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108:鶏肉 ◆KXdf4vT3Ls :2009/07/25(土) 04:38:35.72 ID:CSCgIr0NO その生き物は身の丈1.5メートルほどであった。 大きく裂けた口を持ち、そこには鋭く醜悪な歯が並び、殊に牙の禍々しさは筆舌に尽 くしがたいものであった。 太く強靭な肢体を持ち、その先端には鋭利な爪が輝いていた。 甲冑のような体躯は、厚く焦げ茶色体毛で覆われ、その生き物の不気味さを際立たせ ていた。 しかし、その双眸はあらゆる点で前述の事柄を超えていた。 そこから放たれる妖しい光は、吐き気を催すほど強大で醜悪な生命力を持ち、 不変不壊であるかのような瞳の姿は、無機物のように冷酷であった。 彼女はその生き物にひどく恐怖し、嫌悪感を覚えていた。 しかし、同時に深い愛情を抱いていた。 109:鶏PC ◆KXdf4vT3Ls :2009/07/25(土) 04:39:05.76 ID:k+8Uxtml0 琴吹紬がその生き物を拾ったのは、半年ほど前のことであった。 河原を歩いていた彼女は、橋の下でその生き物を見つけた。 その時、その生き物はうさぎほどの大きさであり、その姿も可愛らしいと言えるものであった。 彼女はその生き物に惹かれ、それを連れ帰り、そして、親に内緒で飼うことにした。 その生き物はひどく腹を空かせていた。 パン、野菜、ハム、卵、彼女はとにかく色々な食べ物を与えてみた。 その生き物はそれら全てを平らげた。 ひとまず、彼女は安堵した。 111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 04:39:35.35 ID:CSCgIr0NO 内緒で飼っているとはいえ、彼女はその生き物が出来る限り不自由ないようにして やった。 彼女はその生き物に深く愛情をそそいでやった。 その生き物はそれに比例し、すくすくと育っていった。 大きく大きく、そして、醜く醜く。 四か月の時が過ぎた。 彼女はその生き物に恐怖し始めていた。 しかし、その生き物から離れる気は起きなかった。 112:鶏PC ◆KXdf4vT3Ls :2009/07/25(土) 04:39:46.74 ID:k+8Uxtml0 彼女はその生き物に愛情を抱いていた。 狂的に愛し、惹きつけられていた。 彼女には明確に果ての光景が見えていた。 しかし、彼女は離れることが出来なかった。 終わり

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