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425 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/02(木) 23:39:41.78 ID:lApynjDq0
ある日の放課後
梓「最近、唯先輩来ませんね……」
澪「今日で1週間か……」
紬「学校にも来ていませんし……」
律「憂ちゃんには聞けないのか?」
梓「それが、憂も6日前から学校に来なくなって……」
律「そっか……」
紬「そういえば、さわ子先生も見ませんね」
梓「そういえば……」
律「まああの人は不真面目だからなあ」
426 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/02(木) 23:41:40.63 ID:lApynjDq0
さわ子「だ~れが不真面目ですって~?」
律「うわあ!? ……来てたんですか!?」
さわ子「ええ。今日帰ってきたのよ」
紬「帰ってきた? どこかに行ってたんですか?」
さわ子「ええ、ちょっと唯ちゃんを……おっと言っちゃ駄目なんだったっけ」
梓「唯先輩!? 唯先輩がどうしたんですか!?」
さわ子「いや、だから言えないって……」
梓「何でですか!? どうして言えないんです! ――まさか唯先輩に何かあったんですか!?」
律「お、おい梓ちょっと落ち着けって」
梓「これが落ち着いていられますか! 先輩たちは気にならないんですか!? 唯先輩のことが!?」
律「それはまあ……」
紬「気になりますけど……」
427 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/02(木) 23:42:29.59 ID:lApynjDq0
梓「でしょ? なら文句は言わないで下さい。――先生、本当のことを言って下さい。唯先輩に何があったんですか?」
律「何かあったことが前提かよ……」
梓「何か?」
律「い、いえなんでもありません」
さわ子「…………まあ、皆には言っても大丈夫かしら。半分身内のようなものだし」
梓「そ、それじゃあ」
さわ子「待って。……梓ちゃん、一番騒いでるけどどうしてそんなに気になるのかしら?」
梓「それはその……そう、心配だからですよ。当たり前じゃないですか」
さわ子「ふーん……。『心配だから』ねえ……。本当にそれだけ?」
梓「あ、当たり前じゃないですか」
さわ子「んー。まあ、良いわ。教えてあげる」
梓「本当ですか!?」
さわ子「ええ、本当よ」
梓「やった!」
律紬澪(誰この子……)
428 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/02(木) 23:43:10.22 ID:lApynjDq0
さわ子「じゃあ皆静かに聞いてね」
皆「……ゴクリ」
さわ子「今からちょうど1週間前に、唯ちゃんのご両親が旅行先で事故に遭ってしまったの」
皆「事故!?」
さわ子「ええ。それで、その時家にいた憂ちゃんが病院から連絡をもらって唯ちゃんに電話したの」
梓「それで唯先輩あんなに慌てて……」
律「そういえば携帯取ってから雰囲気が変わってたな」
紬「その後すぐに帰っちゃいましたね」
澪「それからか……唯を見なくなったのは」
さわ子「皆と別れてからすぐに私のところに来て事情を話してくれたのよ」
梓「それからどうしたんですか?」
さわ子「憂ちゃんに連絡を取って渡航と滞在の準備をしてもらって、唯ちゃんの家に向かったわ」
梓「渡航と滞在? ……ということは今唯先輩たちは」
さわ子「ええ。ご両親のところにいるはずよ。ご両親の怪我は運良く軽かったのだけど、直るまで帰って来ないでしょうね」
429 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/02(木) 23:43:50.03 ID:lApynjDq0
梓「帰って来ない!?」
律「唯はどれぐらいで帰って来れるんだ? さわ子先生」
さわ子「さあ……。詳しくは分からないけどたぶん2週間以上かかると思うわ」
梓「2週間!?」
律「そ、それじゃしばらくはずっと唯抜きでの練習になるのか……」
梓「嫌です!!!」
皆「!!!!!!!」
梓「これ以上唯先輩抜きで練習しても意味無いですよ!」
律「そうは言ってもだな……」
澪「ずっと練習しないのも駄目だろう」
梓「とにかく嫌です!! …………そうです! 唯先輩に会いに行きましょう!」
432 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/02(木) 23:45:37.45 ID:lApynjDq0
律「会いに行く!?」
澪「またずいぶんと突拍子の無いことを……。費用はどうするんだ」
梓「それは……バイトとかして稼げば良いじゃないですか」
さわ子「渡航にかかる費用を馬鹿にしちゃいけないわよ。バイトぐらいじゃ到底無理ね」
梓「そんな……」
紬「あ、あの……。私がお金を出しましょうか……?」
梓「え?」
律「そう言えばムギん家はお金持ちだったな」
澪「けど、いいのか? そんなことを勝手に決めて」
紬「大丈夫です。皆のためですもの、きっと解ってくれます」
梓「ありがとうございます!」
律「よーし! じゃあ明日空港に集合な! 時間はどうする?」
紬「それでしたらお昼ご飯を食べてから来てください」
皆「了解!」
436 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:13:23.38 ID:N20v97qu0
律「あれ? さわ子先生も来るのか?」
さわ子「唯ちゃんが心配だし、暇だし着いて行くわよ~」
律「暇人……」
さわ子「何か言ったかしら?」
律「いや、何も言ってねーよ! そ、それじゃ解散!」
438 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:14:28.64 ID:N20v97qu0
翌日
律「よし! それじゃ皆揃った事だし出発するか!」
梓「はい!」
律「お? 梓、その大きな荷物は何だ?」
梓「ギターですよ」
律「ギター? そんなもの持っていってどうするんだ?」
梓「どうするって……練習するんですよ。唯先輩、1週間も練習してないから私が教えてあげないと」
律「ふーん? やけに唯のこと気にかけるじゃん。もしかして、好きなのか?」
梓「ななな何を言ってるんですか! そんなことあるわけないでしょ!」
律「ふーん? ま、いっか」
紬(これは……)
澪「まだ乗らないのか?」
律「ああ、悪い悪い。さ、皆行くぞ」
皆「おー!」
440 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:19:42.11 ID:N20v97qu0
唯のいる国
澪「着いたか」
律「おお! ここが唯のいる国か! 日本とは全然違うなー!」
梓「騒がないで下さい」
紬「これからどうするんですか?」
さわ子「ここで憂ちゃんと合流する予定なんだけど……」
律「いないな……」
梓「あ! いましたよ!」
憂「みなさーん! 来てくださったんですね!」
律「憂ちゃん、ひさしぶりー!」
憂「はい! お久しぶりです」
澪「それで、今唯は?」
憂「お姉ちゃんならたぶんライブハウスにいると思います」
皆「……ライブハウス!?」
441 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:20:27.35 ID:N20v97qu0
ライブハウス
律「これは、どういうことだ?」
紬「どうしてこっちでバンドを……?」
澪「まさか、帰ってこないのはこれが答えなのか……?」
さわ子「いや、これは――って梓ちゃん!?」
梓「信じられません! 最低です!」
律「おい梓! どこに行くんだよ! 待てよ!」
澪「おい律! 待て!」
紬「皆さん置いて行かないで下さいよ~!」
さわ子「行っちゃった……。ま、いっか。面白くなりそうだし」
443 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:21:17.70 ID:N20v97qu0
川のほとり
梓「唯先輩があんな人だったなんて……」
律「はあっはあっ。やっと見つけた! もう、足速いんだよ!」
澪「律! やっと見つけたぞ!」
紬「み、皆さん速過ぎです……」
梓「先輩……」
律「ふう……。で? どうして途中で抜け出したんだ?」
梓「それは、唯先輩がこっちでバンド活動をやってたから……」
律「それで、唯に捨てられたと思ったのか?」
梓「! それは……」
律「そうなんだろ? 唯を心配して来てみたら本人は元気にバンド活動だもんな。そりゃ起こるってもんだ」
澪「お、おい律?」
律「――よーし! 私たちも特訓して唯を連れ戻そうぜ!!!」
皆「!!!!」
444 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:25:42.79 ID:N20v97qu0
律「そして路上ライブをするときを狙って横で演奏してやるんだ。そしたら唯だってきっと戻ってきてくれるさ」
澪「そうだな……」
梓「でもそれで戻ってきてくれなかったら……」
律「梓は今まで唯と過ごした時間に自信が無いのか?」
梓「!」
律「唯と一緒に過ごした時間は本物だ! 唯は絶対帰ってきてくれる!」
梓「そ、そうですね……。唯先輩と過ごした時間に自信を持ちます」
澪「そうと決まれば楽器をどうするかだが……ムギ、さっきから誰と電話してるんだ?」
紬「へ? あ、はい。家に電話を……」
律「何のために?」
紬「それは……。あ、来ました!」
律「ん? ――ヘリ!?」
執事「頼まれたお品を持って参りました」
紬「ありがとうございます」
445 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:26:55.49 ID:N20v97qu0
澪「頼まれた品って……私のベース!?」
律「ちょ! 私のドラムもあるじゃん!」
紬「はい、特訓するということなので楽器を持ってくるように頼んだんです」
皆(お嬢様……)
紬「では、特訓を開始しましょう」
律「え? でもどこでやるんだ?」
紬「ヘリの中でやりましょう」
澪「大丈夫なのか?」
紬「ええ。入ってください」
皆(こんなに広いのか……)
律「よ、よし! 特訓開始!!!」
446 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:28:13.65 ID:N20v97qu0
1週間後
澪「憂ちゃんの話だと今日が路上ライブの日だな」
律「特訓の成果を見せてやろう!」
梓「でも、新曲を練習しないで良かったんですか?」
紬「ええ。やっぱり唯ちゃんに戻ってきてもらうにはこの曲しかだめなの」
梓「そうですか……」
律「よし! 納得したことだし出発だ!」
皆「了解!」
448 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:29:56.27 ID:N20v97qu0
路上
律「唯は……」
梓「いました! あそこです!」
律「はえーなおいっ。……お、もう始まってるのか」
澪「どうする? どのタイミングで乱入するんだ?」
紬「曲と曲の間を狙うのがいいと思います」
律「よしっ。ならこの曲が終わったら乱入するぞ!」
皆「了解!」
5分後
ジャーン
律「よし、終わったぞ! 突撃!」
唯「えー、次は――」
テンテンテンテンテンテンテンテンジャジャジャジャ♪
457 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:48:11.72 ID:N20v97qu0
唯「――え?」
律「おーい! 唯!」
唯「りっちゃん!?」
男「おいおい、なんだあいつらは?」
女「私達に対抗するつもりかしら?」
男「おもしれえ!」
女「とりあえずはお手並み拝見かしらね」
男「そうだな――って唯!? どこに行くんだ!?」
唯「ごめんなさい! この曲は私が歌わないとだめなの……。だから」
女「もしかしてあの子達がこの間言ってたお友達?」
唯「うん! 軽音部の仲間なんだ!」
女「なら、しょうがないわね。あなた達の実力を見せて頂戴」
唯「うん!」
458 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:49:25.40 ID:N20v97qu0
梓「唯先輩、来ませんね……」
澪「向こうで話してるみたいだな」
律「私の声は聞こえてたはずなんだけどな……」
梓「やっぱりもう戻ってこないんじゃ……」
律「それはありえない! ……はず」
梓「律先輩も自信無いんじゃないですか」
律「そ、それはだな……」
紬「あ! こっちに来ましたよ!」
461 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:50:33.09 ID:N20v97qu0
唯「みんなー! お久しぶりー!」
律「唯! 私は信じてたぞー!!!!」抱きっ
唯「わっわっ、りっちゃんどうしたのー!?」
澪「この! 心配かけさせるなよ!」抱きっ
唯「わあ! 澪ちゃんも!?」
紬「お帰りなさい」抱きっ
唯「わ! ムギちゃんまでー!?」
梓「ゆい……せんばいっ……」
唯「……あずにゃん?」
律紬澪(ここは空気を読もう……)パッ
梓「もう、かえってこないんじゃないかって……しんぱいしたんですよっ……」
唯「……あずにゃん」ぎゅっ
463 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:51:41.95 ID:N20v97qu0
梓「せんぱい……」
唯「心配かけてごめんね。……でも、大丈夫。あずにゃんの前から消えるなんてことはないからね……」
梓「そんなのっ……信用できません!」
唯「なら、どうしたら信用してくれるの?」
梓「…………とりあえず、私の横で歌ってください」
唯「それで信用してくれるの?」
梓「とりあえずは、です。その後にいろいろしてもらいますから……」
唯「――うん! あずにゃんのためだったら何でもするよ!」
梓「何でも……」
律「おーい、お二人さん。そろそろ演奏開始しようぜー」
梓「!?」バッ
澪「そうだな、始めるか」
紬「そうですね、仲直りもできたようですし」
唯「それでは聞いてください! 『ふわふわ時間』!」
律「1234!」
465 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/03(金) 00:52:42.82 ID:N20v97qu0
ジャーン
唯「ふう……」
梓「唯先輩……」
唯「どうしたの? あずにゃん」
梓「――お帰りなさい」
唯「――ただいまっ」
Fin
フヒヒ