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311 :目次@携帯:2009/07/14(火) 14:28:24.81 ID:avgHuC6cO321  梓のクラスメイトが旅行に行くために、猫を預かったのが数日前。そして、その猫の強引グマイウェイっぷりに気付いたのが昨日の夜。我行く道を阻むものなしと言わんばかりに威風堂々を家中を歩き回るその黒猫は今、寝ていた。  ピンポーン♪  お馴染みの電子音が来客を告げる。 「はーい」  宅配便か何かだと思った梓は棚に入っている印鑑を取り出し、玄関へと向かい、ドアを開ける。  ガチャ。 「どちら様……」  ガチャ!  ドアを開けた目の前には有り得ない人物が居た。 「あれ?あずにゃんどうしたの?」  有り得ない。有り得るはずがない。教えてないはずの住所を知るはずがない。何よりこのタイミングで家に来るということが余りに出来すぎている。 「唯先輩。何のようですか?」 「え? 猫を見に来たんだよ」 :目次@携帯:2009/07/14(火) 14:46:36.07 ID:avgHuC6cO 「見に来たって……私は猫を飼ってませんよ?」 「またまたぁ~、そんな嘘ついたって分かるよ~」  王は居た。客人を迎えるのが礼儀であることを知っているかのように美しい座りで、それでいて堂々と。 「にゃー」  一声鳴くと立ち上がり、家の中に戻る。入れ、ということだろう。 「どうぞ。特に何もお出し出来ませんけど」 「おっじゃましまーす!」  梓の家の家具は洗練されたデザインでかといって、しつこくない清潔感のある家具で統一されていた。 「にしてもあずにゃん。この猫ちゃんどうしたの?」 「友達から預かったんです。旅行に行ってる間お願いということで」  唯とじゃれあう王。王は客人の相手をしていると考えているのだろうか。しかし、梓にはじゃれることすらなく、餌と水だけを求めてくるだけに唯が少し羨ましく思える。 「ねーねー、あずにゃん」  恐れ多くも王抱き上げ、梓に近寄る唯。 「どうしました?」  更に無礼にも唯は王の耳たぶを裏返し、中を見せる。 「この子、耳掃除してもらってないみたい」  唯の言う通り、王の耳の中は耳垢が溜まっており、清潔とは言えなかった。 「でも、どうするんですか?」 「取り敢えず、綿棒ある?」 333 :目次@携帯:2009/07/14(火) 15:12:55.71 ID:avgHuC6cO  綿棒。確か救急箱に有ったはずだ。印鑑の仕舞ってある同じ棚の一段下。 「綿棒……綿棒……あった」  綿棒の入った半透明の筒を取り出し、リビングに戻る。 「先輩。綿棒です」 「ありがとー。さて、大人しくしててねーあずにゃん貮號」  王は戦慄した。なんとも無礼な名前を付けた挙句にこの客人……いや、敵は右手に白い何かを持って迫ってくる。 「ニ゙ャー! ニ゙ャー!」  『無礼者が! 我は王なるぞ!』そう言わんばかりの怒声を挙げ、王は必死の抵抗する。 「ちょっと大人しくしなさい!」  唯が抱く力を少し強める。その力加減が更に恐怖を呼び、殊更に暴れる。 「えい!」  そして、王の抵抗は虚しく、敵の手に落ちた。 「ニ゙ャァァァァァァァー!!!」 「そーそー大人しくねー」  敵の攻撃は余りに気持ちが良かった。 「にゃっはぁぁ。ふぅぅぅん」  今まで触られたことの快感のツボを刺激され、ガサゴソとしていた耳の中がクリアになって言った。 「はい、終了」  耳かきを終えた王はまた堂々と立ち上がり、ソファの上に寝るのだった。 「唯先輩、上手ですね」  耳かきをする唯の手捌きは見事なものだった。痛くないように優しく、丁寧だった。 「そうだ、あずにゃんもやってあげる」 342 :目次@携帯:2009/07/14(火) 15:24:20.60 ID:avgHuC6cO 「いいですよ。猫やって貰って、私までなんて」  先輩の好意を断るのは気が引けるが、何よりも恥ずかしい。 「いいから、いいから」 「いいですって」  このままでは梓が逃げてしまう、それだけは避ける為にも押さえ込むしかない。 「それなら……えい!」  梓を一気に抱き寄せ、膝枕の上に頭を置かせる。 「ちょっと先輩! 恥ずかしいですって!」 「大丈夫。誰も居ないんだから」 「えっ……」  意表を突かれ、気の抜けた梓の耳に白い綿棒が挿入される。そして耳の中を心地好く擦りながら耳に溜まった垢を取り除いて行く。 「んっ……はぁっ……」  耳の中を愛撫するように擦る綿棒。そしてその一つ一つの動作に声を挙げる梓。 「あずにゃん痛い? 大丈夫?」  声を挙げる梓を心配して声をかける唯。 「大丈夫……です」 351 :目次@携帯:2009/07/14(火) 15:38:11.97 ID:avgHuC6cO  大丈夫の言葉とは反対に梓の体は昂ぶり、呼吸を早くなる。 「あずにゃん……」  その姿を見た唯は『ふっ』と耳に息を吹き掛ける。 「……!!」  息が耳の中に入り、ビクビクと体の中を電撃が走る。 「落ち着いた?」 「……もう……大丈夫ですから……続けてください……」  目は何処か虚ろになり、焦点も合っていない。しかし、梓の大丈夫という言葉を信じ、再度、綿棒の上下を開始する。 「んぁっ……!」  綿棒が耳の中を動く度に梓の呼吸も荒くなっていく。 「よし、仕上げだね」  唯が耳から綿棒を抜き、顔を近付ける。  ペロ……  耳を襲うどこか生暖かいく柔らかい感覚に今までにない新な快感を味わせる。 「!!!」  そして、唯の舌は軟骨、耳たぶを伝い、そして 「あぁぁぁっ!!!!」  外耳へと挿入され、そして抜かれる。 「はぁ……ハァ……唯……先輩……」  意識が朦朧とする中で梓は唯の名前を呼ぶ。 「はい、平沢式耳かきしゅーりょーです!」  無垢な笑顔を浮かべ梓を見るのだった。 完

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