「梓「唯先輩、ギター上手になってきましたね」 ◆/BV3adiQ.o」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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543 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 04:34:07.05 ID:uA8zEQXO0
ある日の下校風景
梓「唯先輩、ギター上手になってきましたね」
唯「え? そ、そうかな? 私、上手になった?」
梓「はい。私が入部したときの3倍は上手になりましたよ」
唯「ほんと!? やったあ!」
梓(なんだか喜んでる唯先輩を見ると嬉しいな……)
唯「あっ。今日は寄る所があるからここまででいいよ。ばいば~い」
梓「あっ先輩――行っちゃった……」
544 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 04:35:02.99 ID:uA8zEQXO0
梓「――ということがあったんですよ」
律「ふーん……で?」
梓「だから気になるんですよ。いつもは私の家まで着いてくるのに最近はすぐにどこかへ行っちゃうから……」
律「それはあれじゃないのか? いい加減飽きちゃったとか」
梓「それはありません!」
律「嫌いになっちゃったとか」
梓「もっとありません!!」
律「えー? じゃあ知らねーよー」
梓「そんな……」
澪「少なくとも私たちは知らないから和か憂ちゃんに聞いてみればどうだ?」
梓「そうですね……。よし! じゃあ行ってきます!」ガチャ
紬「行ってらっしゃ~い」
澪「お、おいムギ! 何勝手な事をしてるんだよ!」
紬「人の恋路を邪魔するべからずですよ」
律「…………何それ」
546 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:00:06.11 ID:uA8zEQXO0
梓「――ということなんだけど」
憂『うーん……。そういえばお姉ちゃんの帰りがいつもより遅くなってる気がするけど、理由までは知らないかな』
梓「そう……」
憂『ごめんね? たぶん和さんに聞けば分かると思うんだけど……』
梓「和先輩かぁ。今どこにいるんだろ……」
憂『たぶん生徒会室じゃないかな」
梓「生徒会室?」
憂『うん。和さんって生徒会の人でしょ? だったら生徒会室にいるんじゃないかな」
梓「そっか、そういえば生徒会の人だったね。ありがとう、早速聞いてみるよ」
憂『うん。頑張ってね』
梓「うんっ」
547 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:01:04.78 ID:uA8zEQXO0
――生徒会室――
梓「とりあえず来てみたけど……」
中「わいわいがやがや」
梓「何かお話し中みたいだな……」
和「あら? 梓ちゃんじゃない」
梓「! ――あ、和先輩」
和「こんなところに何の用かしら?」
梓「あ、はい。和先輩に聞きたい事があって……」
和「どんなこと?」
梓「実は――」
548 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:02:20.22 ID:uA8zEQXO0
梓「――ということがあったんです」
和「へえ……」
梓「えっと……。理由とか、分かりますか?」
和「ええ、知ってるわよ」
梓「ほ、本当ですか!? 教えてください!」
和「うーん……。でも、これは唯にしか関係のないことだから」
梓「どういうことですか? 私には教えられないんですか?」
和「教えられないっていうか、正確には教えても意味がないってことかな」
梓「どういうことですか!?」
和「だって中学生まで唯が御世話になった人に挨拶しに行くだけよ? 高校で知り合ったあなたは関係ないじゃない」
梓「そ、そうですけど……」
和「――ま、ただの先輩後輩関係じゃないのなら一緒に来ても良いんじゃない?」
梓「! ただの先輩後輩関係じゃない……」
和「たとえば恋人とかだったら一緒に来ても問題ないと思うわよ」
梓「こ、恋人って……」
549 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:04:03.55 ID:uA8zEQXO0
和「ま、これは極論だけどね。とりあえず唯が一緒に連れて行こうと思える相手になれば良いんじゃない?」
梓「唯先輩が連れて行こうと思える相手……」
和「ま、頑張ってね」
――下校風景――
梓「うーん……。どうすればいいんだろう」
唯「どうしたの? あずにゃん」
梓「い、いえ……。別に何でもありませんよ」
唯「そう? ならいいんだけど」
梓(危ない……口に出てたのか)
唯「――そうだ。あずにゃん、ちょっと付き合ってくれる?」
551 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:06:41.11 ID:uA8zEQXO0
梓「――え!? つ、付き合う!?」
唯「うん」
梓「そ、それはその……まだ心の準備ができてないというか……」
唯「? 何のこと?」
梓「へ? だから付き合うって……」
唯「うん? 買い物に付き合うのに心の準備とかいるものなの?」
梓「――――あ、ああ。そっちですか」カアアアア
唯「うん? 何だと思ったの? ……ってあずにゃん顔赤いよ!? だいじょうぶ!?」
梓「だだだ大丈夫です! さあ買い物に行きましょう!」
唯「ほ、ほんとにだいじょうぶ? というか付き合ってくれるんだ……」
梓「だ、大丈夫ですって! 唯先輩の頼みならどこへでも付き合いますから!」
唯「あ、あずにゃん……」
梓「あ……」カアアアア
唯「ありがとう! やっぱりあずにゃんは優しいね!」抱きっ
553 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:11:07.49 ID:uA8zEQXO0
梓「ちょ、ちょっと先輩、苦しいですよ……」
唯「あ! ご、ごめん」パッ
梓「はあ……。まあ、先輩だからしょうがないですね」
唯「ほんとにごめんね。……そうだ! 明後日、お世話になった人たちにあいさつしに行くんだけどあずにゃんも一緒に来てくれる?」
梓(これは……?)「お世話になった人たち……ですか?」
唯「うん! 幼稚園から中学校までにお世話になった人たちだよ」
梓「へえ……。でも、どうしてそんなことをするんですか?」
唯「へ? どういうこと?」
梓「いや、あいさつをするのはとても良い事なんですけど、今となっては過去の人たちじゃないですか」
唯「うん」
梓「なのにどうして今になってあいさつしに行くのかなって……」
唯「うーん……。だって、今の私があるのは先生たちのおかげなんだよ? 良い意味でも悪い意味でも」
梓「そう……ですか?」
唯「そうだよ。だって幼稚園の先生がいなかったら私が軽音部に入部しようとも思わなかったんだよ?」
555 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/05(日) 05:15:13.45 ID:uA8zEQXO0
梓「そうだったんですか!? それは偉大な方ですね」
唯「うん! 音楽の授業で私がカスタネットをうんたんうんたんしてたら上手だねってほめてくれたんだ~」
梓「それで新歓の時……。というかそれで軽音部に入部するってどういう考え方ですか。本当に単純ですね」
唯「えー? そんなに単純かなあ?」
梓「はい、単純です」
唯「うううー、あずにゃんのいじわる。――でも、軽音部に入部して良かったよ」
梓「それは、やっぱり先輩たちと出会えたからですか?」
唯「うーん。それもあるけど……」
梓「けど?」
唯「やっぱりあずにゃんと出会えたのが一番かな」
梓(! このタイミングでこれは不意打ち過ぎます。卑怯ですよ)
唯「だってあずにゃんと出会ってなかったらこんなにギター上手にならなかったし、毎日が楽しいなんてこと思わなかったよ」
梓(やっぱり唯先輩は卑怯です。こんなことを恥ずかしげもなく言うなんてどうかしてます)
唯「あずにゃんはどうかな? 私と出会えて良かったって思う?」
梓「それは……当然ですよ。私だって唯先輩と出会えて良かったって思いますし」
557 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:18:49.26 ID:uA8zEQXO0
唯「ほんと? じゃあ何番目くらい?」
梓「い、一番目……です」ボソ...
唯「ほ、ほんと!? やったあ! あずにゃんだいすきっ!」ギュッ
梓「せ、先輩……苦しいです」
唯「あ、ごめん。つい浮かれちゃった、ごめんね?」
梓「い、いえ……」
唯「あ、そうだ! で、一緒に来てくれるかな?」
梓「あいさつにですよね? かまいませんよ」
唯「ありがとう! じゃあ明日私の家に来てね」
梓「あ、はい。何時頃にですか?」
唯「うーん。出来たらお昼前に来てくれたら嬉しいかな」
梓「わかりました」
唯「あっ。ギターを持ってくるのを忘れないでね!」
梓「ギターですか? かまいませんが何に使うんですか?」
560 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:23:24.98 ID:uA8zEQXO0
唯「それは明日のお楽しみだよっ」
梓「はあ……。わかりました」
唯「それじゃまた明日~。待ってるからね!」
梓「はい。また明日お会いしましょう」
――翌日――
ピンポーン♪
唯『は~い。どちらさまですか~?』
梓「あ、先輩。来ましたよ」
唯『おー、あずにゃん早いね! ちょっと待っててね~』ブツッ
ダッダッダ……ガチャッ
唯「お待たせ~。さあ我が幼稚園へれっつごー!」
梓「え、あ、ちょ……。先輩待ってくださいよっ」
561 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:28:34.83 ID:uA8zEQXO0
――幼稚園――
唯「こーんにーちはー」
女「あら、唯ちゃん今年も来てくれたのね。隣の子はどなたかしら?」
梓「あ、私は――」
唯「部活の後輩の中野梓ちゃんだよ」
女「まあ。後輩が出来たのね、おめでとう。梓ちゃん、唯ちゃんとは仲良いのかしら?」
梓「は、はい。仲は良い方だと思います……」
女「まあ! そうなの! これからも唯ちゃんのことよろしくね。唯ちゃんはおっちょこちょいだからよく見ててあげてね」
梓「はい、分かりました」
唯「うううー。私そんなにおっちょこちょいじゃないよお?」
梓「普段の生活を振り返ってから発言して下さいね」
唯「うう……。あずにゃんがいじめるよう……」
女(いいコンビね)
梓「はいはい。後でアイス奢ってあげますから泣き止んで下さい」
唯「ほんと!?」
563 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 05:31:33.95 ID:uA8zEQXO0
梓「はい。ですから泣き止んで下さい。今日はまだまだ行く所があるんでしょう?」
唯「うん! そうだったねっ。じゃあ先生また今度ー!」
女「はーい。待ってるわよ」
梓「では、失礼します」
――アイス屋――
梓「唯先輩、どんなアイスが良いですか?」
唯「んーとねー。アイスがみっつ重なってるのがいいな」
梓「これですか? 結構多いですよ? ちゃんと全部食べきれるんですか?」
唯「だいじょうぶだよ~。あずにゃんと一緒に食べるんだから」
梓「…………はい?」
唯「早く早くー」
梓「あ、はい、すみません。――どうぞ」
唯「わーいありがとー。はむはむ……おいしい! あずにゃんも食べようよっ」
梓「い、いえ私は遠慮しておきます」
606 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:33:48.37 ID:uA8zEQXO0
唯「えー? おいしいよ? 一緒に食べようよー」
梓「遠慮しておきます」
唯「一口だけでも食べてみてよー」
梓「はあ……。分かりました、一口だけですよ」
唯「わーい! ほらほらこっちに来て……あーん♪」
梓「あ、あーん」パク
唯「どう? おいしいでしょ?」
梓「は、はい! とってもおいしいです」
唯「でしょでしょー? もっと食べたい?」
梓「食べたいです!」
梓(――結局半分も食べてしまった……)
唯「ふわあー。おいしかったねー」
梓「食べ終わったんですから早く行きますよ」
唯「あ、待ってよーっ」
608 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:35:20.69 ID:uA8zEQXO0
梓「次は小学校……ですか」
唯「うん!」
梓「ちなみに、小学校ではどんなことをしていたんですか?」
唯「うん? ごろごろしてたりかなあ」
梓「ごろごろ……」
唯「うん。――着いたっ」
梓「ここが……」
男「おや? もしかして唯ちゃんかい?」
梓「!?」ビクッ
唯「あ、先生。お久しぶり~」
男「おお。やっぱり唯ちゃんだったか! 大きくなったなあ」なでなで
唯「えへへ~」
梓(むっ……)
610 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:36:26.59 ID:uA8zEQXO0
男「おや、こちらの子は初めて見るな」
唯「私の部活の後輩の中野梓ちゃんです」
梓「はじめまして」ピリピリ
男「は、はじめまして……。えっと、機嫌が悪いのかな? ちょっと顔が怖いよ……?」
梓「何でもありませんよ?」ビリビリ
男「そ、そうかい? はっはっは……。悪いね唯ちゃん。これから会議があるんだ、だからばいばいっ」ビューン
唯「さようならー」
梓「さ、次へ行きましょう」
唯「うん!」
611 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:37:48.18 ID:uA8zEQXO0
梓「ここが最後ですか」
唯「うん! 中学校だよ」
青年「あのー、もしかして唯ちゃん?」
唯「はい?」
青年「おお! やっぱり唯ちゃんじゃないか!」
唯「あっ。科学の先生!」
青年「僕のことを覚えてくれてたのかい? 嬉しいなあ」
唯「いやーそれほどでも」
梓(何かこの人唯先輩を狙ってる感じがするな……)
612 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:40:17.72 ID:uA8zEQXO0
青年「ところで、僕と付き合ってみないかな?」
梓(やっぱり……! ここは私が守ってあげなくちゃ)
唯「ごめんなさい。私心に決めてる人がいるから無理なんですよ~」
梓(何!?)
青年「え? そうなの?」
唯「うん。だからごめんなさい……ってあずにゃん!?」
梓「信じられません!」
唯「待ってよあずにゃん! どこに行くの!?」
青年「あっ、唯ちゃん……行っちゃった」
615 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:44:05.36 ID:uA8zEQXO0
梓(唯先輩の一番は私じゃなかったの……? 先輩の気持ちがわからないよ)
唯「あずにゃん……」
梓(ビクッ)
唯「どうして急に走り出しちゃったの?」
梓「それは……。先輩が好きな人がいるって言ったから……」
唯「そんなこと言ったっけ……?」
梓「言いましたよ! ――それで、私のが一番じゃないのかって思って」
唯「それで走り出しちゃったの……?」
梓「はい……」
唯「そう……。あずにゃん、そのままで良いからちょっと聴いてね」
梓(何だろう……?)
唯「ふう……。頑張ろうね、ギー太」
梓(ギターを弾くのかな……? でもアンプも無しでどうやって……)
唯「きみをみてると、いつもハートどきどき♪」
梓(これは……ふわふわ時間の弾き語り? いつの間にこんな事ができるようになったんだろう)
618 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:47:40.85 ID:uA8zEQXO0
唯「ふわふわ時間...」ポロロン...
梓(演奏は上手だったけど、これで先輩は何が言いたかったんだろう……?)
唯「ふう……」テクテク
梓(! こっちに来る……!)
唯「あずにゃん……」ぎゅっ……
梓「……何ですか」
唯「私の歌、どうだった?」
梓「上手でした」
唯「――今のが、私の気持ちだよ」
梓「! つまり……」
唯「私が一番好きなのはあずにゃんだよ……? これから先もずっと……」
梓「せん……ぱい……」
621 : ◆/BV3adiQ.o :2009/07/05(日) 12:49:20.55 ID:uA8zEQXO0
唯「今度は、あずにゃんの気持ちを聞かせてほしいな……」
梓「私の、気持ち……?」
唯「うん、あずにゃんが今どんな気持ちなのか弾き語ってほしい」
梓(それでギターを持って来いって……)
唯「どうかな……?」
梓「先輩……」
唯「ど、どうかな……」
梓「言葉なんて、必要ないです」
唯「え? それってどういう……んっ」
梓「……これが、私の気持ちです」
唯「あ、あずにゃん……」
梓「――大好きですよ、先輩」
唯「――うんっ」
Fin
フヒヒ