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833:たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o :07/19(日) 14:29:32.92 ID:8jFYO+MH0 (104) ID AA 「……はぁ」 「どうしたんですか? さっきからずっとため息ばっかり吐いてますよ?」 「んー。なんでもないよー」  何でもない人間がため息ばっかり吐く訳がない。 「ちょっと失礼しますよ」  怪しいときはまず熱を測らないと――って! 「先輩! 凄い熱じゃないですか!」 「ん~? そういえば朝から何だか熱っぽかったかなぁ……」 「熱っぽいとかそういうレベルじゃないですよ!? どれだけ鈍感なんですか!」  まさか心のほうだけじゃなくて体のほうも鈍感だったなんて……。 「とにかく、今日は早く帰ってください! こんな体じゃ練習になりません!」  それに、治るものも治らなくなってしまう。 「で、でも……今は家に憂がいないし、やることがないよぉ……」  ……そうだった。  憂は一昨日から平沢夫妻に付いて家族旅行に出かけてて一週間は家にいないんだった。 834:たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o :07/19(日) 14:30:13.62 ID:8jFYO+MH0 (104) ID AA 「えっと……それじゃ、どうするんですか?」 「ほぇ?」 「今は家に誰もいないんでしょう? 誰が看病をするんですか」  まさか誰にも頼まないということはないでしょうね。 「う~ん。のどかちゃんに頼もうかと思ってるんだけど……」  チクリ。  胸の奥を針で刺されたような痛みを感じた。 「また和さんですか……」 「だ、だめ……かな……?」  そう言って不安そうな目で私を見つめてくる。 「だめというか、いつまでも和さんに頼りっぱなしなのもよくないでしょう」  その目に惑わされないように、あえてきつく言っておく。  こうでもしないと、和さん離れができなくなってしまうし。 「じゃ、じゃあ……誰に頼めば……」  うるうる。  そんなに涙目にならなくても、目の前にいるでしょう。 「私が、看病しますよ」 「えっ?」 835:たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o :07/19(日) 14:30:54.35 ID:8jFYO+MH0 (104) ID AA 「あ、あずにゃん……ごめんね」  私の背中で謝る先輩の身体は、ぶるぶると震えていて。  だから私は、先輩の身体をぎゅっと優しく支えてあげる。 「いいんですよ。この間は、先輩が私の看病をしてくれましたし、お互い様です」 「あずにゃん……ありがとう」  そう言ったきり、唯先輩は寝てしまったのか言葉を紡がなくなった。 「まったく……弱っているときは、本当に庇護欲を出させるんだから……」  でも、それがなぜだか嬉しい。  たぶん、先輩の役に立てるから……かな。 「いつも先輩には助けられてるし、たまには恩返しがしたいんですよ……?」  本当に、私が困ったときはいつも唯先輩に助けられてる。  普段はだらけてるのに、人が困っていると途端にやる気を出すんだから。  ――本当に、不思議な人だ。 836:たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o :07/19(日) 14:31:35.38 ID:8jFYO+MH0 (104) ID AA 「着きましたよ、先輩」 「ん……」  道中何度か休憩を挟みながらようやく唯先輩の家に到着した。 「先輩、鍵はどこにありますか?」 「かばんの……なかにあるよ……」  鞄を探ってみる――ない。 「ありませんよ? 本当に鞄の中ですか?」 「うん……うちぽけっとにはいってたとおもうよ……」  内ポケットを探る――あった。 「ありました。じゃ、中に入りますよ?」 「うん……」  さっきから生返事ばっかりで不安だなと思いながら、ドアを開けて家の中へと進入する。 838:たまにはよわったゆいちゃんとか ◆/BV3adiQ.o :07/19(日) 14:32:16.42 ID:8jFYO+MH0 (104) ID AA 「食べられますか? 先輩」 「ん……たぶん」  そのまま唯先輩の部屋まで先輩を運んで、それからベッドに寝かしつけてから本格的に看病を始める。 「まだ本調子じゃないみたいだし、すり潰してきますね」  まだ皮を剥いただけのリンゴは食べられなさそうだし……。  そう思って席を立つと、  ぎゅっ。  裾を掴まれた。 「まって……いかないで……」 「行かないでって……言われても」  行かないとすり潰せないし。 「すりつぶさなくていいから、ひとりにしないで……おねがい」  うるうる。  あぁ、またこの目ですか……。  まるで怯えた小動物のような目。 「わ、わかりましたよ……。ですから手を放してください」 「ありがとう……」  ゆるゆる。  ゆっくりと放された手は、そのまま唯先輩の胸へと落ちていった。 「ほら、もう全然力が入ってないじゃないですか。寝てください」 「うん……。あ、ずっとそばにいてくれる……?」 「何を今更。ちゃんと寝るまでそばにいますよ」 「ありがとう……おやすみ、あずにゃん」 「お休みなさい」  ――せめて夢の中でぐらいは、元気に―― Fin

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