろん。私で良ければ」 

和「ありがとう」バタン 


唯「何かあったの?」 

澪「ちょっとな。さ、練習するぞ」 

495 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:20:20.51 ID:ppoz3TIOO 
あれから私は澪の家を訪ねたりして、何度かベースを触らせてもらった 

初めの内はどちらかというとお喋りがメインだったのに、 

いつの間にか、私は本格的に澪に教えてもらうようになった 

なんとなく恥ずかしいから、唯達には黙っていてもらったんだけど 
496 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:24:06.37 ID:ppoz3TIOO 
新歓が終わったある日のこと 


律「新歓ライブお疲れー!」 

唯「お疲れー!」 

和「…」 

澪「…和?」 

和「…お疲れ様、澪」 

澪「ありがとう。でも、どうした?」 

和「何でもないわよ。ありがとう」 
497 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:27:02.00 ID:ppoz3TIOO 
唯「りっちゃん!乾杯の音頭をお願いします!」 

律「あーごほん!私達軽音部は、新歓ライブにて最高の演奏をしました!お疲れ様です!」 

律「あとは新たな部員が入ってくることを祈りましょう!乾杯!」 

唯「かんぱ~い!」 

紬「乾~杯~!」 

澪「和…?」 

和(私達『軽音部』は、か…) 

501 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:38:08.41 ID:ppoz3TIOO 
和(そうよ…私、軽音部の人間じゃないもの…) 

和(澪にベースを教えてもらって…それだけ) 

唯「和ちゃ~ん?」 

和「…何?」 

唯「元気ないね?」 

和「そんなことないわよ。あ、ライブお疲れ様」 

唯「うん、ありがとう…」 

和「?」 

唯(何だろう…?) 

508 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 19:48:41.88 ID:ppoz3TIOO 
和「私はもう帰るわね」 

律「そうか?お疲れー」 

和「皆、今日は本当にお疲れ様。それじゃあね」 


唯「…ねぇムギちゃん」 

紬「なぁに?」 

唯「変だったね…和ちゃん」 

紬「そうね…何だか元気が無いように見えたけど…」 

澪「私が行ってくるよ」 

511 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:01:57.13 ID:ppoz3TIOO 
唯「私も行くよ!」 

律「はいはい、皆でお留守番」 

唯「なんで~?」 

律「澪が行くって言ってるんだ。何かあるんだろ」 

唯「う~…和ちゃ~ん…」 
512 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:04:40.65 ID:ppoz3TIOO 
澪「和!」 

和「あれ澪…どうしたの?」 

澪「それはこっちの台詞だ。何があったんだ?」 

和「何でも無いわよ。それより澪は戻らないと」 

和「私は、ちょっと疲れちゃったから」 

澪「…なぁ和」 

和「何?」 

澪「軽音、一緒にやろう?」 

和「…」 
513 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:10:24.97 ID:ppoz3TIOO 
和「何、言ってるのよ」 

和「私は生徒会に所属してるから、出来ないわよ」 

澪「部活は仕方ないけど…たまには皆でやるとか」 

澪「唯はすごい、って言ってただろ?」 

澪「和だって、かなりの上達ぶりを見せてくれたよ」 

澪「私の代わりだって、やれる」 

澪「だから…な?」 

和「…何でそんなに必死なの?」 

澪「…和と…一緒に音楽がやりたいから」 

和「…遠慮しておくわ。私に音楽なんて、合わないと思うから」 

516 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:14:20.75 ID:ppoz3TIOO 
ガチャ 

澪「…」 

律「澪!」 

唯「和ちゃん、なんて?」 

澪「何でもないって…」 

律「んー…わっかんないなー」 

紬「大丈夫よ。きっと、いつか話してくれるから」 

澪「…」 


和(分かってる…原因は…) 

和(疎外感だ…) 

和(皆あんなに楽しそうで、私だけが…) 
517 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:21:27.37 ID:ppoz3TIOO 
それから私は何となく気まずくなってしまって、軽音部に顔を出さなくなった 

教室での澪との会話も、どこかぎこちない 

澪の家を訪れることもなくなっていった 

唯一気がかりだった新入部員も無事入ったようで、それだけは良かったんだけど 

そうして月日は流れていった 
518 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:26:20.02 ID:ppoz3TIOO 
和(桜高祭が近付くと、やっぱり仕事量は増えるわ…) 

和(澪達、頑張ってるかな…) 

……!…! 

和(騒がしいわね…何かしら?) 

和(…救急車?) 

「…誰が…?」 

「軽音……だって…」 

和「…!」ダッ 

520 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:31:25.95 ID:ppoz3TIOO 
バンッ 

和「澪っ!」 

唯「…のど、がぢゃん…」 

床に座り込んでいる唯…傍らに律、紬…あの子は、新入部員の子… 

澪が、いない… 

和「律!みお、澪は!?」 

律「…運ばれたの、澪だよ」 

唯「さわちゃん先生が、付き添いで…」 

律「詳しいことは何も分かってないんだ。とにかく今はさわちゃん待ちだよ…」 
521 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:37:06.41 ID:ppoz3TIOO 
その後私達は、良い知らせが来ることを信じて、長い長い時間を過ごした 

さわ子「皆…居る?」 

和「先生!澪は!?」 

さわ子「落ち着きなさい。私もご家族の方に出来るだけ話を聞いてきたから、今から説明するわ」 


さわ子「まず、澪ちゃんの容態は今も意識不明。状態は良くないわ」 

律「なんで、澪が…?」 

さわ子「重い病を患っていたのよ、澪ちゃんは。家族以外誰にも話さなかったらしいの」 

さわ子「今の技術じゃ治療は不可能で、病院暮らしでの延命しか出来ない病気でね」 

さわ子「そんな暮らしをするくらいなら、普通に生きることを望んだそうよ」 

さわ子「だから……澪ちゃんは、いつ死ぬか分からない体だったの…」 


澪は、話してすらくれなかったんだ 
522 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:43:07.20 ID:ppoz3TIOO 
唯「助かるよね…?澪ちゃん死なないよね…!?さわちゃん先生!」 

さわ子「…」 

律「変な冗談言うなよさわちゃん…」 

さわ子「冗談なんかじゃないわ…」 

梓「面会は、出来ないんですか…?」 

さわ子「謝絶状態よ。私達に出来ることは、何もないの…」 

さわ子「皆…最悪の状態も、覚悟して頂戴…」 


澪が私を軽音に誘ったのは、この時のため? 

524 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 20:46:59.51 ID:ppoz3TIOO 
突然突きつけられた現実に、皆言葉を発する事が出来ない 

いつも、いつでも居た大切な人がこんなにもいきなり… 

さわ子「…下校時間よ。気持ちは分かるけど、今日は家に帰りなさい」 

梓「もう、私達も帰りましょう…」 

唯「…」 

律「何で…」 

紬「澪ちゃんなら…きっと大丈夫。だから今日の所は…」 

527 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 22:15:32.54 ID:xkA8+kB1O 
翌日 

唯「おはよう、りっちゃん、ムギちゃん」 

紬「…唯ちゃん」 

唯「昨日は、ごめんね。皆だって澪ちゃんの事心配なはずなのに…」 

律「こっちこそごめんな。それにさわちゃんにも、謝らないと…」 

唯「うん…」 

紬「さ、行きましょう」 




和(澪…なんで、何も話してくれなかったの…?) 

和(こんな、いきなり会えなくなるなんて…) 

和(澪に…会いたいのに…) 

533 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 22:21:46.06 ID:xkA8+kB1O 
放課後 

唯「あずにゃん…」 

梓「…こんにちは唯先輩、律先輩に紬先輩も」 

唯「昨日はごめんね、先輩なのに情けなかったね…」 

律「悪かったよ、梓」 

梓「いえ…気にしないでください…」 

紬「お茶を淹れるから、皆待ってて」 

唯「ありがと、ムギちゃん…」 

535 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 22:28:08.34 ID:xkA8+kB1O 
律「これから、どうする?」 

紬「そうね…面会謝絶である以上、絶対に会いに行くわけにはいかないから…」 

唯「それに…学園祭…どうしようか…?」 

梓「辞退、した方が良いんじゃないでしょうか…」 

律「そう、だな…仕方ないよな…」 

540 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 22:47:41.74 ID:xkA8+kB1O 
数日後 

紬「…まだキャンセルしてないの…?」 

律「…うん…」 

唯「りっちゃん…」 

梓「私は…やっぱり澪先輩の復帰に期待してしまいます…」ガタッ 

唯「…何してるのあずにゃん?」 

梓「手入れです」 

梓「澪先輩が帰ってきて、愛用のベースに埃が積もってたら大変ですから」 

律「梓…」 

梓「澪先輩、練習中に倒れてしまいましたから、大きな傷が結構付いてしまってるんですよ」 

梓「私は、澪先輩を信じてますから」 
541 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 22:55:51.56 ID:xkA8+kB1O 
唯「私も手伝うよ、あずにゃん」 

梓「はい」 

唯「……あれ…これ何?」 

梓「手紙、ですか?」 

律「どーした?」 

梓「ケースに手紙が入ってたんです」 

律「…開けてみるか?」 

紬「もしかして、私達に…?」 

唯「開けてみるね…」スッ 

唯「…『和へ』…?」 

543 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:03:44.22 ID:xkA8+kB1O 
生徒会室 

和(澪…) 

バタンッ 

唯「し、失礼します…」 

和「皆…どうしたの?」 

唯「和ちゃん、澪ちゃんの手紙が見つかったんだ」 

唯「ケースの中に手紙が入ってて。ごめんね、読んじゃったんだけど…はい」 

和(澪から、私に…?)ペラッ 

545 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:10:34.58 ID:xkA8+kB1O 
『和へ』 

『ケースに入れていつも大事に持ち歩いてたから、これを読むのは私の遺品を整理している所かな』 

『前に軽音を一緒にやろうって言ってたことだけど、あれって本気のつもりだったんだ』 

『もちろん和と一緒に音楽を、って考えもあったんだけど、和の寂しそうな顔を見ていられなかった』 


『その気持ちはきっと最後まで変わらないよ』 

『ベースを買うお金も簡単に出せるものじゃないだろうし、私のベースを使ってもいいから…』 

『たまには唯達に混ざって軽音を楽しんでみないか?』 

『皆ならきっと良くしてくれる』 

『和なら出来るよ』 

『それと、病気のこと最後まで話さないでごめん』 

『今まで本当にありがとう』 

548 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:14:16.63 ID:xkA8+kB1O 
和「澪…」 

唯「和ちゃん…」 

和「わ、私は…」 

律「その手紙、和宛だからな。どうするかは和次第だぞ」 

紬「用事はそれだけなの。それじゃ」 

梓「失礼します」 

和(私が、唯達と…?) 

550 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:18:37.87 ID:xkA8+kB1O 
律「よし、行くぞ」ビリビリ 

紬「りっちゃん、それ何?」 

律「講堂使用のキャンセル申請書」ポイ 

梓「戻って練習しましょう」 

紬「ええ」 

唯「…和ちゃん…」 
551 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:23:14.19 ID:xkA8+kB1O 
和(澪の容態は全く良くならない) 

和(講堂使用に関する申請は手間も掛かるし、生徒会にも迷惑) 

和(そういう面を考えるなら…) 

和(でも、それは私が澪の居場所を奪うだけじゃない…) 

和(そんなこと、私には…) 


澪『今まで本当にありがとう』 


和「………終わらせたくない」 
552 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:28:00.67 ID:xkA8+kB1O 
唯「…」 

紬「唯ちゃん、やっぱり気になる?」 

唯「うん…和ちゃんの事もそうだけど…」 

唯「澪ちゃんが居ないのに…」 

律「あいつは多分、そういう事は望んでないよ」 

律「あの手紙、どう見ても自分が死ぬ事を前提にしてるよな」 

律「相当思いを込めたはずなんだ」 

紬「あの澪ちゃんが、『死ぬ』なんて一番怖い事を背負ってきたのよ?」 

梓「…そんな澪先輩の言葉です。私達が出来ることをしましょう」 

律「和が来たら迎えてやって、ライブを成功させることだな」 

梓「私は、そう思います…」 

555 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:31:27.67 ID:xkA8+kB1O 
唯「…うん、やるよ」 

ガチャ 

和「…皆…」 

唯「の、どかちゃん…」 

和「私に、ベースをやらせて」 

和「精一杯頑張って、絶対に迷惑掛けないから」 

律「…練習するぞ、和」 

和「…」コクン 

唯「和ちゃん、音楽やったことあるの」 

和「ベースだけは、ね。聞いてから使えるかどうか評価して」 

557 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:34:32.40 ID:xkA8+kB1O 
唯「和ちゃん…いつの間に…」 

和「たまに澪のベースを借りて練習させてもらってたわ」 

和「少しでも、軽音部の皆に近付きたくて…寂しいのは嫌だったから…」 

紬「確かに目立つ所はあるけど…これなら充分間に合いそうね?」 

律「練習、詰めていくぞ!」 
558 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:37:22.28 ID:xkA8+kB1O 
私は生徒会の人間だ 

桜高祭が近付くにつれ、仕事量は増えていく 

それでも、今も意識が無い澪のため、全力で練習に打ち込んだ 

皆も、私の練習に付き合ってくれた 

やれるだけのことはやったんだ 

560 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/08(土) 23:40:28.99 ID:xkA8+kB1O 
桜高祭 ~講堂~ 


和「…ふぅ」 

律「緊張してるか?」 

和「まあね。人の前に立つことなんて無かったから」 

紬「練習したし、きっと大丈夫」 

梓「頑張りましょう」 

唯「頑張ろ、和ちゃん!」 


「続いては、軽音楽部、『放課後ティータイム』によるライブです」 

568 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:03:47.90 ID:ugbdR2H0O 
澪は、間に合わなかった 

直前にもご家族の方に連絡を取ったけど、未だ目を覚ますことすらないという 

…幕が開いた 

行こう 


律(和…行けるな!?) 

和(大丈夫!) 

律「……1、2、3!」 
569 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:07:19.68 ID:ugbdR2H0O 
大丈夫だ 

全部練習通り 

指もしっかり動く 

あれほどあった緊張は全く無い 

私は、やれる 
570 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:13:34.40 ID:ugbdR2H0O 
唯(澪ちゃん…) 

梓(私達に出来ることは、これだけです) 

紬(今はただ、私達の全力を…) 

律(思わず病院のベッドから飛び出して『混ぜろ!』って言いたくなるような…) 

和(私達の最高のライブを!) 

唯(お願い、届いて!) 

律(澪!) 

梓(澪先輩…) 

紬(目を覚まして…) 

和(……澪) 


ワァァァァ…… 

「軽音楽部の皆さん、ありがとうございました。続いては…」 

和「私達の演奏、聞こえたかな…澪…」 

572 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:19:19.67 ID:ugbdR2H0O 
和「あれから一年ね」 

和「色々大変だったのよ。私なんて生徒会の仕事サボってライブに参加してたんだから」 

和「でも、それ以上のたくさんの物が手に入ったわ」 

和「あの時、澪が一人で部室に残っていなかったら」 

和「あの時、澪が私を追いかけてくれなかったら」 

和「間違いなく今の私は無かった」 

和「言い始めたら、キリが無いわ」 

和「ふふっ、照れないでよ、もう」 

576 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:27:17.74 ID:ugbdR2H0O 
澪「…照れてない」 

和「そうかしら?」 

澪「…そうだ」 

和「もう、拗ねないでよ」 

澪「…」 


私達の演奏がどう届いたのかどうかは分からないけど… 

澪は今も生きている 

ただ寝たきりの生活になり、延命措置を受けないため、残り僅かな命を削って生きている 

いつか、近いうちに別れは来るんだ 

579 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:31:08.07 ID:ugbdR2H0O 
和「明日、桜高祭なのよ」 

和「ライブの練習があるから、もう行くわ」 

澪「…」 

和「応援しててね、澪。私達のライブ、絶対成功させてみせるから」 

澪「…うん…頑張れ…」 



観客に音を届けるのは私達5人の仕事 

澪は現在、作詞作曲を担当している 

そして、明日が放課後ティータイム最後のライブとなる 


あの時のままの、傷の入ったベースを背負い直し、退室した 

和「行ってくるわね、澪」 


580 : ◆u37hGboKQKUS :2009/08/09(日) 00:33:32.45 ID:ugbdR2H0O
終わりです