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217 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:40:04.85 ID:kzePfTvg0
【けいおんねっとわーく!】
①ログイン
おでこ隊員さんがログインしました
アイスさんがログインしました
たくあんさんがログインしました
あずにゃんさんがログインしました
うさちゃんさんがログインしました
220 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:42:41.35 ID:kzePfTvg0
その夜、5人はあるチャットルームに集っていた
「アイスってゆいだよなっ?」
「あちゃ~ばれちった?」
「そう言う律もおでこ隊員とか、最近は自虐がブームなのか?」
「うっさいっ!これはチャームポイントの増長だッ!うさちゃんに言われたくないわッ!」
「あずにゃんはそのまんまなんだね」
「特に思いつかなかったので・・・」
全員、テーブル席に向かって動き始めた
「え・・・私は?」
ムギがつぶやく
「ノーコメントで」
「ひどいですわ!!」
221 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:46:23.70 ID:kzePfTvg0
5人のいるチャットルームは音楽室の教室を模した仮想空間である
言いだしっぺは澪で、それに興味を持った4人がここに来たという訳である
「それでは、第1回秘密のネット会議を始める。諸君、よろしいか」
唯が気難しい言葉で発言する
「なんかゾクオクするなぁ」
「エヴァみたいですねっ」
「おいおい・・・ただの炉端会議だろ・・・・」
澪があきれるのを横目に会議は進んでいった
曲はどうするか、次の本番はどこでやるか・・・などなど
「ほい、とりあえずここら辺にあるライブハウスの情報だ」
かわいらしいうさちゃんが、地図を投げてきた
そのまま天井にそれが表示される
「お、あそことかいいじゃん」
「でも、ちょっと高いかもっ」
天井を見ながら5人は話していた
228 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:58:07.01 ID:kzePfTvg0
だが、突然、アラームが鳴り始めた
『サーバー障害が発生、全員ログアウトしてください』
「な、なんだなんだ?」
「たまにあるんだよ、こういうの。ほら、早くログアウトしないと戻ってこれなくなるぞ」
5人はすぐにログアウトした
「何か、嫌な予感がしますわ・・・」
232 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:02:17.24 ID:kzePfTvg0
②再びログイン
数分後、再び5人はログインした。警報が解除されたためだ
「ふぅ。それにしても最近は多いな、サーバー障害」
「頻繁にあることなんですか?」
梓が尋ねる
「いや、ちょっと前まではホントにたまにあるかないかぐらいだったんだ」
「サーバー障害ってどうして起きるの?」
唯が無垢な目で澪に問いかける
「ん~・・・使う人が多くなったりとか、サーバーが攻撃を受けたりとか・・・原因は様々だな」
「こ、攻撃っ?もしかして戦争してるのっ?」
画面越しに澪が笑う
234 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:05:28.42 ID:kzePfTvg0
「いやいや、リアルな戦争じゃなくて、たとえばリロードしまくったりとか、ウイルス送ったりとか」
「りろーど?ういるす?」
「・・・と言っても唯には分かるはずもないか」
「ウイルス、戦争なんて…おそろしいうさぎッ!」
「うるさいぞ、でこっぱち」
「ムキー」
おでこ隊員はおでこをピカピカと光らせた
「それにしても、サーバーが落ちると、本当に困りますわ」
「だよな、ムギ」
「先輩方の気持ち、分かりますっ」
おでこ隊員とアイスには何が何だか分からなかった
「で、なんの話をしてるんだ?」
「おでこにはまだ早い話だ」
236 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:08:10.99 ID:kzePfTvg0
うさちゃんにたくあんが耳打ちをする
「うさちゃん、あれ…」
「どうした、たくあん」
どうやら、5人のほかに誰か潜んでいるようだった
「入口近くの物陰に誰か潜んでいるわ…」
「そんなはずない。この場所は私が作った部屋だ。他の奴はパスワードと認証の時点で入ってこれないはずだ」
「…どうやら相手にはそんなもの関係なさそうよ」
「ちっ、…目的はなんだろう?」
「わからないわ…ってあ~っ!!」
物陰に潜んでいた誰かはおでこ隊員に向かって走り出した
…正確にいえば飛んで行ったというのが正しいだろう
「お、おでこ隊員っ!」
アイスがおでこ隊員を押し倒す
「あわわわわわ~っ!」
アイスは弾き飛ばされてしまった
238 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:13:38.41 ID:kzePfTvg0
そのまま、アイスは壁にぶつかり、消えてしまった
「き、消えた…?」
消えた跡には『アイスさんがログアウトしました』と書いてある
「なんなんだ、アイツは。アイスを、アイスを~っ!」
「落ち着けおでこ。今はとりあえず、みんなであいつから逃げたほうがいい」
「そうですわ。とにかく、あのドアの近くまでみんなで走りましょう!」
たくあんが走り出したのを皮切りに、4人は一斉にドアに向かって走り始めた
「な…なんだあれ…!!」
アイスを蹴散らした誰かは、黒いスライムのような形をしていた
239 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:15:29.38 ID:kzePfTvg0
「き、気持ち悪い・・・!」
「やばそうだな・・・よし、みんなであいつに一斉攻撃してから、すぐにログアウトするぞ」
「らじゃ!」
律が返事をしたと同時に黒スライムは4人に向かって、凄いスピードで飛んできた
「せ~のっ!」
「おりゃああああああああああ」
うさちゃんの両手から、ふでペン・ボールペンがミサイルのように飛び出す
ババババッバババ
「ぐぐぅッ!」
見事に黒スライムに命中し、黒スライムはひるんだ
「今だ!ログアウト!」
4人は一斉にログアウトした
はずなのだが・・・
「こ、ここは・・・?」
240 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:17:25.87 ID:kzePfTvg0
③お化け屋敷?
「こんな場所、見たことない・・・」
「不気味なところですわ・・・」
4人はさっきの音楽室とはまるで違う、お化け屋敷のような所へ来ていた
「こ・・・こわいよぉ」
「うさちゃん先輩っ!」
あずにゃんがうさちゃんに駆け寄る
「大丈夫ですよ。ここはチャットなんですから」
「こわいものは、こわい…」
うさちゃんが怖がるのも無理はない。辺りは真っ暗で、一寸先は闇状態だったからだ
「しゃーないなっ、えいっ!」
おでこ隊員はおでこをなでた。たちまち辺りは光に包まれた
「こんなもんだいっ!」
「すごいですわ…」
「ありがとう…おでこ」
「おでこ言うな」
242 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:20:06.26 ID:kzePfTvg0
明りで照らされたそこは、お化け屋敷というより、廃れた遊園地のようだった
「こんなところがあったなんて・・・」
人っ子一人いる様子もない
「そういえば、私、さっきから気になっていたんですけど」
「どうした、たくあん?」
「私たちの元の名前ってなんでしたっけ…?」
「え、たくあんでしょ?」
「あたしはおでこ隊員」
「うさちゃんだぞ」
「あずにゃんです」
4人は顔を見合わせた
「あれ…何かおかしいような…」
243 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:21:57.09 ID:kzePfTvg0
「もしかして、私たちはこのネットワークに取り込まれてしまったのかも…」
「おいおい、私たちはずっと前からここにいたぞ」
「あれ?そう言えば自分の部屋にいたはずなのに」
「私はずっと前からあずにゃんです!」
どうやら、4人はバラバラに記憶を失いつつあった
「お、落ち着いてください!私たちは、確かに自宅のPCでチャットをしていたはずです!」
「…そうだっけ?」
「うさちゃんっ!」
「なんか、おぼろげに…」
(ま、マズイわ…何とかして、あの黒スライムとアイスを見つけ出さないと…)
たくあんは3人の前に立った
「ここに、さっきの黒スライムがいるはずです!そいつをまずは倒しましょう!」
その時、物陰から黒い物体が飛び出してきた
246 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:27:47.33 ID:kzePfTvg0
どうやら、さっきの黒スライムのようだ
だが、それは形を変え、人の形になっていった
「…ここで倒さないとまずそうな感じだな」
「そうみたいですね」
うさちゃんはニンジンを
おでこはスティックを
あずにゃんはニボシを
そして、たくあんはたくあんを構えた
250 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:31:17.77 ID:kzePfTvg0
だが…構えたまま、4人は固まってしまった
「な、なんだこれ…」
人の形に姿を変えたと思った黒スライムは、こんどはどんどん大きくなってゆくのである
「も、もしかしてこれは…」
段々と輪郭がはっきりしてくる中で、あずにゃんは呟いた
「アイス…先輩…?」
だが、大きすぎて顔が見えない
あまりにも大きい、そう、大き過ぎたのだ
253 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:36:44.43 ID:kzePfTvg0
「あ~い~す~」
巨大アイスはうなりながら、ゆっくりと歩き始めた
「やばい!こっちにくる!」
慌てて跳ねたうさちゃんのすぐ横を、巨大アイスの足がかすめる
「くそっ!どうすりゃいいんだ!」
「アイスの弱点で攻撃するんですっ!」
「じゃ、弱点ってなんだよ!」
たくあんは立ち止まった
「それは…光です」
「おい、まさかあたしのおでこを磨きまくれっていうんじゃ…」
「その通りですわ」
「な…なぁ、もうちょっとかっこよくいこーぜー、ムギぃ」
4人は固まった
「あ」
254 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:38:54.35 ID:kzePfTvg0
「も、もしかして記憶が戻りつつあるのか?」
「そうみたいですね…」
あずにゃんは巨大アイスを見上げた
「きっと、唯先輩もあの中に…」
「なら、なおさらやるしかないな!」
すでに、おでこ…じゃなくて律はおでこを磨き始めていた
「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ」
255 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:41:38.11 ID:kzePfTvg0
「…!光が集まってきてるわ!」
「その調子だ律!頑張るんだ!」
「律先輩っ!頑張ってください!」
律の手はすでに早すぎて見えない
「おりゃりゃりゃりゃりゃ……よぉし、行くぞぉ!」
律はおでこに手を当てた
「たいよーけんっ!」
まばゆい光が、おでこから飛び出した
257 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:46:49.64 ID:kzePfTvg0
「あいすぅううううううううううううううう」
巨大唯はまばゆい光をもろに受け、バランスを崩した
「とけるぅううう」
見る見るうちに唯は小さくなっていった
そして、空間自体が白く白く光り始め、5人は再びまばゆい光に包まれていった…
259 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 19:47:30.63 ID:kzePfTvg0
気がつくと、そこはさっきのチャットルームだった
「ほえ?何してたの?わたし」
「アイス食べてたんだよ、腹いっぱいにな」
「やだ~りっちゃん、太っちゃうよ~」
「唯は太らない体質なんだろ」
「あ、そうだった」
音楽室を模したチャットルームからは、笑い声が聞こえ続けていた
Fin