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87 :ゆいあずでお花見とか ◆/BV3adiQ.o :2009/07/21(火) 17:08:48.88 ID:qwjSPNFt0 「お花見に行こう!」  いつものように唯先輩のお家にお邪魔していると、唯先輩が不意にそう言った。 「また唐突な……」  正直、これまでも先輩の思いつきに振り回されていただけに、反応が薄くなってしまう。 「なに~? お花見に行きたいって思っちゃだめなの?」 「別にそんなことは言ってないですよ……」  まだ満開とは言えないからもう少し待ったほうがいいと思っただけだし。 「あっ。もしかしてまだ満開じゃないからもう少し後に行きたいとか思ってる?」 「どうして分かったんですか……」  最近、先輩がエスパーなのかと思ってしまうほど心の中を読まれてしまう。 93 :ゆいあずでお花見とか ◆/BV3adiQ.o :2009/07/21(火) 17:21:44.97 ID:qwjSPNFt0 「それは、あずにゃんのことをよくわかってるからだよっ!」 「またその理屈ですか……」  さっぱり解らない。  相手のことを理解すれば心の中まで読めるということなのかな?  ……んなアホな。 「そんなことはいいから! お花見に行くのに賛成してくれるの? ……それとも、反対?」  うっ。  そんな寂しそうな上目遣をされると、断るに断れない……。 「はぁ……。分かりました、賛成ですよ」 「ほんと!? やったぁ~!」  ぎゅっ。  ……はぁ、この顔は卑怯ですよ……。  この顔のせいで、何をされても許してしまう。 「それじゃ、行きますよ」 「うん!」  ――まあ、悪い気はしないからいいか。 96 :ゆいあずでお花見とか ◆/BV3adiQ.o :2009/07/21(火) 17:31:03.81 ID:qwjSPNFt0 「着いたよ!」 「ここ、ですか……」  先輩に連れてこられた場所は、一本の立派なソメイヨシノの樹。 「ずいぶんと立派なソメイヨシノですね……」 「でしょでしょ~!」  本当に、立派な樹だ。  まだ満開じゃないのが残念だけど、それでも淡い紅色は見てて気持ちがいい。 「よくこんな場所を見つけられましたね」  こんな場所、地元の人でもあんまり知らないはずなのに……。 「うん? 毎年ここでお花見してるよ?」 「えっ」 105 :ゆいあずでお花見とか ◆/BV3adiQ.o :2009/07/21(火) 17:52:52.40 ID:qwjSPNFt0 「憂とのどかちゃんと3人でお花見するんだ~」 「そ、そうなんですか……」  ちくり。  何だろう。胸のおくが小さく痛んだ気がする。 「そうだよ~。私たち3人の秘密の場所なんだ~」  ぢくり。  今度ははっきりとした痛み。  ……何、これ。 「そ、そんな場所をあっさり私に教えちゃってよかったんですか」 「へ?」 「か、仮にも3人だけの秘密だったんでしょう? 私なんかに教えて――」 「だって、これから毎年あずにゃんとお花見するんだもん」 「――えっ?」 「……違うの?」 「えっと、その……」  ……あぁ、この人は。  さも当然のように私のことを大切に思ってくれてるんだ。  だから、簡単に秘密を打ち明けてくれた。 「違わないです……」  だから、私も応えないと。 「――来年も、また来ましょう」 「――うんっ!」 Fin

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